撮影日記


2016年12月28日(水) 天気:くもり

2016年にお迎えしたカメラたち
ディジタル一眼レフカメラ編

とくに意識してきたわけではないが,今年の私は,ようやく「ディジタル化」したという気分である。

入手して使うようになったディジタル一眼レフカメラの数が増えただけでなく,フィルムにかえて積極的に使っていこう,という気にもなってきたのである。

なんだかんだいいながらも私は,ディジタルカメラを15年以上使ってきた。しかし,撮影を楽しむことが目的の場合は,どうしてもフィルムでの撮影を選びがちであった。はじめて入手したディジタルカメラは,30万画素級のRICOH DC-3だった(1998年5月27日の日記を参照)。これで「作品」をつくろうという発想にならないのは,まあ,しかたないだろう。
 ついで入手したOLYMPUS C-1400Lは,いろいろと撮ってみようと思わせるディジタルカメラだった(1999年4月15日の日記を参照)。得られる画像は1280ピクセル×1024ピクセルにすぎないが,それを気にせずA4判にプリントすると,粒子の荒れたフィルムっぽい雰囲気も出てけっこうおもしろいものになった。ただし,OLYMPUS C-1400Lで最高画質で撮影すると,8MBのスマートメディアに8コマ程度しか記録できない(本来のOLYMPUS C-1400Lは,8MB以下のスマートメディアにしか対応していなかった)。フィルムで撮るよりも,ずっと面倒なものだったので,撮影をじゅうぶんに楽しむまでには至らなかったものである。
 さらに,Nikon D70を購入した(2004年12月30日の日記を参照)。撮像素子の大きさに応じてファインダーの視野が小さいことを除き,ユーザインタフェースに関しては一眼レフカメラそのものだから,撮影はスムースにおこなえる。撮像素子は600万画素のもので,発色も無難なものになっているため,ふつうに撮れば,ふつうにきれいに写る。しかし,ワイド四つ切くらいにプリントすると,ときどき微妙なノイズ(おそらくJPEGの圧縮に関するものだと思う)が出てくることがある。これが微妙なものなので,かえって気になる。OLYMPUS C-1400Lの画像のようには割り切れない。撮影を楽しむという目的よりも,L判から2L判程度のプリントをお手軽につくりたい,という目的で使うようになった。
 このようにディジタルカメラとつきあってきた期間はさほど短くないものの,「撮影を楽しむ」という目的でディジタルカメラを使うことは,ほとんどなかったのである。

その状況が変わってきたのは,昨年秋以降のことだ。
 私にとってはじめてのディジタル一眼レフカメラNikon D70を購入してから10年以上たって,ようやく2台目のディジタル一眼レフカメラを入手した。その,FUJI FinePix S2 Proで得られる画像に,「楽しさ」を感じることができるようになったのである。1つは,手軽に撮って手軽に出力したときの肌色が,とても自然に感じられたことがある(2015年12月31日の日記を参照)。全体の色の雰囲気が,どことなく「富士フイルム」っぽく感じたのだ。誤解を恐れずあえてたとえるなら,Velviaの雰囲気ではなく,REALAの雰囲気である。また,無理に高感度(ISO 1600相当)に設定して撮ってプリントすると,ひと昔(いや,ふた昔以上?)前の高感度フィルムで撮った写真のような雰囲気になる。ともかく,FUJI FinePix S2 Proで得られる画像は,「撮影を楽しむ」ことができるものに感じられたのである。

FUJI FinePix S2 Proを入手したことは,間違いなく,私にとっての大きな転機になっている。

今年の1月には,さらに大きな動きがあった。Kodak DCS 460(2016年1月14日の日記を参照)とFUJIX DS-505A(2016年1月4日の日記を参照)をいただいたことである。いずれも電源関係が不調になっていたものだが,幸いにも,なんとか実用できる状態に復活させることができた。

FUJIX DS-505Aは,画素数も少なく発色に特徴は感じられないが,その構造上,交換レンズをすべてフロントコンバージョンレンズのように使う。マウントまわりに連動ピンなどがないので,初期のオートニッコールを無改造で使用することができる,という面がおもしろい(2016年3月28日の日記を参照)。

Kodak DCS 460は,その発色に独特なものがあるようだ。とくに調整せずにJPEG形式に変換すると,Ektachrome Dyne EXをスキャナで取りこんだ画像のような雰囲気を感じられた(2016年1月22日の日記を参照)。このときになってようやく私は,フィルムで撮るかわりに,ディジタル一眼レフカメラを積極的に使っていこう,という気になったのである。

さらに,Nikon D1にもご降臨いただくことができた(2016年2月15日の日記を参照)。

Nikon D1で撮影される画像は,およそ260万画素相当のものである。しかし,撮像素子そのものは1000万画素をこえるものが使われており,4画素で撮影された情報が,1画素として出力されているとのことである。そのため,画像の階調等に比較的余裕があるようだ。先に入手したKodak DCS 460の撮像素子は600万画素のものであるが,600万画素級のディジタル一眼レフカメラでよく使われていたAPS-Cサイズのものではなく,一回り大きいAPS-Hサイズとよばれる撮像素子を使っている。FUJI FinePix S2 Proは,撮像素子の画素がハニカム型に配置されることで,1つ1つの画素が比較的大きくなっているという。これらの機種は,画素数のあまり多くない比較的初期のディジタル一眼レフカメラであるが,そこから得られる画像は,数値から受けとるほどの劣ったものではない。むしろ,余裕が感じられるものになっている。

昨年秋に入手したFUJI FinePix S2 Proは(本来の用途は不明だが)特別仕様になっており,記録時に「JPEG高画質」モードを選択できなかった。また,FUJI FinePix S2 Proが出力する画像は個人的に気に入ったので,予備的にもう1台確保しておいてもよいと考えていた。そこで2台目として,ノーマル仕様のFUJI FineFix S2 Proをこの夏に確保した(2016年8月6日の日記を参照)。

そして,縁あって,Kodak DCS Pro 14nをいただいた(2016年8月26日の日記を参照)。

私は,2014年の年末の日記に,こう書いた(2014年12月31日の日記を参照)。
 「できるだけ早期に,ライカ判サイズの撮像素子をもつ,ニコンのディジタル一眼レフカメラをお迎えしたいと考えているのであるが,はたしてどうなるか。」

その翌年,2015年の年末の日記には,こう書いた(2015年12月31日の日記を参照)。
 「来年こそは,ライカ判サイズの撮像素子をもつ,ニコンのディジタル一眼レフカメラをお迎えしたいものだが,はたしてどうなるか。」

ようやく,「ライカ判サイズの撮像素子をもつ,ディジタル一眼レフカメラをお迎えできた」と,日記に書くことができたのである。Kodakのディジタルカメラであるが,ニコンのカメラをベースにつくられたものであり,当然ながらニコンFマントのレンズを使うことができる。これによって超広角レンズも使いやすくなり,ディジタルカメラでの撮影範囲が大きく広がることになった。

昨年秋までは,Nikon D70が1台あるだけだった。それが,Nikon D1,FUJI FinePix S2 Proが2台,FUJIX DS-505A,Kodak DCS 460,Kodak DCS Pro 14nが2台と,ディジタル一眼レフカメラのシステムを一気に充実させることができたのである。快くこれらの機材をゆずってくださった方々には,厚く御礼申しあげたい。
 このなかには,どうしても出番が多くないものもあるが,それぞれ適宜,使い道がある。たとえば,これまでおもにEktachromeで撮ってきた風景の撮影には,Kodak DCS Pro 14nをおもに使いたい。発色の雰囲気が大きく違わないように感じられるし,超広角レンズを使いたい場面には有利である。これまでおもにフジのネガカラーで撮ってきた日常的な場面では,おもにFUJI FinePix S2 Proを使いたい。花の接写など,過激な発色がほしいときには,Kodak DCS 460を使うのも,1つの選択肢としてもっておきたい。ファインダーのよさを重視したいときは,Kodak DCS 460のほかに,Nikon D1も選択肢となる。
 今後,おもな用途が違ってくることがあるかもしれないが,ディジタル一眼レフカメラを使い分けることは,銘柄の異なるフィルムを使い分けることにも似た,楽しさが感じられるのだった。

そして,年末が近づいた今月になって,もう1台のディジタル一眼レフカメラが私の戦列にくわわった。

Canon EOS 10Dである。私にとってはじめての,ディジタルのEOSだ。というよりも,私にとってはじめての,ニコンFマウントではない,ディジタル一眼レフカメラである(レンズ固定式のものを除く)。ただし,これを入手した目的は,キヤノンのレンズを使うことではない。マウントアダプタを利用して,マミヤセコールを楽しむことが,目的である(2016年12月7日の日記を参照)。ともあれ,Canon EOS 10Dも,適宜,使い分けができそうである。


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