撮影日記


2016年11月25日(金) 天気:晴のち曇

標準マイクロレンズを見直す
やっぱりこれだぜ,Ai Micro-NIKKOR 55mm F2.8S

一般的に接写用のレンズでは,焦点距離100mm前後の「中望遠マイクロレンズ」とよばれるものが,もっとも使いやすいとされる。100mm前後のレンズで1/2倍から等倍程度の撮影をする場合,被写体までの距離が30cm程度になる。これはじゅうぶんに手が届く範囲であるが,レンズが被写体に接触することもない,近すぎず遠すぎずの手ごろな距離なのである。これに対して,焦点距離200mm前後の「望遠マイクロレンズ」で1/2倍から等倍程度の撮影をする場合,被写体までの距離が50cm〜70cm程度になるので,被写体に手が届きにくくなる。一方で,被写体との距離がある程度保てるので,たとえば昆虫などの撮影に適しているとされる。また,200mmくらいの望遠レンズでは遠近感の圧縮効果も強く,背景に余計なものが写りこむこともないので,すっきりした構図が期待できる。とはいえ,圧縮効果や背景の整理に関しては,100mmくらいの中望遠レンズでもじゅうぶんな場合が多い。また,レンズもある程度コンパクトにおさまることから,総合的に考えて,100mmくらいの中望遠マイクロレンズがもっとも使いやすい,ということになる。
 だが,中望遠マイクロレンズばかり使っていると,ワンパターンの写真を量産するだけになってしまうかもしれない。たまには,標準マイクロレンズも使ってみよう。

FUJI FinePix S2 Pro, Ai Micro-NIKKOR 55mm F2.8S

期待通り,シャープに写ってくれた。
 FUJI FinePix S2 Proでは,AFではないMicro-NIKKORを使うときに露出計がはたらかないのだが,今日のように日差しが安定しているときは,いちど基準になる露出を決めれておけば,あとはほとんど問題なく撮影できる。

FUJI FinePix S2 Pro, Ai Micro-NIKKOR 55mm F2.8S

また,FUJI FinePix S2 Proの撮像素子はAPS-Cサイズなので,撮影倍率は1/2倍程度だが,写る範囲はライカ判での中望遠マイクロレンズに相当する。結果として,構図を作りやすく撮りやすい状況になっている。

ニッコールレンズは全般的にシャープなことで定評があるが,マイクロニッコールレンズは一般用レンズのなかではとくに評価が高い。そのなかでもとくに,Ai Micro-NIKKOR 55mm F2.8Sは,「おすすめ」している人をよく見かける。
 接写だけでなく,少し離れた被写体にでも,じゅうぶんに使える。さすが,マイクロニッコールの描写だ。

FUJI FinePix S2 Pro, Ai Micro-NIKKOR 55mm F2.8S

さらに,わざとピンボケにして撮ってみた。イルミネーションの丸ボケの1つ1つが,じつにシャープに見える。

FUJI FinePix S2 Pro, Ai Micro-NIKKOR 55mm F2.8S

…なんてことまで言ってしまうと,少々うさんくさいものになってしまう(笑)。だが,使って楽しいレンズの1つであることは,間違いない。
 もし,「ニッコールレンズをなにか1本だけ体験したい」というならば,検討対象にくわえるべきレンズの1つである。


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