撮影日記


2016年11月06日(日) 天気:晴

三段滝で小鳥の群れを見た

「広島県」と聞くと,「海」をイメージする人が多いのではないだろうか。
 全国的に著名な観光地と思われる地名を列記すれば,「宮島」「広島」「呉」「尾道」となる。内陸部で全国的にそれなりに知られた地名といえば,せいぜい酒で有名な「西条」くらいだろうか。その酒でさえも,NHKのドラマ「マッサン」の影響で,むしろ海岸部の「竹原」のほうに目を向けられてしまったことだろう。
 だが,いうまでもなく広島県は,海岸部だけではない。内陸にも,ずっと広がっている。ぜひ,地図で確認していただきたい。広島県は,文字通り,広いのである。もちろん,別格である北海道や東北6県よりは狭い。だがそれでも,全国では11位の広さであり,これは近畿地方・中国地方・四国地方・九州地方といった西日本の範囲では,鹿児島県に次いで広いのである(*1)。そして,山口県,岡山県,島根県と鳥取県に接している。そのため岡山県は,島根県と接していない。なお,広島県と四国の愛媛県とは海で隔てられているので接していないと思われがちだが,「瓢箪島」という小さな島が広島県と愛媛県とに所属しているため,そこには陸上の県境が存在する(*2)。

広島県全体がすっぽりとはまる長方形を考えたとき,一昨日の早朝に訪れた常清滝(2016年11月4日の日記を参照)は,そのほぼ中央付近に位置する。常清滝から北西へ進路をとって島根県にはいり,西へ進んだのちに南下してふたたび広島県にもどれば,天狗シデの群生で有名な大朝に至る(2016年11月5日の日記を参照)。お昼ころまで天狗シデを撮影した後,こんどこそ三段峡の三段滝へ向かうことにした。そこは,広島県の西の端に近いところになる。
 大朝から三段峡へ向かうには,大朝ICから戸河内ICまで高速道を利用するのがわかりやすい。だが私が向かう先は三段滝なので,芸北町から大規模林道を利用して深入山のところへ出るようにする。

三段峡の駐車場に到着したのは,13時ころ。予定よりすっかり遅くなったので,もうまったく急ぐ必要はない。期待したほど進行していないものの,紅葉は楽しめる状況だ。よく晴れているため,峡谷のなかは相対的にかなり暗い状況になる。日の当たっている紅葉した葉が,水面にきれいに反射してくれた。

Kodak DCS Pro 14n, AF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-ED

そして三段滝に着いたとき,時刻は14時を過ぎていた。よく晴れた日の午後には,滝の上部にはよく日があたっていても,下部は完全に日陰になっている。だから,三段滝全体を撮りたいときは,早朝が好都合なのである。早朝なら,人も少ないのでそういう意味でも好都合だ。ただし,クマにはいちおう気をつけたほうがよい。

Kodak DCS Pro 14n, AF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-ED

こういうときは,展望台から滝全体を撮ることはあきらめる。低い位置で,落ちてくる水の迫力をおもにねらうことにしよう。

Kodak DCS Pro 14n, AF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-ED

展望台にもどり一息ついているとと,多くの鳥が群れている。気がついてずいぶんたってから,いちおうカメラを向けたものだが,それでもこれだけ多くの鳥が群れている。残念ながら私には,この鳥の名前はわからない。小型の鳥であるが,三段滝でこれだけの鳥の群れを見た記憶はない。

Kodak DCS Pro 14n, AF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-ED

珍しいことのように思うが,私がこれまでまったく気にしていなかっただけのことで,珍しいことではないのかもしれない。

Kodak DCS Pro 14n, AF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-ED

三段滝から駐車場への道は,ほぼ西へ向かうことになる。時刻はまだ15時ころだが,今時期は日没が早い。ほとんど夕方の光線は,ときとしてフォトジェニックな光景をうみ出すように思う。

Kodak DCS Pro 14n, AF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-ED

光線は,最高だ。
 逆光の光線に透ける紅葉した葉,シルエット状態の規則的な枝,そして水面の反射。
 要は,「逆光は勝利」である。

Kodak DCS Pro 14n, AF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-ED

こういうとき,わざとピンボケにしてみるのも,おもしろい。ほどよくピンボケになれば,光る葉がそれぞれ一定の面積をもった点になり,新印象派の点描画のような雰囲気になる。

Kodak DCS Pro 14n, AF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-ED

ただし,過ぎたるは及ばざるがごとし。
 ピンボケさせすぎると,なにが写っているのかまったくわからない状態になる。抽象画のような雰囲気を目ざすならばこういうのもアリかもしれないが,私にはよくわからないのである。自分がわかっていないことには,手を出してはいけないだろうから,今日はこれくらいにしておこう。

*1 都道府県別面積の順位 (国土交通省国土地理院,平成27年10月1日現在)
http://www.gsi.go.jp/KOKUJYOHO/MENCHO/201510/sanko/large_ken.pdf

*2 広島県の文化財 - 瓢箪島 (広島県教育委員会)
http://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/bunkazai/bunkazai-data-300030020.html


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