撮影日記


2016年10月25日(火) 天気:くもり一時あめ

OLYMPUS OM101とOLYMPUS SC35

OLYMPUS OM101のパワーフォーカスは,高く評価すべき機構である。しかしながらOLYMPUS OM101はあまり売れなかったようであり,そのパワーフォーカスを継承した後継機が発売されることはなかった。現在,中古カメラ店でOLYMPUS OM101を見かけることは,非常に少ない。
 OLYMPUS OM101のパワーフォーカス機構はたいへん魅力的であるが,そのままではプログラムAE専用機であり,実際に使うにあたっては少々ものたりない。そこで欲しくなるものが「マニュアルアダプタ2」である。これを装着することで,OLYMPUS OM101はプログラムAEにくわえて,絞り優先AEとマニュアル露出モードとが使えるようになる。しかし,そもそも見かけることが少ないOM101の,その専用のオプション品である「マニュアルアダプタ2」が単体で売られているのを見かける機会は,今となってはほとんどないのが現実だ。

ところで,中古カメラ店ではときどき,OLYMPUS OM101によく似た外見のOLYMPUS SC35というカメラを見かけることがある。中古カメラ店で見かけるOLYMPUS SC35にはたいていの場合,マニュアルアダプタらしきものが装着されている。
 これは,OLYMPUS OM101でも使用できるのだろうか?
 それを確かめるために,2台セットで出品されていたOLYMPUS SC35を落札した。

2台とも,マニュアルアダプタらしきものが装着されている。1台は電池ボックスが腐食していて電源がONにならないとのことだが,目的はマニュアルアプタだけである。マニュアルアダプタが問題なく動作するなら,本体が動作しなくてもよい。
 結論から書けば,OLYMPUS SC35に装着されていたマニュアルアダプタは,OLYMPUS OM101でも使用することができた。ただし,シャッター速度ダイアルのほうはとくに問題ないが,絞りダイアルのほうは目盛が「露出補正値」になっているので,読み替えが必要である。とりあず,OLYMPUS AF 35-70mm F3.5-4.5を使うときは,この画像の位置が「開放」であり,2目盛ごとに1段ずつ絞り込まれていくようだ。
 ともあれ,これを装着したことで,OLYMPUS OM101は,プログラムAEモード,絞り優先AEモードおよびマニュアル露出モードが使える,マルチモードAE機に進化して,実用性が向上したのである。

OLYMPUS SC35は,OLYMPUS OM101とよく似ているが,異なる点も多い。
 OLYMPUS SC35は,内視鏡などに接続して撮影するための,特殊な用途のカメラである。ファインダースクリーンは,接続する装置にあわせた専用のものになっており,その違いによってOLYMPUS SC35にはいくつかの「タイプ」がある。とくに,工業用内視鏡専用とされたOLYMPUS SC35 TYPE15は,少なくとも2007年ころまではオリンパスのWebサイト(*1)に記載があった。
 このたび入手したものは,医療用内視鏡撮影用とされるOLYMPUS SC35 TYPE9と顕微鏡撮影用とされるOLYMPUS SC35 TYPE12である。どちらも,特殊なファインダースクリーンが固定されている。

とくに「TYPE9」のファインダースクリーンは,中央が大きく円形に透過しているため,非常に見にくい視野になっている。

「TYPE12」のファインダースクリーンは,十字透過式のものになっている。全面が同じように透過式なので明るく,TYPE9よりは見やすいものになっている。

さて,OLYMPUS SC35とOLYMPUS OM101とは,たまたまボディの枠を共用しているというだけで,まったく別のカメラであると考えるべきだ。そのいちばんの相違点といえるのは,OLYMPUS OM101最大の特徴であるパワーフォーカスのダイアルが,OLYMPUS SC35には存在しないことである。パワーフォーカスがなければ,OM101がOM101である意味はない。


また,OLYMPUS SC35は,内視鏡などを撮影レンズとして使用することが前提のカメラで,オリンパスAFレンズ(およびPFレンズ)を装着して使用すること想定されていない。そのため,OLYMPUS OM101とは違ってプログラムAEモードが用意されていない。OLYMPUS SC35は,絞り優先AEまたはマニュアル露出モードで使用することが前提のカメラである。


外見だけではわからない,OLYMPUS OM101とOLYMPUS SC35として,ファインダー内表示の有無についても指摘しておこう。
 OLYMPUS OM101では,ファインダー内に「P」という文字が表示され,プログラムAEモードになっていることを示す。暗くなってフラッシュが必要な状況になると,この表示が点滅する。マニュアルアダプタ2を装着して,絞り優先AEモードに切り替えると,ファインダー内の表示が「A」になる。マニュアル露出モードに切り替えると,アンダーやオーバーを示す「▼」や「▲」が表示される。
 OLYMPUS SC35では,これらの表示はない。

目立つ相違点は,まだまだある。
 OLYMPUS OM101ではレンズリリースボタンのある部分が,OLYMPUS SC35では電気接点になっている。


OLYMPUS SC35にはレンズリリースボタンがない,ということは,OLYMPUS SC35にオリンパスAFレンズを装着するとどうなるのだろうか?まさか,装着したが最後,二度とレンズを外せなくなるという恐怖が待っているのだろうか…?
 …という外道な仕様には,なっていない。レンズリリーズボタンがないことは,すなわち,レンズをロックする突起もないということなのだ。オリンパスAFレンズを装着しても,ちゃんと外すことはできる。この点は,安心してよい。
 そして,実際にオリンパスAFレンズを装着してシャッターレリーズ操作をおこなったところ,オリンパスAFレンズはつねに最小絞りの状態になる。OLYMPUS SC35では,オリンパスAFレンズは事実上,使えない。

実際に操作し観察してみると,ほかにも相違点はいろいろあることがわかる。ともかくここではっきりと書いておきたいことは,OLYMPUS OM101とOLYMPUS SC35は,外見が似ているだけである。実際にOLYMPUS SC35を手にすればすぐにわかることであるが,まったく別のカメラである。もしかするとその姿を見ただけで,ほとんど同じようなカメラであると早とちりしてしまう人もあるかもしれないので,ここではっきりと書いておくことにした。
 そして,OLYMPUS SC35についている「マニュアルアダプタ」らしきものは,OLYMPUS OM101で「マニュアルアダプタ2」のかわりに使うことができた。目盛の表記がまったく異なるので,そこの読み替えが必要ではあるが。

*1 工業用内視鏡:専用35mm一眼レフカメラSC35 (TYPE15) (オリンパス光学工業株式会社) Internet Archives
https://web.archive.org/web/20070819121409/http://www.olympus.co.jp/jp/insg/rvi/product/sc/sc35_sf.cfm


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