撮影日記


2016年10月06日(木) 天気:曇

暴走するシャッターをくいとめろ!
リコーXR-Xの復活

先日,1円で落札した「ジャンクカメラ 38台セット」には,動作する状態のOLYMPUS OM101が含まれていた(2016年9月28日の日記を参照)。そして,PENTAX superAも動作するようになった(2016年10月01日の日記を参照)。残りはあと36台だ。つぎは,このカメラを調べてみることにした。

リコーから発売された一眼レフカメラとして,はじめて電動ワインダーを内蔵した機種である。このRICOH XR-Xが発売された1987年にはすでに,ミノルタ,ニコン,オリンパス,ペンタックス,京セラ,キヤノンといったほかの主要なメーカーでは,オートフォーカス一眼レフカメラのラインアップが出そろっていた。そんな時代に発売された,マニュアルフォーカスの一眼レフカメラである。プログラムAEをはじめとするマルチモードAEを搭載し,ワインダーを内蔵していたとはいえ,話題性に欠ける存在だったのではないだろうか。同時期に発売された他社のオートフォーカス一眼レフカメラにくらべれば,中古カメラ店の店頭で見かけることはごく少ないものである。
 電池ボックスには激しい腐食の跡があったが,清掃してあたらしい電池(単4型乾電池 4本)をいれれば,電源はONになった。
 いつものように,簡単に解決だ。その瞬間までは,順調だった。
 異変が起こったのは,電源がONになった直後である。
 カメラは急に動きだし,ミラーが上がって止まってしまった。

壊れる寸前だった状態のところに,とどめを刺してしまったのだろうか?

なにが起こっているのか,そして,どんな可能性があるのか,考えをめぐらせる。そのとき,ぱしゃん,とミラーが下りた。それは何秒後のことだっただろうか,たぶん10秒もかかっていない。しかし,それまでの時間は永遠にも等しく感じられた。だが次の瞬間,ふたたびカメラは動作し,ミラーは上がって止まってしまった。
 いったい,なにが起こったのだろうか?
 カメラ上面の液晶ディスプレイには,「Auto」と読める文字が表示されている。レバーやボタンを操作しても,変わらない。ほかには,バッテリー残量を示すと思われる記号と「C」という文字のある記号が表示されている。とりあえず,バッテリーはびんびんである。

ふつうに考えれば,この紙が重なったような記号と「C」の文字は,「連写」モードをあらわしているはずだ。
 そうするうちにまたカメラは動作し,ミラーが上がって止まる。
 どうやら,連写モードになっていて,かつAEモードになっている。夜の室内だから,露光時間がそれなりに長いものになっている。そして,シャッターレリーズボタン周辺がショートして,シャッターレリーズボタンが押され続けている状態になっているのではないだろうか?
 シャッターレリーズボタンを触ってみると,「半押し」の感触がない。
 電池ボックスが激しく腐食していた影響で,シャッターレリーズボタン周辺にトラブルが発生している可能性が高い!

軍艦部の分解は,とても容易である。
 周辺にあるネジをはずすだけでよい。レバーやクランク類をはずす必要もなければ,軍艦部をはずしたときに,レバーやボタンが落ちてくることもない。また,電気式カメラによくあるような,フレキシブル配線でボディと軍艦部とがつながっているようなこともない。この部分の分解は,じつに単純で容易である。この点には,大いに好感がもてる。

予想通り,シャッターレリーズボタンの接点周辺には,電池の腐食に由来するものと思われる錆が付着していた。これが積もったことで,接点をショートさせていたのかもしれない。

接点の裏側も同様である。

これらを清掃し,元通り組み直した結果,カメラはふつうに動作するようになった。表面に付着していただけで,配線そのものを腐食させるほどの重症ではなかったようである。
 シャッターレリーズボタンを押したときだけ露出計が反応し,さらに押しこむとシャッターが動作する。AEも反応しているし,マニュアル操作でシャッター速度を変えたときに,実際のシャッターの動作も変化している。
 さらに,シャッターレリーズボタン側の接点も清掃し,ちょっと位置を調整したら,調子よく動きはじめてくれた。
 RICOH XR-Xの復活である。

RICOH XR-Xは,先日復活したPENTAX superAど同様に,プログラムAEも可能なマルチモードAE機である。レンズマウントは,どちらもKマウントとよばれるバヨネット式のもので,レンズが共用できる。しかし,PENTAX superAのほうは,プログラムAEに対応させるための電気接点が設けられた,KAマウントとよばれるものになっている。RICOH XR-Xのほうには,そのような電気接点はない。つまり,プログラムAEに関しては,レンズが共用できないのかもしれない。そのあたりを確認するためには,PENTAX AレンズやRIKENON Pレンズなどが必要である。「よい出会い」があるように,気をつけておくことにしよう。


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