撮影日記


2016年06月04日(土) 天気:雨

F-801にMB-10

のちのオートフォーカスシステムとの互換性がないNikon F3AFを除いて,ニコンからはじめて発売されたオートフォーカス一眼レフカメラNikon F-501は,まだ,マニュアルフォーカス一眼レフカメラの雰囲気が強く残る機種であった。たとえばシャッター速度ダイアルには,シャッター速度の数値が記されており,そこにはさらにA(絞り優先AE)やP(プログラムAE)のモードもある。また,マニュアルフォーカスのニッコールレンズでプログラムAEが使える,数少ない機種の1つでもある。電動ワインダーが内蔵されているが,巻き戻しはクランクによる手動となっている点も,マニュアルフォーカス一眼レフカメラからフルオート撮影も可能なオートフォーカス一眼レフカメラへの過渡期にあたる製品であることを物語っているようだ。
 つぎにニコンから発売されたオートフォーカス一眼レフカメラは,マニュアルフォーカスのニッコールレンズの使用が大きく制約された,エントリーモデルのNikon F-401だった。そして1988年には,上級機としてNikon F-801が発売された。マルチパターン測光や1/8000秒高速シャッターなどが目立つセールスポイントであったが,従来のようなシャッター速度の値が記されたダイアルがなくなり,ダイアルを回して液晶表示に記された数値を確認するという操作体系を取り入れたことも重要なポイントである。ともかく,ニコンのオートフォーカス一眼レフカメラは,Nikon F-801でその基本が確立した。のちの機種は,Nikon F-801を改良していっただけのものである,と言ってしまいたい。

Nikon F-801の後継機として1992年には,多分割評価測光に距離情報も取り入れるようになったNikon F90が発売された。1994年に発売されたNikon F90Xは,Nikon F90のAF性能を向上させるなどの改良が加えられている。Nikon F90とNikon F90Xのもっともわかりやすい違いとしては,縦位置グリップMB-10への対応がある。Nikon F90Xの標準バッテリーホルダをはずしてMB-10を取りつけると,カメラを縦位置に構えるときに持ちやすいグリップが加わるとともに,縦位置に構えたときに使いやすいレリーズボタンも使えるようになる。なお,標準バッテリーホルダを使うときも,MB-10を使うときも,電源は単3乾電池4本であることにかわりはない。だから,Nikon F90にMB-10を取りつけることはできるが,縦位置レリーズボタンが使えないので,カッコよくなるだけであまり意味がない。
 いや,カッコよくなることは,とても重要な要素かもしれない。

Nikon F-801の標準バッテリーホルダは,Nikon F90およびNikon F90Xの標準バッテリーホルダと同じ形状である。Nikon F-801にくらべるとNikon F90/Nikon F90Xはボディがやや厚くなったように見えるが,実際にはほぼ同じ大きさである。そして三脚ネジ穴の位置も,ほぼ共通している。したがって,Nikon F-801にもNikon F90X用の縦位置グリップMB-10をつけることが可能である。

とりつけてみると,思ったよりもカッコよい。
 Nikon F-801には縦位置グリップ等は用意されていなかったから,こういう姿はあまり見かけないものである。なおさら,カッコよく見える。惜しいことに,Nikon F-801とNikon F90/Nikon F90Xとではボディの曲面が微妙に異なることから,MB-10がボディに密着せず,わずかに隙間が生じている。まあ,それは気にする必要はないだろう。
 ただし,MB-10を使っても使わなくても,Nikon F-801の電源は,単3乾電池4本である。また,縦位置レリーズボタンも効かない。つまり,Nikon F-801にMB-10をとりつけても,意味はないのである。
 いや,しかし。
 カメラがカッコよくなることには,やはり大きな意味があるのは間違いない。


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