撮影日記


2016年05月31日(火) 天気:晴

古いディジタルカメラを使うには
古いパソコンも必要なのである

このたびようやく,リコー「DC-3」(*1)を再入手することができた。

RICOH DC-3というディジタルカメラは,私がはじめて入手したディジタルカメラであった(1998年5月27日の日記を参照)。その後,OLYMPUS C-1400Lを入手したことをきっかけに手放してしまった。RICOH DC-3の撮像素子は35万画素クラスのもので,記録される画像の大きさは640ピクセル×480ピクセルである。つまり,画質的にはまったく見劣りするわけで,もう使うことはないだろうと,手放したのであった。
 しかし,RICOH DC-3には,大きな特徴があった。60cmより遠方については固定焦点であったが,1cmから60cmまでの接写領域では,マニュアルフォーカスになっていたのである。古いディジタルカメラを「クラデジ」と呼んで,その工夫の跡を見直そうと考えたとき(2015年9月10日の日記を参照),RICOH DC-3のこの機能はぜひとも再確認したかったのである。

中古カメラ店では,RICOH DC-3を見かけることはなかった。その後継機であるRICOH DC-3Zはなんどか見かけることがあったが,RICOH DC-3はなかなか見かけないのである。RICOH DC-3Zは,RICOH DC-3の数か月後に発売された。3倍ズームレンズ,オートフォーカス,スマートメディア対応など,RICOH DC-3よりも大幅に機能が強化されている。そのため,RICOH DC-3ZにくらべてRICOH DC-3が市場に出回った量は,少なかったのだろう。
 この冬にRICOH DC-3G (RICOH DC-3Zの色違い)を入手したが,これは接写領域でもオートフォーカスになっているため,マニュアルフォーカスでの接写はできないのである(2016年2月8日の日記を参照)。

では,RICOH DC-3で接写した画像を見てみよう。

RICOH DC-3

ノートパソコンのキーボードを接写したものである。このとき,ほぼ最短撮影距離になっている。

RICOH DC-3

新聞紙面をほぼ最短距離で撮影すると,これくらいの範囲が写る。

このように,接写領域に限定すれば,RICOH DC-3にはまだまだ使い道がありそうに思われる。
 しかし,RICOH DC-3を使うには,大きな問題がある。
 RICOH DC-3にかぎらず,古いディジタルカメラを使うときには,大きく2つのことに注意が必要だ。
 1つは,電源の問題である。専用のバッテリーパックを使う機種の場合,それと同じバッテリーパックが現在も発売されていることは,まず,考えられない。当時使われていたバッテリーパックも,劣化してしまっていることが多いだろう。そうすると,危険を伴う行為であるが,殻割して詰め替えをおこなう必要などが生じる(2016年1月10日の日記を参照)。幸い,RICOH DC-3の電源は単3乾電池4本なので,問題はない。
 古いディジタルカメラを使うときの,もう1つの大きな問題は,記録メディアである。現在,記録メディアの主流はSDカードであると言えるが,当然ながらSDカードが発売される以前のディジタルカメラでは,SDカードは使えない。CFカード,xDピクチャーカード,メモリスティック,スマートメディアなど,過去に発売された記録メディアは一通り確保しておきたいところだ。ところが,RICOH DC-3の記録メディアは,先にあげたもののどれでもない。RICOH DC-3は,内蔵メモリにのみ,画像が記録されるのである。専用のケーブルでパソコンと接続し,専用のソフトウェアで画像を取りださねばならないのである。
 幸い,このたび入手したRICOH DC-3には,専用ケーブルと専用ソフトウェアもセットになっていた。だが,事はそう容易ではない。RICOH DC-3の発売は,1997年である。まだ,パソコンにUSB端子は搭載されていない。RICOH DC-3の専用ケーブルは,USBケーブルではなく,RS-232C対応のシリアルケーブルなのである。いま,私の手元にあるパソコンで,RS-232C端子が使えるものは,これしかない。

RICOH DC-3

NECのPC-9821V10,いわゆる「キューハチ」である。Windows95に対応した,キューハチとしては末期のモデルの1つと言ってもよいだろう。これがまだちゃんと動作してくれたので,RICOH DC-3で撮影した画像を取り出すことができたのである。
 しかし,長年使わずに放置していたせいか,内蔵させていたLANボードが動作しなくなっていた。ネットワーク経由で,データを転送することができない。このPC-9821V10に内蔵している光学ドライブは,ただのCD-ROMドライブだから,CD-Rにデータを書き込むことはできない。当然ながら,USB端子などないので,CD-Rドライブを外付けすることもできない。いちおう書いておくと,SCSIボードはずいぶん以前に,廃棄してしまったような気がする。
 そこで,最後の手段,フロッピーディスクの登場となる。フロッピーディスクドライブは,まだ,ちゃんと動作してくれた。画像データがあまり大きくないので,フロッピーディスクでも,まあ問題なくデータを転送できる。そして,古いノートパソコンに専用のフロッピーディスクドライブを接続し,そこからネットワーク経由でメインに使用しているパソコンへデータを転送できたのであった。

古いディジタルカメラを使うときには,その時代のパソコンも用意しておくのがよいだろう。

*1 DC-3 / デジタルカメラ (リコーイメージング株式会社)
http://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/dc/past/dc/3/


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