撮影日記


2016年04月24日(日) 天気:晴

リバースリングでオールドレンズを楽しもう

接写のためのレンズは一般に「マクロレンズ」とよばれているが,厳密には「等倍(フィルム上に実物と同じ大きさで写る)以上の倍率」すなわち拡大して撮影することを「マクロ撮影」という。しかしながら一般に売られている「マクロレンズ」は,せいぜい等倍まで。ズームレンズの「マクロ機能付き」では,1/5倍(フィルム上に実物の1/5の大きさで写る)程度にすぎないものもある。
 拡大撮影のために使われるレンズとして,一般撮影用の「マイクロニッコール」ではなく,産業用レンズとして分類される「マクロニッコール」などの特殊なレンズがある。ただしこれを入手したり使ったりすることは,少々敷居が高い。
 比較的お手軽に拡大撮影をおこなうには,リバースリングを使う方法がある。

これは,レンズを逆向きに取り付けるためのアダプタで,標準レンズや広角レンズを逆向きに取り付けることで,2倍前後の拡大撮影ができるようになる。Nikon BR-2は,フィルタ径52mmのレンズに対応している。拡大撮影用のアクセサリだから,ちゃんと箱にも「MACRO」と書いてある。

ベローズを併用すると,撮影倍率を連続的に変化させられるが,直接ボディに取り付けてもよい。撮影倍率が高くなるので,使用にあたっては三脚やマクロスライダーなどが必須である。マクロスライダーを使えば,前後方向と左右方向とにそれぞれ独立して,カメラの位置を微調整できる。

BR-2リングを使って24mmレンズをボディに取り付けると,撮影倍率は2.5倍となる。このとき,レンズ先端と被写体との距離は,きわめて近いものになる。

レンズのマウント面が被写体のほうを向くので,自動絞り機構ははたらかない。そのかわり,フィルタ径さえあえば,本来の使い方とは違うのだが,古いレンズでも使うことができる。もちろん,レンズマウントが異なっても問題ない。フィルタ径さえ,あえばよい。ただし,ボディに装着しないと絞りが開放にならないタイプのレンズは,そのままでは使えないだろう。絞りリングのないレンズも,つねに開放で使わなければならないなど,使用にあたって制約が生じる。
 絞りを開放にして構図を整え,ピントを調整して,必要に応じて絞りこんでからシャッターレリーズをおこなう。広角レンズや標準レンズのピント調整は,ヘリコイドを回すことによってレンズ群全体を前後させておこなうようになっている。BR-2リングを使ってレンズを逆付したときは,本来移動するべき部分がカメラボディに固定されているので,ヘリコイドを使ってのピント調整はできない。したがって,BR-2を使った撮影では,マクロスライダーが必須になるのである。

拡大撮影の場合,構図を整えるのもピントをあわせるのも,少々手間がかかる(絞り優先AEに頼れば,露出調整については横着できる)。

Kodak DCS460, NIKKOR-N Auto 24mm F2.8, BR-2

クンシランの花を覗きこめば,不思議な光景がそこに広がった。
 こんどは,雄蕊に注目してみよう。

Kodak DCS460, NIKKOR-N Auto 24mm F2.8, BR-2

複雑な形の雄蕊は,宇宙空間にただよう小惑星にたとえるのも,おもしろいかもしれない。

Kodak DCS460, NIKKOR-N Auto 24mm F2.8, BR-2

雌蕊は,そんな雄蕊に囲まれているわけである。
 雌蕊の先についているのは,花粉だろうか?

Kodak DCS460, NIKKOR-N Auto 24mm F2.8, BR-2

そうであれば,結実することを期待してもいいのかな。種がとれれば株を増やすのも楽しそうだが,種からだと花が咲くまでに数年かかるらしい。
 ともあれ,等倍をこえる拡大撮影は,見慣れたものもまったく違ったものに見えてくるのが楽しいのである。


← 前のページ もくじ 次のページ →