撮影日記


2016年03月16日(水) 天気:くもり時々はれ

月を見たなら ファインダーのよさも見えてくる

先週,2016年3月9日には,全国で部分日食が見られ…るはずだった。多くの地域では残念ながら雨天となり,広島でも見ることができなかった。日食の日は,新月の日でもある。それから1週間たった今日は,上弦の月となる。

Nikon D1, Vixen D=80mm f=1200mm

天体望遠鏡を望遠レンズとして(2009年9月1日の日記を参照),Nikon D1で撮影した。これを撮ったとき,Nikon D1のファインダーの見えやすさを認識できた。ピントあわせが,実に楽なのである。Nikon D70のファインダーが,いかに「ヒドイ」ものかよくわかる。もちろん,オートフォーカスを利用して気楽に撮るのであれば,Nikon D70のファインダーでも問題はない。しかし,マニュアル操作できちんとピントをあわせようと考えれば,Nikon D1とNikon D70とでは,そのファインダーの見え具合が天と地ほど,月とスッポンほど違うという現実を思い知らされる。
 Nikon D1はピントあわせがしやすいとはいえ,オートフォーカスが使えれば,もっと楽ができるだろう。かつてニコンからは,TC-16ASというAFテレコンバータが発売されていた(2008年4月25日の日記を参照)。オートフォーカスのボディでこれを併用すれば,マニュアルフォーカスのレンズでも,オートフォーカス撮影ができるのである。ニコンがオートフォーカス一眼レフカメラを発売したときにあわせて用意され,マニュアルフォーカスのレンズをすでに多数もっていたユーザにとって便利なものであった。ユーザを,マニュアルフォーカスからオートフォーカスへ移行させるのに,大いに役立っただろう。
 しかし,TC-16ASはそういう位置づけの製品だったためか,後に発売されるボディではオートフォーカスが使えないようになっていった。TC-16ASが使えるのはF-501,F-801,F-801S,F4,F90,F90X,F5といった機種で,最近のディジタル一眼レフカメラでは使えない。フィルムの一眼レフカメラでも,エントリーモデル,中級モデルや,最後期のモデルでは使えないのである。もちろん,Nikon D1でも,TC-16ASは使えない。TC-16ASを改造して,最近のディジタル一眼レフカメラでも使えるようにしている人もあるようだが,基本的にディジタル一眼レフカメラではTC-16ASが使えないのである。

TC-16ASが使える,ディジタル一眼レフカメラは存在しないのか?

いや,ある。

TC-16ASの対応機種を確認してみよう。そこに,「F90X」が含まれているではないか!

そう,Nikon F90Xにディジタルバックを組みあわせたKodak DCS460なら,TC-16ASでオートフォーカス撮影が可能だ。
 さっそく,天体望遠鏡にTC-16ASを介してKodak DCS460を取りつける。この望遠鏡の焦点距離は1200mm,Kodak DCS460の撮像素子はAPS-Hサイズだから1.3倍の焦点距離に相当する画面となる。そこへさらに,1.6倍のテレコンバータTC-16ASを使うのだから,約2500mm相当の視野になる。TC-16ASは,大きく見えるようになった月にピントをあわせようと奮闘するのだが,残念ながらレンズは前後に行ったり来たりするだけである。口径80mmの天体望遠鏡ではF値は15くらいになり,TC-16ASでピントをあわせられる範囲をこえているのだから,やはり無理であったか。
 TC-16ASをはずして,すなおに自分でピントをあわせることにしよう。

Kodak DCS460, Vixen D=80mm f=1200mm

Kodak DCS460すなわちNikon F90Xのファインダーも,ピントをあわせるのは楽である。Nikon D70とは,やはり別格だ。だが,Nikon D1との比較であれば,やや劣るように感じる。
 Nikon D1は液晶モニタが内蔵されているので,露出がおおむね適正かどうかはその場で確認できるが,Kodak DCS460ではそうはいかない。しかし,AEが使えるので,このような場面であれば大きく露出をはずしてしまうこともない。

FUJIX DS-505Aも,ファインダーは悪くなさそうだ。天体望遠鏡で月を狙っても,ピントあわせは楽である。ただし,オートフォーカス用のAFニッコールレンズあるいはマニュアルフォーカスのAiニッコールレンズでなければ,内蔵された露出計がはたらかない。FUJIX DS-505Aには液晶モニタがないので,撮った画像を見ながら露出をおいこんでいくこともできない。縮小光学系が内蔵されているが,それによる露出をどう補正したらよいかもわからない。だから,まさにテキトーに撮ることになり,結果はかなり露出オーバーになった。

FUJIX DS-505A, Vixen D=80mm f=1200mm

FUJIX DS-505Aも,TC-16ASでオートフォーカス撮影ができるディジタル一眼レフカメラである。
 天体望遠鏡にTC-16ASを介してFUJIX DS-505Aを取りつけてシャッターレリーズをおこなうが,やはりピントが定まらず,オートフォーカス撮影は無理であった。

FUJIX DS-505A, Vixen D=80mm f=1200mm TC-16AS

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