撮影日記


2016年02月10日(水) 天気:曇ときどき晴

Kodak DCS460は夕方を撮るのに適しているか?

Kodak DCS460は,600万画素の撮像素子をもつはじめてのディジタル一眼レフカメラである。その撮像素子は,後に一般的になったいわゆるAPS-Cサイズ(23.6mm×15.6mm前後)よりも少し大きな,APS-Hサイズ(27.6mm×18.4mm)とよばれる大きさのものである。少し大きな撮像素子ながら600万画素しかないことから,1つ1つの素子が比較的大きいものになっている。1つ1つの素子が大きいほど,階調の表現などに有利とされている。そのせいかKodak DCS460で撮影した画像には,ゆとりのようなものが感じられる。3060ピクセル×2040ピクセルで記録された画像から,600ピクセル×400ピクセルの範囲を切り出しても,あまりディジタルっぽさを感じないように思う。

3060ピクセル×2040ピクセルの画像を600ピクセル×400ピクセルに縮小した。
Kodak DCS460, AF Zoom-NIKKOR 24-50mm F3.3-4.5S

3060ピクセル×2040ピクセルの画像から600ピクセル×400ピクセルの範囲を切り出した。
Kodak DCS460, AF Zoom-NIKKOR 24-50mm F3.3-4.5S

このように,必ずしも鮮明な線ではないが,像はじゅうぶんに解像している。このあたりにディジタルっぽさよりも,フィルムっぽさを感じるのである。
 そういう点はよいのだが,カメラの設定値のままでJPEGに出力すると,その画像は妙に赤っぽい。エクタクロームの雰囲気がある(2016年1月22日の日記を参照)といえば長所にもなるが,それにしても赤すぎると感じることが多い。では,赤っぽさを活かすことはできないだろうか。赤い被写体として,まっさきに思い浮かぶものは紅葉である。しかし紅葉の季節までは,まだ10ヶ月ある。ヒガンバナの季節であっても,8カ月は先のこと。モモやサクラの季節ならあと2ヶ月ほどであるが,夕焼け空なら今日にでも見られるかもしれない。
 そこで,西に開けたところでKodak DCS460を構えることにした。

ちょうど引き潮の時間帯にあたったようで,太田川放水路の水はかなり引いている。石垣にはさまっているのか,流木が水面から姿を見せていた。

Kodak DCS460, AF Zoom-NIKKOR 24-50mm F3.3-4.5S

RawTherapee(2016年1月17日の日記を参照)での処理で,ホワイトバランスを「カメラ」の設定にし,露光補正を「ニュートラル」にしてJPEGファイルとして出力した。すると,全体にマゼンタのフィルタを通して見たかのような画像になった。いかにもつくりものっぽいが,手前の流木の印象が強くなるように感じるので,これはこれで悪くないと思う。

Kodak DCS460, AF Zoom-NIKKOR 24-50mm F3.3-4.5S

ホワイトバランスを「自動」にすると,落ち着いた画像になった。実際の空の色は,このくらいだった(と思う)。だがこれは,画像としておもしろくない。

Kodak DCS460, AF Zoom-NIKKOR 24-50mm F3.3-4.5S

ホワイトバランスを「昼光(晴天)」にして,トーンカーブを少しいじると,さらに過激な画像になった。これは「やりすぎ」だが,こういうのが好きな人もあるだろう。

「全体に赤っぽくなってもかまわない」「そのほうが印象が深まる」ということでは,Kodak DCS460は「夕方を撮るのに適している」と結論づけることにしよう。ただし,Kodak DCS460の撮影時の感度は,ISO 80相当である。薄暗くなってきたときには,動く被写体を止めることはできないのである。


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