撮影日記


2016年01月04日(月) 天気:晴れ

塩を吹いたバッテリーをはずせ!
FUJIX DS-505Aの救出

新年早々,友人からの荷物が届いた。その中に,大きなカメラが含まれていた。大きいというのは,背が高いということではなく,厚みがあるということだ。厚みがあってコロッとしたスタイルは,そうだセミ判(6×4.5判)かスクエア判(6×6判)の一眼レフのようである。しかしその実態は,ディジタル一眼レフカメラであった。

富士フイルムのロゴとニコンのロゴとがついた,ダブルネームなカメラである。ニコンの一眼レフカメラに富士フイルムのディジタル回路を組み込んだディジタルカメラとして,1996年に発売されたもので,機種名はFUJIX DS-505Aである(*1)。ニコンのブランドでは,Nikon E2Nという名称で発売された。Nikon D1(1999年9月)より,3年前の製品である。
 このカメラの特長は,なんといってもニコンFマウントのレンズが利用できる一眼レフカメラになっているということだ。撮像素子の画素数は130万画素で,撮像素子の大きさは2/3型である。Nikon D1以降のディジタル一眼レフカメラのAPS-Cサイズにくらべると,ずいぶんと小さな撮像素子である。しかしながらFUJIX DS-505Aでは,ミラーの後ろに縮小光学系が組みこまれており,ミラーによってファインダーに導かれる像は,ライカ判そのものである。ライカ判の像は縮小光学系によって,2/3型の撮像素子にすべて導かれることになる。撮像素子の大きさはライカ判ではないが,ファインダーはライカ判であり,ライカ判のカメラと同じ感覚でレンズを使えるのである。
 ただ残念なことに,このカメラは動作しない状態であった。
 見ればすぐわかるように,バッテリーが塩を吹いて,固着してしまっているのである。

バッテリーのリリースレバーは動くものの,これを動かしたところでバッテリーが外れる気配はない。

こうなれば,仕方ない。ライターオイルを少しずつたらしながら,地道にバッテリーから噴き出した塩を削っていく。ある程度,塩を削り取ることができたら,マイナスドライバーの先端で少しずつバッテリーを持ち上げる。少しでも動く気配が見えてきたら,ぐぐっと引き出してみよう。

バッテリーをはずすことができれば,大成功。

電池ボックスの内部にも大量の塩が付着していたが,幸い,電池の接点は汚れている程度で腐食は進行していないようだった。

塩などの汚れを拭き取って接点を磨き,ACアダプタを装着する。電源スイッチをONにすると,無事にカメラは起動した。

AF NIKKORレンズを取りつけて,動作を確認する。オートフォーカスも,露出計も,ちゃんと動作しているようだ。

AF-S NIKKORレンズでも,ちゃんとオートフォーカスが動作する。ただし,VR機構ははたらいていないようだ。

FUJIX DS-505Aのマウント周りには,突起類がなにもない。Aiカプラもなければ,最小絞りになっているかどうかのレバーもない。そのため,Ai方式以前の古いNIKKORレンズも,なんの支障もなく取りつけることができる。

このように,いろいろなタイプのレンズを取りつけられることができるFUJIX DS-505Aだが,残念な面もある。
 もっとも大きな問題点は,画面のケラレだ。縮小光学系のために,広角レンズやズームレンズなどは一部の大口径レンズを除いて「周囲がケラレるために使えない」ことになっている。これは,ファインダーでは確認できないので,取扱説明書の記載を参考に,使いたいレンズがちゃんと使えるかどうか,確認しておく必要がある。上のPC-NIKKOR 35mm F3.5は装着することは可能だが,実際に撮ってみると,ケラレが大きくて実用的には使えない。ましてやめいっぱいシフト操作をすると,画面の半分以上がケラレてしまう。
 別の問題として,露出計との連動がある。AF NIKKORレンズやAi NIKKORレンズを装着したときには露出計がはたらき,AEの各モードも使用可能であるが,Ai以前のNIKKORレンズを装着したときには,露出計がはたらかない。

発売当初は,きわめて高価だったこともあり,あまり市場に流通していないと思われるカメラである。動作が確認できたところでさっそく,いろいろと試し撮りをしてみたいところだが,バッテリーが塩を吹いてダメになってしまっている。ACアダプタでは使用できるが,屋内での撮影だけではおもしろくない。バッテリーをなんとかして,屋外での撮影を試したいものだ。
 富士フイルムから発売されたFUJIX DS-505Aは,本来,スタジオなど屋内での撮影が念頭に置かれたものだとは思う。しかし,ニコンから発売されたNikon E2Nならば,きっと報道関係で使われたことだろう。そうだ,やはり外に出なければならないのだ。

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*1 フジックス デジタルカードカメラ DS-505A (平成8年8月21日,富士写真フイルム株式会社)
http://www.fujifilm.co.jp/news_r/nrj110.html


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