撮影日記


2015年12月31日(木) 天気:晴のち雪

2015年にお迎えしたカメラたち

今年もいよいよ,大晦日。12月31日には,この1年間にお迎えしたレンズやカメラを思い返してみることにしよう。
 毎年,年末にはこういうテーマで日記を書いている。昨年の日記では,「来年は(中略)できるだけ早期に,ライカ判サイズの撮像素子をもつニコンのディジタル一眼レフカメラをお迎えしたいと考えている」とさいごに書いたが,残念ながら,それは実現できなかった。
 そのかわりというわけではないが,今年はついに,2台目のディジタル一眼レフカメラをお迎えした(2015年9月7日の日記を参照)。

FUJIのFinePix S2Proという機種である。これをお迎えする以前に使っていたディジタル一眼レフカメラは,OLYMPUS C-1400Lを除くと,10年以上前に購入したNikon D70だけだったので,私にとって2台目のディジタル一眼レフカメラということになるのである。
 あらたに入手したディジタル一眼レフカメラであるが,じつはFUJI FinePix S2Proのほうが,Nikon D70よりも古い。だから,スペック的にはNikon D70と大差なく,もっとも目立つ数値である撮像素子の画素数は,FUJI FinePix S2ProもNikon D70も,どちらも約600万画素である。ただしFUJI FinePix S2Proの撮像素子は,富士フイルム独自の「スーパーCCDハニカム」というものになっており,補間に都合がよいとのことで,記録する画像の画素数は1200万画素になっていた。さらに,当時としてはダイナミックレンジが広く高感度での性能が高いとされていた。そうは言っても,最高感度(ISO 1600)に設定して撮影すると,初期の高感度フィルムを使ったかのようにノイズが目立つ。しかしながら実際に撮影し,JPEG形式に出力して写真店でL判にプリントしてみると,そのノイズがまったく気にならない。カメラまかせで人を撮ったときなど,その肌が思ったよりもきれいに出力されたりする。もしかすると,ノイズの出方も含めて,フロンティア(カメラ店に設置されている,富士フイルムのミニラボ機)での出力に最適化しているのだろうか?と,想像してしまう。ほんとうにそうだとすれば,さすがフィルムメーカーのつくったディジタルカメラだ,ということになる。
 そういえばずっと以前(Nikon D1が発売された前後のころだったと思う),職場の後輩がディジタルカメラの講習会に出席して,「業務で使えるディジタルカメラは,コダックだけ。あとはせいぜい,フジくらい。みなさんは,ニコンやキヤノンがフィルムを発売したら,それを使いますか?」という意味の説明があった,と教えてくれたことを思い出す。そういう時代は,たしかに存在していたのである。

FUJI FinePix S2Proは,Nikon F80をベースにつくられたディジタル一眼レフカメラである。つまり,フィルムのカメラと併用しても,まったく違和感がない。さらに,少し使ってみてその写りの印象がよかったこともあり,入手以後,ある程度慣れてくると,ボディがやや大柄ではあるもののもっぱらこればかりを使うようになった。
 思ったよりもはるかに具合のよいディジタル一眼レフカメラだったので,Nikon D70を買ったときに購入対象として考えてもいなかったこと(2004年12月30日の日記を参照)を,激しく後悔する。少し高価ではあったが,がんばってFUJI FinePix S2Proかあるいは後継機のFUJI FinePix S3Proを購入すべきだったのではないだろうか,と。
 FUJI FinePix S2Proにも,Nikon D70にくらべて,もちろん劣る面はある。たとえば,ボディが大柄であることや,JPEGとRawの同時記録ができないことなどをあげることができる。そのほかにあるのは,バッテリーの問題だ。Nikon D70は専用の充電式バッテリーを使うが,FUJI FinePix S2Proは,4本の単3乾電池と,2本のCR123Aリチウム電池を使う必要がある。単3乾電池のほうは,Ni-MH充電式電池を使えばランニングコストも安価で,かつ,入手もしやすい。いっぽう,CR123Aリチウム電池は比較的高価である。FUJI FinePix S2Proを購入していたら,電池代に音をあげていたかもしれない。私が,CR123Aリチウム電池型の充電式電池があることを知ったのは,つい最近のことなのである(2015年6月25日の日記を参照)。

ともあれ最近は,FUJI FinePix S2ProとAF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-EDの組みあわせで撮ることが,とても多くなっている。

Nikon AF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-ED

ところで今年前半には,Nikon F4やFUJICA AX-1などといった,以前から入手しておきたいと考えていた一眼レフカメラをお迎えすることができた。また,Nikon F-501AFを非Ai改造することで,Ai以前の古いニッコールレンズをプログラムAEで気軽に使えるようになった。それに加えて,珍しく新品で,コンパクトディジタルカメラNikon Coolpix L30を購入したり,LomographyのSPINNER 360°というパノラマカメラを入手したりなど,とても充実した半年となった。そこまでの経緯は,2015年6月30日の日記にまとめているので,そちらもあわせて読んでおいていただきたい。

7月以降の今年後半には,さきのFUJI FinePix S2Proのほかにも多数のカメラやレンズを入手した。

入手したカメラのうち,もっともフォーマットの小さいものは,YASHICA ATORONである(2015年7月12日の日記を参照)。これは,ミノックス判のカメラである。

逆に,入手したカメラのうち,もっともフォーマットの大きいものは,Lomography Diana+だ(2015年8月28日の日記を参照)。これは,トイカメラではあるが,6×6判の中判カメラである。

CANONFLEX RMとともに入手したSUPER-CANOMATIC LENS R 58mm F1.2は,私にとってはじめての,開放F値がF1.2のレンズである(2015年8月4日の日記を参照)。

ちょっと変わったものとしては,シグマの望遠ズームレンズがある。どこが変わっているのかというと,これがオリンパスAF用,すなわちOLYMPUS OM707用のシグマレンズなのだ。このレンズは,オリンパスAF用以外のものも発売されており,そのためオリンパス純正のAFレンズには存在しないピントリングとピント目盛があることが大きな特徴となる。
 よく知られているようにOLYMPUS OM707のシリーズは,オートフォーカス機能をパワーフォーカス機能に変更したOM101以外に後継機が登場せず,あまり広まることなく市場から姿を消した(OM77AFやOM88は輸出モデルの名称)。そのため,オリンパス純正以外の交換レンズは,あまり見かけることのない存在になっている。

このレンズは八百富写真機店のジャンクコーナーで見つけたものだが(2015年7月11日の日記を参照),マウント側の電気接点が3つしかないので,すぐにオリンパスAF用であることがわかったものだ。こういう珍しいものがジャンクコーナーに放置されていたのは,オリンパスAF用レンズを欲しがる人など,もうほとんど存在していないということだろう。

今年前半のマイブームは,改造したNikon F-501AFを使ってオート・ニッコールで撮影すること(2015年3月25日の日記を参照)と,LomographyのSPINNER 360°を使ってパノラマ写真を撮影すること(2015年6月12日の日記を参照)だった。
 それに対して,今年後半のマイブームは,「クラデジ」だ。
 ここでいう「クラデジ」とは,「クラシックディジタルカメラ」の意味であり,その趣旨は「古いディジタルカメラを楽しもう」というものである。私が考えた「古い」の基準は,OLYMPUS C-1400Lである。これよりも前に発売された機種を,「クラデジ」とみなそうと思う(2015年9月10日の日記を参照)。それらの機種は,画質が物足りない(撮像素子が100万画素クラス以下),USBがなかったりSDカードが使えなかったりするといったデータの記録や転送が現代的でないなどの,「扱いにくさ」のある機種である。それらの苦労を乗り越えながら使ってみるのも,また楽しいものである(2015年9月12日の日記を参照)。
 そんな折に,古いディジタルカメラをまとめて入手する機会があった。そこに含まれていたMITSUBISHI DJ-1000(2015年10月14日の日記を参照)やCASIO QV-70(2015年10月15日の日記を参照)といった機種を使ってみると,ディジタルカメラが一般化していく過程を追体験できるような気がするのであった。そして,OLYMPUS C-1400Lの完成度の高さをあらためて認識することができ,「クラデジ」の境界線をOLYMPUS C-1400Lのところに引くことが,妥当に思えるのである。

今年のさいごには,これを紹介しておこう。

Mamiya U用の脚付きケース「おくのてクン」である(2015年9月16日の日記を参照)。カメラケースでありながら脚がついていて,テーブル三脚として使えるすぐれものだ。カメラをささえる手の表情も,ユニークである。靴には予備の電池を収納できるなど,遊び心が満載だ。こういうアクセサリが提供されていた時代は,カメラにとってほんとうに豊かな時代だったのではないだろうか。

さて,来年はどんなカメラやレンズとの出会いがあるだろうか。来年こそは,「ライカ判サイズの撮像素子をもつ,ニコンのディジタル一眼レフカメラ」をお迎えしたいものだが,はたしてどうなるか。


← 前のページ もくじ 次のページ →