撮影日記


2015年10月01日(木) 天気:雨

ディジタルカメラで8枚撮りなんて冗談じゃない!?
いまさら増えたOLYMPUS C-1400L

最近,「クラデジ」のマイブーム(2015年9月10日の日記を参照)の影響もあって,OLYMPUS C-1400Lを見直している。

OLYMPUS C-1400Lは,1997年に発売されたディジタルカメラである。一般向けのディジタルカメラとしてはじめての「使える画像が得られるディジタルカメラである」として発売当時,高く評価されていた。
 発売当時は「高画質の画像が得られる」という性能を誇っていたOLYMPUS C-1400Lだが,今となってはもちろん,たいした性能ではない。撮像素子の画素数は140万画素で,記録される画像は1280ピクセル×1024ピクセルという程度のものだ。当然のように自動露出やオートフォーカスができるものの,露出に関してもピントに関しても,マニュアル操作ができない。露出については±3EVまでの露出補正が可能だが,1段刻みである。さらに,メニューから呼びだして設定するので,操作がとても煩雑になっている。
 それでも,ファインダーがいちおう一眼レフ式になっており,レンズ先端にネジが切ってあるのでフィルタの利用もおこないやすい。撮像素子は2/3型CCDで,この当時の一般向けディジタルカメラとしては最大級のものである。感度を稼ぐために補色フィルタを使う機種も少なくなかったが,OLYMPUS C-1400Lは鮮やかな画像が得られる原色フィルタを使っていた。大きな撮像素子にあわせて,レンズの口径も大きなものになっており,これらの要素をすべて盛り込んだOLYMPUS C-1400Lは,同時期のほかのディジタルカメラとは明らかに一線を画す,高品位な画像が得られるディジタルカメラだったのである。それは,間違いないことである。
 もちろん,いかに高品位な画像が得られると言ったところで,フィルムカメラや現在のディジタルカメラとくらべれば足元にもおよばないようなものではあるのだが。

現在のディジタルカメラとくらべて不十分に感じられるのは,画質の問題だけではない。
 カメラ本体での画像処理の遅さも,大きな不満が感じられるだろう。OLYMPUS C-1400Lでは,シャッターレリーズボタンを押しこむと,一拍おいて「カチッ」と音がし,露光がおこなわれる。この「カチッ」というのは機械的なシャッター幕が動作する音であり,この音があるおかげで「いま露光がおこなわれた」ということが明確にわかるので都合がよい。それから,撮影した画像データが記録メディアに書きこまれる。その間,液晶ディスプレイに撮影した画像が表示され,データの書きこみ中をあらわすインジケータが点滅する。その時間は,およそ10秒。液晶ディスプレイに表示された画像を眺め,意図通りのものが撮れたかどうかを確認するには,適当である。しかし,データの書きこみが完了するまで,次の撮影動作はなにもできない。
 OLYMPUS C-1400Lに内蔵されているコンピュータの処理速度が遅いところへくわえて,当時としては破格の高画質(多画素数)の画像を扱うのである。処理時間がかかるのも,やむを得ないところであろうか。ともあれ,連写など考えられないことである。現在のディジタルカメラであれば,とりあえず連写しておき,あとからうまく撮れたものをさがすという「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」的な撮影も可能だが,OLYMPUS C-1400Lにとってそんなことは,夢のまた夢である。

OLUMPUS C-1400Lで「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」的な撮影ができないのは,データの書きこみに時間がかかることだけが理由ではない。1枚の記録メディアに記録できる画像の数が少ないことも,大きな理由になる。OLYMPUS C-1400Lの最高画質(SHQモード=JPEG形式低圧縮)で記録すると,1枚の画像データのファイルサイズは,1MB弱になる。OLYMPUS C-1400Lが使う記録メディアは3.3Vタイプのスマートメディアだが,8MB以下のものにしか対応していない。したがって,基本的に記録できる画像は,8枚となる。記録されるデータはJPEG形式なので,撮影した画像の内容によってファイルの大きさが小さくなることもあるが,それでもせいぜい10枚くらいしか撮れない。
 OLYMPUS C-1400Lが8MB以下のスマートメディアにしか対応していないことは,せっかく高画質を誇っているのに,それをじゅうぶんに活かすことができない重大な問題点であるといえるだろう。OLYMPUS C-1400Lが発売された1997年にはまだ,スマートメディアは8MBのものまでしか発売されていなかった。16MBのものが発売されたのは1998年,32MBのものが発売されたのは1999年のことになる。その後,16MBあるいは32MBのスマートメディアに対応できるようになるバージョンアップサービスがおこなわれるようになるが,2010年に受け付けを終了している(*1)。
 私はバージョンアップサービスを受けなかったので,私が使っているOLYMPUS C-1400Lは8MB以下のスマートメディアしか使えない状態である。

OLYMPUS C-1400LのSHQモードで使うとき,8MBのスマートメディアをフィルムにたとえると,「8枚撮り」フィルムということになる。ディジタルカメラの感覚で考えると,「8枚撮り」という撮影可能枚数の少なさは,「冗談じゃない」とちゃぶ台をひっくり返したくなるレベルである。135フィルム(パトローネ入り35mmフィルム)の感覚で考えても,たしかに12枚撮りフィルムも存在するが,主流は24枚撮りであり36枚撮りであるから,やはり「冗談じゃない」レベルである。
 しかし私にとってこの「8枚撮り」というものには,なんとなくしっくりくるものがあった。
 今ごろ気がついたわけであるが,「8枚撮り」というのは,6×9判で120フィルムを使うときと同じ感覚である。「8枚撮り」ではたしかにたくさんは撮れないが,1コマ1コマじっくり考えて撮るならば,使い切るのにけっこうな時間がかかるものである。時間を基準に考えれば,たとえばお昼休みのような1時間足らずの間に使うのであれば,手ごろな量であるともいえる。
 ただし,OLYMPUS C-1400Lで連写ができるなら,「8枚撮り」など,あっという間に使い切ってしまうであろう。連写ができないから,これでもちょうどよいという状況なのである。

OLYMPUS C-1400L, 9.2-28mm F2.8-3.9

最近,ジャンク扱いのディジタルカメラを20台ばかり,まとめて入手する機会があった。破損しているもや,見た目はきれいだが動作しないものも含まれていたが,電池を入れれば動作するものも多数含まれていた。そのなかに,OLYMPUS C-1400Lも含まれていた。私の手元にあるOLYMPUS C-1400Lが,2台になったのである。

一部のネジに錆が浮いていたり,端子カバーのゴムがちぎれているなど,外見の傷みは目立つが,動作は問題ないようである。それどころか,この2台目のOLYMPUS C-1400Lは「16MBのスマートメディアに対応」するバージョンアップが施されていた。

8MBのスマートメディアなら,まだ撮影していないときにはSHQモードで撮影可能枚数が「8」と表示されるわけだが,16MBのスマートメディアならば「16」と表示されるのである。16MBのスマートメディアであれば,実質的に「20枚撮り」くらいに考えてよいだろう。これなら,フィルムとほぼ同じ感覚で使えそうである。

HQモード(JPEG低画質)であれば,撮影可能枚数はさらに増えて,16MBのスマートメディアならば「49」と表示される。これで,36枚撮りのフィルムの撮影可能枚数を上回ることになる。さらにSQモード(640ピクセル×480ピクセル)ならば,「199」となる。

私が,OLYMPUS C-1400Lのバージョンアップサービスを受けなかった理由はいろいろとあるが,その理由の1つに,費用の問題がある。2010年にバージョンアップサービスの受け付けを終了した時点では,その費用は2000円になっていた(*1)が,2000円なら当然だがバージョンアップサービスを受けていただろう。だが,私がOLYMPUS C-1400Lを入手したころ(1999年4月15日の日記を参照)はそのサービス費用はもっと高く,8000円が必要だったのである(*2)。しかも,16MBや32MBなどのスマートメディアは決して安価なものではなかった。それだけの費用をかけてまでは,OLYMPUS C-1400Lを使おうと思わなかったということである。
 もう少し,OLYMPUS C-1400Lで遊んでみよう。

*1 デジタル製品のバージョンアップ(アップグレード)のご案内 (オリンパス光学工業株式会社)
http://www.olympus.co.jp/jp/support/cs/DI/Info/di_vup.html

*2 デジタル製品のバージョンアップ(アップグレード)のご案内 (オリンパス光学工業株式会社) Internet Archives
https://web.archive.org/web/20031007193634/http://www.olympus.co.jp/jp/support/cs/DI/Info/di_vup.html


← 前のページ もくじ 次のページ →