撮影日記


2015年09月28日(月) 天気:晴

安芸長束駅は変わりゆく

広島地区のJRでは,この春の時刻改正にあわせて,ほぼ30年ぶりに新型電車が導入された(2015年3月8日の日記を参照)。今週末からは,いよいよ可部線でも新型電車の運行がはじまるようである。

可部線は,基本的にあまり目立たない路線である。路線は短く(横川駅から可部駅まで14.0km),沿線は都会でも田舎でもない住宅地で,著名な観光地があるわけでもない。とくに2003年11月末をもって可部駅から三段峡駅までの区間が廃止になって以後,ますます目立たない存在になっている。
 大きな変化がないように見える可部線でも,いろいろと細かい変化は生じている。たとえばいまならば,沿線の要望等を受けて,可部駅から先,1.6kmの区間を延長することになっていることが大きな変化としてあげられる(2011年3月5日の日記を参照)。
 そのほかにも,いろいろな変化はあった。たとえば可部線で運転される列車は普通列車ばかりで,特急列車や急行列車の運転がなかった。観光シーズンなどに,三段峡駅へ直通する臨時快速列車が運転されたこと はあったが,横川駅から可部駅の区間では通常の普通列車のかわりとして運転され,この区間で途中の駅を通過することはなかった。だから2004年10月から2012年3月まで運転されていた「快速 通勤ライナー」は,ごく地味な列車であるが,可部線としては大きな変化だった。
 全線単線の可部線では,以前から複線化の要望が出ていたようであるが,結局これまで実現されることはなかった。それでも細かいところで路線の改良はおこなわれている。最近では,横川駅の配線が変更されて,広島駅方面から可部線への出入りが以前よりもスムースにおこなえるようになったというケースがある(2015年1月25日の日記を参照)。
 この3月には,広島駅と横川駅との間に新白島駅が開業し,アストラムラインとの乗り換えがスムースにできるようになった。それまでJRとアストラムラインとを相互に乗り換えられるのは,可部線の大町駅だけであった(2013年5月18日の日記を参照)。その大町駅は,アストラムラインが開業したときに,相互に乗り換えができるように設けられたものである。このような新駅の開業は大きく目立つできごとであるが,それにくらべればあまり目立たない,既存の駅の改良もおこなわれている。可部線の列車は最大4両編成で運転されるが,七軒茶屋駅と上八木駅とはホームが4両分にやや足りず3両分しかなかった。そこでその両駅ではホームからはみだす1両分のドアを開けないようにして運転されていたのだが,2007年の年末ころからホームの長さを4両分にする工事がすすめられていった(2008年3月8日の日記を参照)。

いま,安芸長束駅で工事がすすんでいる。
 安芸長束駅は,可部線のほかの駅にくらべてとくに,狭い場所につくられているように感じる。限られたスペースにむりやり,上下列車の交換ができるような構造を設けたような印象を受ける。そのためか可部方面行きの線路はまっすぐなのに対し,横川方面行きの線路は大きく湾曲している。列車の中間付近では,ホームと列車との間が非常に広くなっているところがあり,慣れない人は危険を感じるのではないかと思われる。また,ホームの両端がとても狭くなっているが,その狭くなっているところギリギリまで列車が止まるようになっている。

Nikon F-301, Ai NIKKOR 28mm F2.8, EB

そしてその狭くなった一端に踏切があり,それを渡って改札口へ向かうようになっている。

Nikon FM, Ai Zoom-NIKKOR 35-70mm F3.5S, E100G

ホームの両端だけを見るかぎり,改良されるまえの阪神電車春日野道駅を彷彿とさせる。もちろん,地下ホームで広くなったところがまったくなく,しかも特急列車が遠慮なく通過していたころの春日野道駅ほどの窮屈さや危険を感じることはない。それでも安芸長束駅では乗客と列車との接触事故がおきたこともあり,なんらかの改良が必要な場所であったことは間違いない。

いま,あたらしいホームの工事が進められている。

FUJI FinePix S2Pro, AF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-ED

あたらしいホームは可部方面行きの列車への乗降に使うようになり,旧来のホームは横川方面行きの列車の乗降に使うようになるのだろう。狭い踏切を渡ることを完全に解消できるわけではないが,乗客が2つのホームに分散されれば通路の混雑が緩和され,安全性が高まるはずだ。
 そしてこれが,今日の安芸長束駅である。工事は着々と進行しているようで,可部線が日々改良されているのは間違いないことである。

FUJI FinePix S2Pro, AF-S VR Zoom-NIKKOR 24-120mm F3.5-5.6G IF-ED

← 前のページ もくじ 次のページ →