撮影日記


2015年03月29日(日) 天気:くもり

ジャンクコーナーも1000万画素時代!

「○○ブーム」というものの定義は,難しい。ごく短期間にいちどだけおこったブームであれば,それを代表する事象によって,そのはじまりが定義できる可能性がある。たとえば1980年代の「ミニFMブーム」は,定義しやすいブームの1つではないだろうか。
 ここでいう「ミニFM」とは,電波法で規定された微弱電波を利用した放送局ごっこのことをさす。微弱電波を利用した放送局ごっこは,ずっと以前から存在していたことはじゅうぶんに想像できるが,それらはどちらかというと電子回路や無線機などに興味をもった人たちに限定されるものであった。それが1979年に「POPEYE」という雑誌が取り上げた(2007年7月11日の日記を参照)ことで,一般の人にも広く知られることになり,ブームの下地がつくられる。そして,1982年に東京で活動をはじめた「KIDS」という組織が新聞などでも取り上げられたことで,一気にブームが広がった。ミニFMの活動は各地でエスカレートしていき,1985年に不法に強力な電波を使用したグループが摘発されたころから,技術的にも,イメージ的にも敷居の高いものとなり,ブームは下火になっていく。
 それに対して,「中古カメラブーム」は,そのはじまりも終わりもわかりにくい。「ミニFMブーム」とは違って,わりとダラダラ続いている。たぶん,中古カメラ店は昔から多数存在し,多少はブームの影響を受けるものの,そこにはつねにある一定の需要が存在しているからだと思う。ミニFMは基本的に,純粋な遊びだったところが,大きく違うと考えられるのだ。
 それでも,多数の雑誌やムック等が濫発されたころを「中古カメラブーム」の1つのピークと見ることはできるだろう。それが顕著だったのは,1990年代後半から2000年にかけてのころ。1つの目安としては,学研から雑誌「Capa」の別冊として「中古カメラGET」「カメラGET」という雑誌が発行されていた期間を,ブームのピークだとみなせばよいのではないかと思う。

ともあれ定義はいまひとつ不明確だが,20世紀末ころに「中古カメラブーム」というものがあった,と感じている人は少なくないだろう。そんなブームも,過ぎ去ってから15年くらい経過してしまったものだ。「中古カメラブーム」のころは,「金属製カメラ」というものに人気が集まっていた。当時の最新カメラの外装がことごとくプラスチックだったのに対して,「昔のカメラは金属製でよかった」という魅力を感じたのだろう。だからそのころは,ジャンクコーナーには初期のプラスチック外装のコンパクトカメラがごろごろしていた。ヤシカ「エレクトロ35」シリーズやキヤノン「キヤノネット」シリーズ,コニカC35シリーズなどは,鍵のかかる中古品のウィンドウ内に鎮座していたが,ピッカリコニカやフラッシュフジカなどは,ジャンクコーナーの常連と化していた。
 だが,中古カメラというものは,限りある資源である。メーカーではとうに生産を終了しているのだから,市場に流通しているものがなくなれば,もう二度と,私たちの前に姿をあらわさない。いつしか,ジャスピンコニカもキヤノン「オートボーイ」(初代)も姿を見かけなくなり,ズームレンズ付きコンパクトカメラがジャンクコーナーを占めるようになった。

久しぶりに,「カメラのキタムラ可部店」に立ち寄る機会ができた。ここは広島市内の「カメラのキタムラ」では,ジャンクコーナーが比較的充実していると感じていたお店である。だが今日のジャンクコーナーは,じつに寂しい内容である。ジャンクコーナーで最近よく見かけるのは,ミノルタαの「3」シリーズやキヤノンEOSのkissシリーズなどである。一眼レフディジタルカメラやいわゆる「ミラーレス」カメラなどの普及で,オートフォーカス一眼レフカメラのエントリーモデルも商品価値がなくなってしまったということだろう。
 そして,ジャンクコーナーには,コンパクトディジタルカメラの姿が多くなった。最近では200〜400万画素のものが多く感じる。これらもいずれ姿を消してしまうのだろうから,そろそろ保護対象にすべきかもしれない。だがコンパクトディジタルカメラには,大きな問題点がある。それは,電源である。多くの機種が,専用のバッテリーを使用している。最近はある程度は統一した規格になっているようでもあるが,それでも種類が多い。専用の充電器も必要であり,なかなか手を出しにくい状況ではある。だが,古いコンパクトディジタルカメラであまり小ささにこだわっていないものは,単3型電池を使うものがある。まずは,そのような機種を優先して救出しよう。

という方針で救出したのが,このNikon COOLPIX 2000である。2002年に発売された200万画素クラスのディジタルカメラ(*1)で,ライカ判で38mm〜114mmに相当するズームレンズを備えている。光学ファインダーこそ省略されているが,基本的にはごく普通のコンパクトカメラと同じ形態で,使い勝手は悪くない。記録メディアはCFカードを使い,電源は単3型電池4本,USB端子もあり,いま使うにはまったく支障がない。同じ時期に,レンズ部分が回転するディジタルカメラならではの特徴をいかしたNikon COOLPIX 2500も発売されている(*2)が,こちらは電源が専用充電式バッテリー(EN-EL2)である。このカメラも以前に救出しており,レンズ部が回転するのはいろいろと便利でおもしろいのだが,バッテリーの性能が低下しているので十分に遊べなくなっているのが残念である。このように,単3型電池が使えることのメリットは大きいのだ。

ジャンクコーナーでは,富士フイルムのコンパクトディジタルカメラをよく見かける。富士フイルムのコンパクトディジタルカメラは,主流ではないxDピクチャーカードを記録メディアに使うものがあるので,中古品になると売りにくいのだろう。500〜600万画素クラスのものでも,わりと早い時期からジャンクコーナーによくあらわれていた。多く場合,プリントするサイズはL判や2L判あるいはハガキサイズくらいまでのはずだから,600万画素もあれば性能としては十分すぎる。だが,すでにxDピクチャーカードは購入しにくいものになっている(2012年12月5日の日記を参照)。記録メディアが市場に出回らなくなって以後は,商品としての魅力は大いに低下したことだろう。
 だからジャンクコーナーで,Nikon COOLPIX 2000のよこに富士フイルムのディジタルカメラを見かけたとき,これもxDピクチャーカードを使うものだろうと思うのは自然なことだ。だが,いちおう手にとってみる。もしもバッテリーやxDピクチャーカードが入っていたら,ラッキーではないか。残念ながら,カードは入っていなかった。しかし,カード挿入口の形が違う。富士フイルムが,xDピクチャーカードの採用をやめて,SDカードを使うようにあらためた後の製品だった。

2008年に発売された,FUJI FINEPIX J150Wである。撮像素子は1000万画素で,ライカ判で28mm相当の広角域をカバーする5倍ズームレンズをもつ。ふつうに使うには,じゅうぶんすぎるスペックである。では,どこかに不具合があるのだろうか?電源スイッチをONにしてみると,なんとサービスがよいのだろうか,バッテリーはきちんと充電されていた。SDカードは入っていないが,シャッターレリーズボタンを押すと内蔵メモリに画像が記録される。こんなときでもなければ,店内のジャンクコーナーを堂々と撮影できない(笑)。

FUJI FINEPIX J150W, FUJINON ZOOM LENS 5.1-25.5mm F3.3-5.1

代金を払って店を出て,外を撮っても問題なさそうだ。

FUJI FINEPIX J150W, FUJINON ZOOM LENS 5.1-25.5mm F3.3-5.1

ジャンク扱いになったのは,単に古いからなのか?それとも,充電器など,バッテリー以外の付属品がなくて売りにくかったからなのか?きちんと動作するとはいえ,ボディに傷は多いから,ジャンク扱いにしたのかもしれない。あるいは,いまではNikon COOLPIX L30のような最廉価版のディジタルカメラでも,2000万画素クラスのものがある(2015年3月10日の日記を参照)。1000万画素というのは,商品としての魅力が少ないのかもしれない。
 FUJI FINEPIX J150Wを使ってみると,Nikon COOLPIX L30の記録速度の遅さがますますよくわかるようになった(^^; 当面はこのあたりをふだんの持ち歩き用カメラにしたいところだが,1つ大きな問題があることを忘れてはいけない。FUJI FINEPIX J150Wが使うバッテリーは,NP-45というものだ。私が救出したディジタルカメラで,NP-45を使うものはこれがはじめてである。そして,FUJI FINEPIX J150Wはバッテリー以外の付属品がなにもない状態でジャンクコーナーにころがっていた。そうだ,NP-45をどうやって充電するか,その方法を考えなければならない。まあそれは,FUJI FINEPIX J150Wのバッテリーが切れてから,ゆっくり考えることにしよう。

*1 ニコンデジタルカメラ「COOLPIX(クールピクス)2000」の発売について (2002年5月29日 株式会社ニコン)
http://www.nikon.co.jp/news/2002/e2000j_02.htm

*2 ニコン デジタルカメラ COOLPIX 2500を3月下旬発売 (2002年2月21日 株式会社ニコン)
http://www.nikon.co.jp/news/2002/e2500j_02.htm

*3 デジタルカメラ「FinePix J150w」新発売 (2008年8月27日 富士フイルム株式会社)
http://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/article/ffnr0222.html


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