撮影日記


2015年03月14日(土) 天気:晴

ニコンをニコイチする F-501AFの再生

ニコン「F-501AF」は,1986年4月に発売された,ニコンでは(F3AFを除いて)はじめてのオートフォーカス一眼レフカメラである。Nikon F-501AFにかぎらず,この時代のオートフォーカス一眼レフカメラは,最近ではジャンクコーナーの常連ともいえる存在となった。
 ミノルタ「α-7000」や,それに続くニコン「F-501AF」,キヤノン「EOS620」「EOS650」といったあたりのカメラは,かなりよく売れたようである。当時,一眼レフカメラがオートフォーカス化したことは,じつに画期的なできごとだった。これら以前の機種にくらべて,オートフォーカスも実用的になり,システムとしての拡張性もじゅうぶんに考えられていた。結果として,これにペンタックスを加えた4社で,オートフォーカス一眼レフカメラの市場をほとんどすべてカバーしたことになる。
 だが,オートフォーカス機能が進化するにつれて,これらの機種は性能的,機能的に見劣りするようになった。そして,いつのまにかその性能は「残念」なレベルにまで相対的に低下してしまう。たくさん売れたがために,中古市場では当然のように価格が下がっていき,いつのまにかジャンクコーナーの常連になってしまったのだろう。
 最初の1台を買うときは,「ニコンF-501AFもぜひ入手しておこう」と思って買ったものだ。だが,数が多いせいか,極端に安価な価格がつけられていたら,ついつい買ってしまう。あるいは,別の中古カメラとセットで売られていたのを買ったケースもある。ここまでくると,「ひと山ナンボ」に近い状態だ。

これまでに何台かのNikon F-501AFを保護してきたが,数年前に入手した1台は,ボディからAFカプラが出てこなくなっていたジャンク品である。AFカプラとは,レンズのフォーカスリングを動かす機構である。これが出てこないと,レンズのフォーカスリングに届かずにピントあわせをおこなうことができない。オートフォーカス一眼レフカメラであるが,オートフォーカス機構が使えなくなっている。

AFカプラのトラブルの状況は,ボディの奥でリンク機構が破損しているもののように思われる。トラブルが起こっている場所にたどりつくのがたいへんそうだし,たどりついたところで,自分で修理できるとは思えない。
 オートフォーカス撮影ができないなら,マニュアルフォーカス用カメラだと割り切って使うという選択肢がある。実際,Nikon F-501AFのオートフォーカスの性能は,現在の基準ではとても残念なレベルのものだから,そういう割り切りはとても現実的な対応である。しかも,F-501AFのユーザインタフェースは,それ以前のマニュアルフォーカス一眼レフカメラと同様なもので,マニュアルフォーカスカメラとしても使いやすい。「すなおにF-301を使えば?」と言われそうだが,F-301とは違ってF-501AFのファインダースクリーンは,オートフォーカス用のものである。F-301のように中央にスプリットイメージやマイクロプリズムがなくて,すっきりした視野が魅力だ。F-501AFは,ファインダースクリーンが交換できることも魅力の1つにあげておこう。
 もっとも,F-301を使う必要はない。そもそも手元にあるF-501AFはこれ1台ではないから,なにも無理に故障しているこの個体を使う必要はない。そこで悲しいかなこのF-501AFはドナーとなり,巻き戻しクランクが破損していたF-501AFには巻き戻しクランクを与え,電池ボックスの腐食がひどかった個体(2012年10月3日の日記を参照)には,電池ボックスを与えることになった。

昨年末に入手したこれとは別のNikon F-501AFは,外見はきれいだったが,致命的な故障を抱えたジャンク品だった。
 レンズの絞りが何段階分絞りこまれているかの情報を受け取る「Aiカプラ」が動かない状態だった。マウント部を分解して覗いてみると,Aiカプラを初期位置にもどすバネが断裂し,それがはさまってAiカプラ自体が動かなくなっているようだ。これでは,まったく撮影ができる状況にならない。

そこでふたたび,ドナーが活躍する。
 まずは,マウントから。5つのネジをはずせば,マウントがはずれる。
 ここで気をつけることは,時計の3時くらいの位置にある,Ai-Sタイプレンズを識別するピンを飛ばさないようにすることくらいだ。

オートフォーカスとマニュアルフォーカスの切り替えレバーも,はずしておく。ネジが見あたらないときは,貼り革の下にネジが隠されれているのが,よくあるパターンだ(2015年2月15日の日記を参照)。
 切り替えレバーと,そのすぐ下にあるネジもはずしておく。

あとは,マウントの下にあるネジ1つと,ペンタ部の左右にあるネジ1つずつ,3つのネジをはずせばよい。

あとは,マウントまわりのカバーをこねくり回して,はずすことができる。
 そしてこのカバーを,Aiカプラおよびそれをつないでいるバネとともに,移植すればよい。
 これで,F-501AFのジャンク品2台から,1台のちゃんと動作するNikon F-501AFをつくることができた。
 2台のジャンク品から,部品を融通しあって1台の完成品をつくりあげることを「ニコイチ」(2個→1)という。ニコン一眼レフカメラだから「ニコイチ」だ,というわけではない。このあたり,誤解なきよう願う。

ジャンクカメラというものは,どこかに不具合があったり,どこかの部品が破損したり失われたりしているものだ。そんなジャンクカメラ2台から部品を融通しあって1台の完成品をつくったわけだから,残った1台は不具合ばかりが集まった,超ジャンク品ということになる。このたびも,1台のNikon F-501AFが復活したそのかげで,AFカプラに不具合があり,Aiカプラも動作せず,巻き戻しクランクは破損したところをパーマセルテープで押さえた状態で,電池ボックスは腐食の跡がひどいという,まったくのジャンク品が残ったのである。
 だが,AFカプラもAiカプラも不良だが,シャッターそのものや露出計,巻き上げなどは問題なく動作している。
 AFカプラの不良は,このカメラでオートフォーカスを使うことをあきらめれば,なんの問題もない。そもそも,出てこないという故障だから,少なくともレンズ着脱の際の邪魔にもならない。だが,機能を失ったAiカプラは,邪魔である。邪魔なら,撤去すれば…

ニコイチした残骸のカメラに,活用の可能性が見えてきた。しかし今夜は,もう遅い。


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