撮影日記


2014年11月23日(日) 天気:晴

大判カメラで「テングシデ」を撮る

先月,「魚眼レンズの日」(2014年10月10日の日記を参照)にあわせて「ぎょぎょっと20」での撮影を楽しむために,「大朝のテングシデ」を訪れた。このとき,ついでに,組立暗箱で大判写真の撮影もおこなう予定だったが,レンズボードを持参し忘れ,大判撮影はできなかった(2014年10月04日の日記を参照)。
 今日はそのリベンジである。
 「大朝のテングシデ」群生地は,肝心の場所の案内標識がやや不親切だというだけであって,道が難しいわけではない。早朝の国道261号線は,ところどころ濃く霧が生じている。そうだ,濃い霧のなかに複雑な形状をしたテングシデのシルエットが浮かび上がれば,絵になりそうだ。とくに,印画紙を使った大判写真に適した被写体になりそうである。
 だがテングシデ群生地に着くころには霧は晴れており,ふつうにちょっと湿っぽいだけの朝であった。せめてもう少し薄暗い時間帯に撮るべきだったかと思うが,それでもこれは,モノクロ撮影に適した被写体であることは間違いない。

Okuhara camera, FUJINON W 210mm F5.6, FUJIBRO FM2

使った組立暗箱の製造者はよくわからないが,付属していたバックアダプタの一部に「OKUHARA CAMERA MFG CO.LTD」と記されているので,オクハラカメラと呼ぶことにしている。この組立暗箱では,最大で四切1/2判の撮影ができる。四切1/2判は,四つ切り印画紙を半分に切ったサイズで,以前はよく使われていたサイズなのかもしれないが,最近ではそのサイズのフィルムは市販されていない。だからよりサイズの大きなフィルムをカットして使うことになるのだが,四切印画紙の半分のサイズなのだから,四切印画紙を半分に切ってフィルムの代わりに使えばよいのである(2010年8月1日の日記を参照)。印画紙を使って撮影する場合,フジブロWP FM2を使ったときは,ISO1.5くらいで露光し,現像時間で調整すればプリントできる画像が得られると判断している。
 さて,四切1/2判は,別の言い方をすれば6インチ×10インチ判となる。「バイテン」と呼ばれる8インチ×10インチ判に近い大きさで,少し細長い形状だ。さらに言い方を変えてみれば,8×10判(バイテン)の天地を少しカットした,擬似パノラマである(笑)。
 擬似パノラマ判(笑)であるならば,広角レンズを使うのが似合うだろう。私の手元には,8×10判をカバーするレンズは2本しかない。シャッターを内蔵したFUJINON W 210mm F5.6とシャッターを内蔵しないFUJINAR 21cm F5.6である。210mmレンズというと,ライカ判では立派な望遠レンズとなる。APS-Cサイズの撮像素子をもつディジタル一眼レフカメラならば,超望遠レンズといってもよい焦点距離だ。だが,中判カメラでは210mmは中望遠レンズくらいであり,4×5判ではちょっと長めの標準レンズとなる。さらに8×10判では広角レンズに相当する。私の場合,四切1/2判では210mmレンズしか選択肢がないのであるが,ここは「バイテンをベースの擬似パノラマだから広角レンズを使おう」と考えて,210mmレンズを選択したことにする。広角レンズであり,さらにバックに四切1/2のためのアダプタをつけているので,蛇腹はかなり縮めることになる。もともとアオリの自由度のあまりない組立暗箱であるが,さらにアオリは難しくなる。まあ,調子に乗ってアオリをやりすぎても,経験の浅い私には破綻が待っているだけなので,こういう制約があるくらいがちょうどよい。

さて,シャッターを内蔵しないレンズを使う場合は,ソルントンシャッターを使うことになる。ISO1.5くらいで撮影すれならば,日中での露光時間が1秒前後となる。もちろん露光時間は絞り値にもよるのだが,F22くらいにしたいので,1秒前後になるのだ。となると,ソルントンシャッターでは1/4秒や1/2秒,あるいは1秒の露光時間が設定しにくいので,シャッターを内蔵したレンズを使うことになる。ただ今回は早朝の撮影だったので,露光時間はさらに長く10秒前後となった。そこまで露光時間が長くなるならどうせB(バルブ)撮影になるので,ソルントンシャッターでも問題なかった。次回の撮影では,シャッターを内蔵しない,FUJINAR 21cm F5.6を使ってみることにしよう。


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