撮影日記


2014年9月14日(日) 天気:晴れ

ミノルタα9000を買ってしまった

広島駅周辺には中古カメラ店が密集しており,その地域はその中心的な地名から,「的場中古カメラ街」とよばれることもあった(2011年7月8日の日記を参照)。
 大阪駅周辺にも中古カメラ店は多く,とくに大阪駅前第1ビルを中心に,中古カメラを扱うお店が多数ある。大阪駅近辺のお店のなかで,個人的にもっとも関心があるお店は,大阪駅前第1ビルにある「マルシンカメラ」である。このお店の魅力をひとことで言えば,「なにか,お宝が埋もれているようなワクワク感」であろうか。この場合の「お宝」には,2つの意味がある。1つは「珍品」を見ることができるかもしれないというもの,もう1つは「ジャンクコーナーが充実」していることである。
 しかしながら,私はもう,何年も「マルシンカメラ」を訪れていない。その最大の理由は,定休日と営業時間だ。定休日は日曜日であり,営業日でも19時ころには閉店してしまう。おもに出張の空き時間などにしか訪れることができない私にとって,この条件はとても厳しい。現在は閉店時刻がさらに早まったようで,営業時間は18時までということになっているようだ(*1)。しかも,「通常営業の閉店時間は多少早くなる場合がありますのでお手数ですがあらかじめ電話にてご確認下さい。」という注意書きもある。
 ヨドバシカメラのような年中無休で21時や22時ころまで営業しているようなお店を見慣れてくると,「定休日:日曜日」「営業時間:18時まで」という「マルシンカメラ」に対して,どうしても「不便だ」という不満をもってしまう。けれども,もともと小さなお店の営業日や営業時間はこんなものだったはずだ。ヨドバシカメラなどの大型量販店が「がんばりすぎている」,と考えるべきかもしれない。

私がさいごに「マルシンカメラ」で買い物をしたのは,「撮影日記」を読みかえしたかぎりでは,2010年7月のことのようだ(2010年7月17日の日記を参照)。つまり,もう4年以上,買い物をしていないということになる。
 それに対して「八百富写真機店」には,よく訪れている。「八百富写真機店」を訪れてしまう最大の理由は,年中無休で定休日がなく,21時まで営業していることだ(*2)。たとえば広島駅を18:52に発車する「のぞみ58号」に乗れば,新大阪駅に20:18に到着する。そこから大阪駅まで1駅乗っても,せいぜい20:30すぎだ。じゅうぶんに営業時間内に到着してしまう。
 さらにお店の場所がいい。とくに「八百富写真機店」の「大阪駅中央店」は,JRから地下鉄へ乗り換えるときの,まさに通り道にある。どうしても,そこを通ってしまうのである。うまく「大阪駅中央店」に誘いこまれずに済んだとしても,地下鉄の東梅田駅へ向かうと「ディアモール店」に誘いこまれてしまう危険性がある。

先月は,「ディアモール店」のほうで「アクメルMD」ストロボセットを購入してしまった(2014年8月1日の日記を参照)。だから,今回は「八百富写真機店」に誘いこまれないようにがんばるつもりであった。だが,広島駅を18:22に発車する「みずほ606号」に乗ってしまったのは,一昨日のこと。新大阪駅に19:44に着いてしまうと,梅田で地下鉄に乗り換えるころはまだ,「八百富写真機店」は絶賛営業中である。
 というわけで,やはり「八百富写真機店」に誘いこまれてしまったのである。
 JRから地下鉄に乗り換えるときにどうしても通ってしまうのは,「大阪駅中央店」。見事に誘いこまれてしまったのだが,幸い,そこには買いたくなるようなものがなく,無事に脱出することができた。
 そのまま地下鉄東梅田駅まで突っ走ればいいのだが,「大阪駅中央店」を無事に脱出できた心の余裕と,いい出会いがなかったという心の寂しさとから,必然的に「ディアモール店」に吸いこまれてしまう。そしてそこには,「マミヤUシルバー」があった。「マミヤU」は,フラッシュ内蔵でピントあわせが目測式のカメラである。スペック的に特筆すべきものはないが,そのデザインが印象的である。ブラックボディとシルバーボディがあり,発売当初の価格は,シルバーボディのほうが高価になっていた。ブラックボディはすでに入手しているが(2007年11月9日の日記を参照),シルバーボディは入手していないので,これはぜひともお迎えしたい。ただ,店頭価格が先月の「アクメルMD」ストロボセットよりも高価だったため,今回は思いとどまることができた。

今月は,「八百富写真機店」を無事にクリアできた。そうなる,はずだった。だが今日,またその近くを通ってしまい,ふたたび「大阪駅中央店」に誘いこまれてしまったのである。一昨日には,たいして魅力的なものはなかったから,今日もなにも買うことはないだろう。そう思って店内を眺めていたら,ジャンクコーナーの隅にあった大きなカメラに手招きされてしまった。
 一昨日には,こんなものはなかったはずである。
 しゃがみこんで見てみると,それはミノルタα9000のモータードライブセットであった。

こうやって見れば,カッコイイじゃないか。
 だが,所詮はジャンクコーナーの商品。いろいろと,不具合があるに決まっている。それに,こんな大きなカメラは保管場所にも困るし,ミノルタα用の純正レンズはAF 35-70mm F4しかもってないから使い道も少ない。だから,買わずに通り過ぎようと思った。お約束通り,上部の液晶表示板には液漏れが見られるし,値札にもちゃんと「故障品」と書いてある。きっと,動かないに違いない。

とはいえ念のため,手に取って電源スイッチをONにする。巻き上げレバーを引き出して巻き上げ,シャッターレリーズボタンにふれると,液晶表示板にシャッター速度が表示される。お,電池が入っているぞ。モードを「MANUAL」に切り替えてシャッターレリーズボタンを押しこむと,パシャリ,とシャッターが動作した。「MANUAL」でシャッター速度が変えられるし,「A」(絞り優先AE)にすると,明るさに応じて値が変化する。露出計やシャッターは,いちおう動作するようだ。
 では,AFはどうだろうか?ジャンクコーナーにあったミノルタα用のレンズをつけて,シャッターレリーズボタンを押すが,反応せずに液晶表示板の表示も消えてしまった。まさか,壊れかけのカメラにとどめを刺してしまったのか?
 心を落ち着けてレンズをはずし,あらためて電源スイッチをONにする。シャッターレリーズボタンにふれると,液晶表示が復活し,シャッターが動くようになった。どうやら,このカメラに入っている電池の容量が,なくなりかけているだけのようだ。

数分後,私は結局,そのα9000をもってレジに向かっていた。
 通常であればジャンクカメラは,くるくるっとプチプチが巻かれるのだが,今回は少し違った。
 このセットには,元箱と説明書も付属していたのである。元箱はともかく,説明書がついているのはありがたい。それはともかく,店員さんは元箱に収めてくれようとするのだが,モータードライブのネジが固く締められているのか,なかなか外せない。ようやく外れたら,こんどはバッテリーパックをはずすつまみを見つけなければならない。さらに,箱に収める向きを間違えるとうまく入らない。

持って帰ってあたらしい電池に交換し,AF 35-70mm F4レンズを取りつける。α9000は,レバーによる手動巻き上げで,ワインダーを内蔵していない。そのせいか,単3乾電池2本で動作する。同時代のオートフォーカス一眼レフカメラでは,単3乾電池(または単4乾電池)を4本使うようになっていることにくらべると,これはじつに素晴らしいことだ。
 残念なことにモータードライブ用のバッテリーは,寿命が尽きていたようだ。電池が交換できないものかと分解してみると,中では単5サイズと思われるNi-Cdのセルが13本つながっている。本体は1.5V単3乾電池2本の3Vで動作するようだが,モータードライブは1.2VのNi-Cd電池13本の15.6Vで動作する,ということだ。このバッテリーパックには,縦位置レリーズボタンがあるので,なんとか使えるようになると便利そうなのだが。

*1 株式会社マルシンカメラ店
http://www.npc-shop.net/shop/marushin.shtml

*2 カメラの八百富
http://www.yaotomi.co.jp/


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