撮影日記


2014年6月16日(月) 天気:曇

BROWNIE TARGET Six-16を使おう

6月4日から6月9日は,「中判写真週間」である。なお「中判写真週間」は,「マミヤプレスファンクラブ」の名のもとに私が勝手に提唱しているだけである(笑)。「中判写真週間は,6月12日までではないのか?」という意見を聞いたこともあるが,「6月10日」「6月11日」が抜けるので,それは受け入れられない。6月4日から6月9日まで,連続していることに意味があるのだ。
 別の観点から,「1月20日は120フィルムの日だ」や「2月20日は220フィルムの日だ」などとする意見もあるようだ。しかし,「中判写真週間」がちゃんとあるのに,わざわざ「120フィルムの日」や「220フィルムの日」を用意する必要もないだろうと,私は考える。コダックのロールフィルムには,「1××」や「6××」といった番号がついている。大きさが少しずつ違うのだが,ほぼ発売された順番に番号が割り振られたようで,「101」から「130」まではすべての番号がある(*1)。だから,「1××フィルムの日」は,あまりやりたくない。1つやると,全部やらねばならなくなる。1月中は,毎日が記念日だ。ということになってしまってはありがたみも薄くなる。なにより「116」「120」「127」以外のロールフィルムは1980年代より前になくなっており,そもそもあまりポピュラーな存在ではない。だから,1月中にフィルムの番号に由来する「○○の日」を設けるなら,比較的最近まで使われておりいまでもカメラが多く入手できる「110カートリッジフィルム」(「ポケット判」であり,110ロールフィルムではない),「126カートリッジフィルム」(「インスタマチック判」であり,126ロールフィルムではない),「127ロールフィルム」だけを対象にすればよいと,私は考えている。

「620ロールフィルム」も比較的最近まで使われており,それを使うカメラも多く流通している。「120フィルムの日」や「220フィルムの日」には賛成できないが,「中判写真週間」のあとにやってくる6月20日を「620フィルムの日」にしようという意見には大賛成だ。ただし私は620フィルムを使うカメラは入手しているが,620フィルムのスプールをまだ入手していない。すなわち,「620フィルムの日」を楽しめないのである。それがちょっと,残念なところ。「620フィルム」は,「120フィルム」と同じフィルムをより細いスプール(軸)に巻いたものである。「120フィルム」は現在でも供給されているが,「620フィルム」(および「127フィルム」)は,1995年に供給が終了したようだ。
 「120フィルム」よりも大きなサイズのロールフィルムとして最後まで残ったものに,「116フィルム」がある。「116フィルム」と同じフィルムをより細いスプールに巻いた「616フィルム」というものもあり,これらの供給はともに1985年までだったようだ。1985年までという比較的近年(といっても30年前のことだが)まで供給されていた割には,あまり話題にのぼることのないフィルムである。そのせいか「6月20日を620フィルムの日にしよう」という意見を聞いたことはあるが,「6月16日を616フィルムの日にしよう」という意見を聞いたことはない。それは,私のアンテナがショボイだけのことかもしれないので,「私は616フィルム用のカメラをいまでもよく使っています」という方には,ぜひ「616フィルムの日」を実行し,blogやツイッターなどフルに活用してアピールしていただきたいものだ。

で,私の手元には616フィルムを使うカメラが1台ある。そして幸いにも,その中に616フィルムのスプールが2本残されていた。これだけあるならば,なんとかして撮影に使わなければならない。使うフィルムが120フィルムよりも小さければ,120フィルムをカットして流用することが可能だ。だが,616フィルムは120フィルムよりも,幅が広い。だから,616フィルム本来の大きな画面はあきらめ,120フィルムのスプールにちょっと継ぎ足してとにかくフィルムに露光だけはできるようにするしかない(1999年7月31日の日記および「ジャンク大帝」を参照)。今日はこのカメラを,久しぶりに使うことにした。

コダック「BROWNIE TARGET Six-16」である。「Six-16」という表記は,「110カートリッジフィルム」を「ひゃくじゅう」や「いちいちぜろ」ではなく「ワンテン」と読むように,「616」は「ろっぴゃくじゅうろく」や「ろくいちろく」ではなく「シックスシックスティーン」と読めということだろう。このカメラの名称をカタカナで書けば,「ブローニー ターゲット シックス・シックスティーン」となる。このカメラの最大の魅力は,その「顔」だ。2つのギョロッとした丸い目と,ぽかーんと開けた丸いお口が,とても可愛い。まさに「顔」である。ぽかーんと開けた口の部分は撮影レンズであり,2つの目はファインダー。左目が縦位置用の,右目が横位置用のファインダーとなる。

フィルムを装填するときは,まず,巻き上げノブを引きだす。

つぎに,上部のつまみを上げてボディを引っぱると,すっぽりと抜けるようになっている。

供給側は,スプールをはめこむだけである。巻き取り軸まで引き出すと,スタートマークが出てくる。それだけ,このカメラの画面が大きいことがわかるだろう。

長さはなんとかなるものの,幅が足りないのはどうしようもない。

120フィルムのスプールと,616フィルムのスプールの長さは,これだけ(8mm)違う。

そこで,120フィルムのスプールを切って,このような「継ぎ足」をつくった。

このようにはめればスプールの長さがそろうので,カメラの供給側にきちんとはまるようになる。

巻き上げは,赤窓に見える番号をあわせる方式(赤窓式)。6×4.5判用の番号を利用して,巻き上げるとよい。1コマ目は,「2」をすぎて最初の大きな「○」にあわせる。このようにして,6カットの撮影ができる。2コマ目以降の位置は,「ジャンク大帝」または「カメラミュージアム by awane-photo.com」を参照。

ともあれ,これで撮影準備は完了。シャッター速度は約1/50秒,絞りは開放で約F14,絞りレバーを引き出して絞れば約F20のようである。
 シャッターはエバーセット式(チャージの操作が不要で,いつでも露光できる)。大きなばねで大きなシャッター羽を動かすようになっているようで,動き,遊び,振動が大きく,ブレないようにシャッターレリーズをおこなうのは難しく感じる。
 このタイプのカメラは「ボックスカメラ」と呼ばれ,安価に供給されたカメラであるとのこと。実際に,機械としての精密感はまったく感じられない。撮影という行為が,あまり楽しくないカメラである。これは「No.1ポケットコダックジュニア」とくらべても,はるかに劣ると感じられる,じつに安っぽいカメラである。「No.1 Pocket KODAK Junior」は1929年の発売で9ドル(*2),「BROWNIE Target Six-16」は1946年の発売で4ドル(*3)である。実際に,安かったのだ。

*1 The History of Kodak Roll Films (The Brownie Camera Page)
http://www.brownie-camera.com/film.shtml

*2 History of KODAK Cameras (KODAK)
http://www.kodak.com/global/en/consumer/products/techInfo/aa13/aa13pg2.shtml

*3 History of KODAK Cameras (KODAK)
http://www.kodak.com/global/en/consumer/products/techInfo/aa13/aa13.shtml


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