撮影日記


2014年6月6日(金) 天気:曇

ふたたびやってきた Ai NIKKOR 200mm F4

最近,「断捨離」という言葉があるようだ。実際にはいろいろと深い意味があるものと思うが,表面的に一言で言えば「不要なものは手放そう」ということらしい。私は基本的に,入手したものを手放せない。だから,モノが増える。置き場所が困ってくると整理する。すると少し余裕が生じるので,またモノを増やす…。ちょっと片づけたくらいでスペースが出現する程度だから,まだまだお布施と修行が足りないということか。
 こんな私でも,不要なもの,たぶん使わないだろうものを手放していた時期がある。ごく短い期間であったが,モテ期ではなくステ期というべきか。不要なものを手放せる,ステ期な人は素敵かもしれない。贅沢も素敵だ。ま,そんなステ期に手放したカメラ,レンズの1つに,Ai NIKKOR 200mm F4があった。
 最近では,廉価版ズームレンズや高倍率ズームレンズでも,300mmくらいはカバーしている。70mm〜200mmクラスの望遠レンズで,開放F値がF2.8のレンズも,あたりまえの存在だ。そんないまでは,200mm F4というスペックには,なんの特徴もない。Ai NIKKOR 200mm F4は古い製品であり無理な小型化もされていないから,スペックに特徴がないうえに,コンパクトでもない。それどころか,無駄に大きいと感じるかもしれない。このとき,Tokinaの古い400mm F5.6というレンズも手放した。Ai NIKKOR 200mm F4と古いTokina 400mm F5.6の2本を下取りに出し,Ai Micro-NIKKOR 200mm F4 (IF)を入手したのである。
 Ai NIKKOR 200mm F4は,焦点距離や明るさなどのスペックが完全にAi Micro-NIKKOR 200mm F4 (IF)とかぶる。最短撮影距離は,あたりまえだがAi Micro-NIKKOR 200mm F4 (IF)がケタ違いに短い。だから,Ai NIKKOR 200mm F4を使うことはもうないだろうと,手放したのである。

ところが,もう使うことはないだろうと思っていたAi NIKKOR 200mm F4をお迎えしてしまった。前玉にカビが生じているが,税込237円で入手できたから文句は言わない(笑)。

Ai NIKKOR 200mm F4

私がはじめて入手した望遠レンズというものは,Ai NIKKOR 135mm F2.8Sであった。50mm標準レンズにくわえてまず最初の望遠レンズを買うとき,105mmあるいは135mmくらいのものを選ぶのは,ごく自然な流れであろう。135mmレンズを購入するとき,200mm F4も試させてもらったが,ファインダーの暗さにがっかりした。そのとき使っていたボディは,Nikon FMのみ。開放F値がF4では,ちょっと薄暗いとスプリットイメージが暗く陰って見えにくくなってしまう影響が大きかった。
 何年か後に,あらためてAi NIKKOR 200mm F4を購入した。その当時,ニコンの交換レンズで一般的なもののフィルタ径はほぼ52mmに統一されており,200mm F4というレンズは,フィルタ径が52mmのレンズのなかでもっとも焦点距離の長いレンズだったのである。だからお手軽にニコンの交換レンズを揃えようと考えれば,いずれは200mm F4に手を出すことになるのだ。このAi NIKKOR 200mm F4は,さらにテレコンバータTC-200と組みあわせて,かなり無理のある使い方もしたものである。
 Ai NIKKOR 200mm F4の悲劇は,Ai Micro-NIKKOR 200mm F4 (IF)のフィルタ径が,同じ52mmだったことだ。
 もし,Ai Micro-NIKKOR 200mm F4 (IF)のフィルタ径が52mmでなかったら,より大口径のレンズになっていたとしたら,Ai NIKKOR 200mm F4は比較的コンパクトなレンズとして,その存在価値を見出されていたかもしれない。
 たぶん考えることは,みんな同じだろう。Ai NIKKOR 200mm F4は中古品の市場において相対的に人気が低く,結果として安価に流通することになる。

Ai NIKKOR 200mm F4とAi Micro-NIKKOR 200mm F4 (IF)

ところで,Tokina 400mm F5.6を手放した理由は,Ai NIKKOR 200mm F4の場合とちょっと違う。このTokinaレンズは,三脚座もついた立派に見える超望遠レンズだったが,その三脚座があまりにもショボイものだった。どれだけしっかりした三脚に載せようとも,三脚座がいまひとつ信頼ならないものだったのだ。そして,描写もいまひとつすっきりしたものではなかった。400mm F5.6というスペックには魅力があったのだが,「これはちょっと使えないな」と判断したものである。だから,このレンズを手放したことは,いまのところ後悔していない。
 しかしこれまでに手放したカメラやレンズには,手放したことをちょっと後悔しているものもある。いま手元にあっても,それでガシガシ撮ることはないと思うが,たまには使ってみたくなったかもしれないカメラやレンズだ。
 たとえば,「MERCURY」というハーフサイズカメラ。パトローネ入りの35mmフィルム(135フィルム)が使えるようになった「MERCURY II」を入手したので,手放した。135フィルムが使えないから,手元に残していても使うことはなかっただろうと思うが,ちょっと変わったカメラとして残しておきたかった。
 「PRAKTICA nova 1B」という横走り布幕シャッターのM42マウント一眼レフカメラも,手元に残しておくべきだったと思っている。そのあと縦走り金属幕シャッターの「PRAKTICA」を入手し,「PRAKTICA」ばかり何台もいらないやとばかりに,なんとなく手放したものだ。だが「PRAKTICA」の縦走りシャッターは壊れやすいのだろうか,試しに動かしているうちに壊れてしまった。もともとジャンクに近いものだったから,しかたないのかもしれない。「PRAKTICA」銘のカメラが1つもないというのは,ちょっとさびしい。
 Leidolfの「LORDOX」というカメラは,たぶんに廉価版のカメラだったが,見た目のかわいらしいカメラだった。これも,手放さずに手元に残しておけばよかった,と思っている。

Ai NIKKOR 200mm F4を手放したのはずいぶんと以前のことなので,どんな描写をするレンズだったのかよく覚えていない。レンズがきれいになったら,あらためてきちんと撮ってみようと思う。でも,結局は使わなくなるような気もするが… f(^^;
 今度は安易に手放さず,ずっと手元にもっておくことにしよう。


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