撮影日記


2014年5月30日(金) 天気:晴のち曇

ミノルタ「PROD 20's」は,なにに似ている?

「ここしばらく使っていないカメラを使ってみよう」と考えて,最近は「キエフ5」を持ち歩いている。実際には「ここしばらく使っていないカメラ」はたくさんある。「ここしばらく使っていない」どころか,入手して以後,いちども使っていないカメラもたくさんある。カメラにはかわいそうなことをしているわけだが,そこは大目に見てもらいたい。
 ところでいま,「キエフ5」には「Velvia 100F」を装填している。「キエフ5」を使うことにしたとき,フィルムはなにを使おうか考えた。モノクロフィルムか?カラーネガフィルムか?それとも,カラーポジフィルムか?
 撮り終わったらすぐに現像,プリントをできるモノクロフィルムにしようかと反射的に考えたのだが,これと並行して2台のカメラにモノクロフィルムを装填していたことを思い出した。その2台は,ここしばらく使っていない「京セラ TD」と,入手して以後,いちども使っていない「オリンパス トリップ35」である。
 だから,カラーネガフィルムを使おうかと考えた。でもこの夏には,入手して以後,いちども使っていない「SEA&SEA モーターマリンIIEX」にカラーネガフィルムを装填して使ってみたいと考えている。さらには,入手して以後,いちども使っていなかった2台のカメラに,カラーネガフィルムを装填していたことを思い出した。
 以上のことから,「キエフ5」ではカラーポジフィルムを使うことにしたのである。

いま,カラーネガフィルムを装填して使っている2台のカメラは「ペトリ35 F2.8」と「ミノルタ プロッド20's」である。
 「ペトリ35 F2.8」は,私にとって,はじめてのペトリである。だから,いずれは使ってみたいと思っていたものだ。それに対して「ミノルタ プロッド20's」はあまり興味のもてるカメラではなかった。ただ,フルマニュアルの「ペトリ35 F2.8」とあわせてなにかオートのカメラも使ってみようと思っただけであり,たまたま目についただけのことである。

このカメラの存在は,以前から知っていた。「レトロ風のデザイン」で目立つし,具体的な数値は記憶にないが,中古カメラ店の店頭でいつも「やや強気」の価格をつけられていた印象がある。1990年に「2万台限定」で発売されたから,ということで「やや強気」な価格がつけられていたようだ。だから,フジヤカメラのジャンク館で見つけたときに,ついつい買ってしまったのである。そのときつけられていた価格は,1000円。この時代のコンパクトカメラとしては,やはり「やや強気」の価格だが,1000円ならまあ許容できる。
 あらためて見ると,なかなかにカッコイイものである。だが実際に手に取ると,これで「なにかを撮ってみよう」という気にはならない。その最大の理由として考えられるのは,「シャッターレリーズボタンを押すこと以外なにもできない」ことである。ピントも露出も自動的に調整してくれるのは,問題ない。それはむしろ,便利である。そういう調整を気にせず,気軽に撮ってみたい場面はかならず存在する。問題なのは,フラッシュがつねに自動発光になっていること。強制発光もできなければ,強制発光禁止すらできないのである。装着されたレンズは,廉価版の雰囲気に満ち溢れる35mm F4.5というもの。使用する電池や発売時期なども考慮すると,中身は1989年に発売された「ミノルタ マックメイト」と同じものではないかと思われる。
 ところで,「ミノルタ プロッド20's」のメーカー希望小売価格はいくらだったのだろうか。確認しようと「日本カメラショー」の「カメラ総合カタログ」を参照してみたが,1990年3月発行のVol.98にも,1991年3月発行のVol.100にも記載がない。この間に発行されたはずのVol.99だけに記載があるのだろうか?それとも「2万台限定」ということで,「カメラ総合カタログ」への記載が見送られたのだろうか?ミノルタのカメラを紹介するWebページ(*1)でも,「ミノルタ プロッド20's」について記載が見あたらない。これを発売したことは,ミノルタにとっての黒歴史なのか?と勘繰りたくなるではないか。
 ともあれ,少しでも魅力を感じるのは外見だけであり,機能的にもスペック的にも,撮るときの魅力はなにも感じられないのである。「とてもきれいに写る」という評判でもあれば,「ほう,確認してみようか」という気にもなりそうが,そういうのも耳にしない。これに対してモノクロフィルムで使用中の「京セラ TD」は,やはりシャッターレリーズボタンを押す以外になにもできないカメラであるが,それでもフラッシュの発光を強制的に禁止するボタンは用意されている。搭載されたレンズは「Carl Zeiss T* Tessar 35mm F3.5」を名乗っているので,「ツァイス万歳」と無条件に喜んで撮影に使ってもよし,「名前だけツァイスだろ」と批判的に撮影に使ってもよし。どんな立場であっても,「これで撮ってみよう」「どう写るのかたしかめてみよう」というモチベーションを高めるには十分である。気分の問題というものは,無視できないものなのだ。

「ミノルタ プロッド20's」の「20's」は,「1920年代風を意識したデザイン」を主張する名前らしい。だが,なにをもって1920年代風のデザインと称しているのか,私は知らない。ただ,「ミノルタ プロッド20's」のボディ両側が曲線になっていること,電池を交換するために底蓋をはずすようになっていることは,「バルナック型ライカをイメージした」と言われれば「なるほど,そうか」と納得してしまいそうである。だが,バルナック型ライカをイメージしたというならば,もうちょっと全体的に小型に感じられるものであってほしい。

あるいは,「ミノルタ プロッド20's」が意識したものは,バルナック型ライカではなく,こんなカメラなのかもしれない。

雰囲気が似ている。バルナック型ライカよりも,こちらのほうがずっとよく似ている。このカメラは,「No.1ポケットコダックジュニア」という,6×9判すなわちブローニー判のフォールディングカメラだ。もちろん,撮影するためにカメラを開くと,「ミノルタ プロッド20's」とは,まったく似ていないものになるわけだが。「No.1ポケットコダックジュニア」(No. 1 Pocket KODAK Junior Camera) の発売は,1929年とのこと(*2)。なるほど,これも1920年代だ。

来週から,「中判写真週間」が始まるが,今年は「No.1ポケットコダックジュニア」も使ってみようかな。「ミノルタ プロッド20's」がそういう気にさせてくれたというならば,それは感謝しなければなるまい。

*1 コニカミノルタ製品アフターサービス (株式会社ケンコー・トキナー)
http://www.kenko-tokina.co.jp/konicaminolta/history/index.html

*2 History of KODAK Cameras (Kodak)
http://www.kodak.com/global/en/consumer/products/techInfo/aa13/aa13pg2.shtml


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