撮影日記


2014年3月5日(水) 天気:曇

「銘水」と「名水」は違うのか?

昨日,平日の昼間に湯島天神で写真を撮っていたのはなぜか,いちおう言い訳をしておこう(笑)。
 昨日は,東京都内で仕事があった。午後からちょこっとだけ,会合に参加するためである。だから広島から,日帰りとなる。広島駅を8時台に発車する「のぞみ」でも間に合うのだが,どうせ自宅から直行となるのだから早めに出発し,都内で写真を撮ることにした。で,いちばんだいじなのは,この撮影がただの「お遊び」ではなく,仕事で使いたい画像をつくるのが目的である,ということである。つくりたい画像は,レンズのカタログによく見られるような,広角レンズ,標準レンズ,望遠レンズの効果をくらべるものである。そういう画像はどこで撮ってもよいのだが,事情があって東京近辺のものであることがわかりやすいものが都合よい。
 ということで,用意したカメラはニコンD70。18-55mmと,28-300mmのズームレンズを用意した。どちらも,ジャンク品として買ってきたものである(2013年7月27日の日記および2013年10月15日の日記を参照)。使う画像のサイズは小さいので,画質にはこだわらないから,これでいいのだ。

東京であることがわかるような場所で撮りたく,まずは東京駅前で撮ってみる。

Nikon D70, SIGMA AF 28-300mm F3.5-6.3 DL HYPERZOOM

なんかつまらないので,皇居前広場を通り,さらに国会議事堂が見えるところへ行ってみる。だが,これだとあまりに露骨すぎるというかなんというか,やはりおもしろくない。

Nikon D70, SIGMA AF 28-300mm F3.5-6.3 DL HYPERZOOM

そこで,ちょっと気になっていた「谷根千」(谷中,根津,千駄ヶ谷をまとめてよぶときに使われる表現)とよばれる地域へ移動することにした。今日の仕事場は,千駄ヶ谷から遠くないので,そういう面でも好都合だ。「谷根千」地区を歩いて,仕事場へ向かうことにする。ちょっとだけ地下鉄に乗ることにしたが,さて「千駄ヶ谷」で降りるか,「根津」で降りるか。少し迷って,さらに手前の「湯島」で下車。結局,仕事で使う画像は,湯島天神のあとに立ち寄った不忍池の向こうに見える東京スカイツリーを利用することにしたのであった。

Nikon D70, SIGMA AF 28-300mm F3.5-6.3 DL HYPERZOOM

そのあと通りがかった東大病院の裏には,立派なポンプがあった。

「銘水 弁慶鏡ヶ井戸」と書いてある。「銘水」を名乗るからには,きっと良質の水なのだろうと思うが,ポンプの下のほうをみると「この水は飲めません 雰囲気をお楽しみください」との注意書きが!

「銘水」(めいすい)というからには,品質のよい水であることをアピールしているものと思うのだが,残念ながら,飲用には適さないという。かつては実際に品質のよい水だったのだろうが,最近になってなんらかの汚染や汚濁が混じるようになったのかもしれない。「使用禁止」という状況にはなっていないので,誤って飲んでも問題ないくらいの軽度なものとは思われるが,その実情がわからないので飲んでみる勇気は湧いてこない(笑)。
 ところで辞書(広辞苑第4版)を参照すると,「名水」は載っていても「銘水」は載っていない。「銘水」と「名水」は,意味が違うのであろうか?よく似た言葉として「名酒」と「銘酒」は,それぞれ別の言葉として掲載されている。「名酒」は「すぐれた酒」という意味があるが,「銘酒」は「銘柄(=商品の商標)がよい酒」という意味だ。悪く言ってしまえば,「銘酒」は「銘柄がよい」だけ。実際に,すぐれた酒であるという意味は,その言葉には含まれていない。もちろんよい銘柄を維持するために,その銘柄は一定の高いレベルの酒を供給しているはずではあるが,言葉としては「名前だけ」なのである。
 ということは,「名水」は品質のよい水を示す言葉であり,「銘水」は品質には関係なく有名な水である,ということになるのかもしれない。そうだ,環境省が昭和60年に選定した「名水百選」(*1)も「名水」であり「銘水」ではない。
 かつては「名水」として知られていただろうこの井戸の水が,品質の低下に伴って,「名水」から「銘水」に名前を変えたのかもしれない。いや,そんな面倒なことはしていないだろう。たぶん「名」よりも「銘」のほうが,難しそうな漢字で,かっこよく見えただけではないか?…と,うがった見方をしてしまう私であった。

*1 環境省選定 名水百選 (環境省)
https://www2.env.go.jp/water-pub/mizu-site/meisui/


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