撮影日記


2014年2月09日(日) 天気:曇り

上野駅は「あけぼの」祭り
13番線における驚愕の事実とは!?

昨日の東京都内は,20年ぶりに20cmの積雪が観測されたとのこと。週末ではあるがこの日に入学試験がおこなわれた私立大学もあり,電車の運休や遅れなど交通機関の乱れの影響もかなりあったようだ。明日からの仕事のため,夕方に東京駅に着いた。すでに雪は止んでいるが,道路にはまだ雪が残っている。クルマはみんなゆっくりと走っており,チェーンを巻いて走行するバスやトラックの音も目立った。さらに裏道に入ると雪は厚く残っており,あちらこちらに雪だるまの姿も見られる。

NTT DoCoMo P-01D

仕事は明日のお昼からなので,明朝6:00発の「のぞみ」で広島を出ても,じゅうぶんに間に合う。また,貴重な存在となった寝台列車「サンライズ出雲/瀬戸」に岡山から乗るのもいい。だが,これも貴重な存在となった寝台列車「あけぼの」の姿を見ておきたく,前日に東京で宿泊することにしたのだ。
 「あけぼの」は,上野と青森とを結ぶ,寝台列車である。かつて運転されていた急行「津軽」のように「伝統ある」という修飾語がつくこともないし,幹線である東北本線を直通する列車でもなかったから,どちらかというと地味な存在だったと思う。結果として上越線,羽越線を経由することになったから,新幹線の開業後も地味に運転が続けられていた,ということも言えるだろう。また,東京と秋田とを結ぶ交通手段としては,最終の新幹線よりも後に発車し,朝一番の新幹線よりも先に到着することから,便利に利用していた人もあったと思われる。それでもつねに満員というわけでもないだろうし,使っている車両の老朽化という事情もあって,来月3月のダイヤ改正にあわせて廃止になることが決まった。当面は臨時列車として残るということだが,車両の老朽化は着実に進行するわけだから,そう長くないうちに完全に廃止されるものと思われる。
 「サンライズ出雲/瀬戸」は1998年から運転されるようになった新しい電車を使っているから,まだしばらくは車両の老朽化という問題は出てこないだろう。それに対して「あけぼの」が使っているのは,1970年代後半に製造された客車である。いわゆる「ブルートレイン」というものだが,この青い客車は「あけぼの」のほかには,もはや上野と札幌とを結ぶ「北斗星」でしか見られない。
 「あけぼの」は,個人的にはまったく縁がないといってもいい列車だ。利用したことがないのはもちろん,見かけたこともほとんどない。記憶にあるのは,夜行列車「ムーライトえちご」で新潟へ行くときに,途中で見かけたことがあるくらいだ(2009年3月15日の日記を参照)。だが,ブルートレインがもうすぐ見られなくなるのは,やはりさびしいものである。「あけぼの」には縁がなくても,「あさかぜ」などの列車はよく利用したものだ。たぶん「あけぼの」を見ることができるのも,今回がさいごのチャンスだろう。だからちょっと早めに東京へ行き,ちょっと「あけぼの」を見ておくことにしたのである。

「あけぼの」は,上野駅の13番線から発車する。普通列車が発着するホームより1段階下にあるホームで,おもに特急列車が発着する乗り場である。そのいちばん端にある13番線を発着する列車は,時刻表を見るかぎり,ごく少ない。
 20:50を過ぎたころ,「あけぼの」が上野駅13番線に入ってくる。ここは行き止まり式になっているため,機関車が客車を引っぱって入ってくることはないようだ。最後尾になる客車を先頭に,機関車が後押しする形でやってくる。

Nikon D70, AF-S DX Zoom-NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6G VR

14番ホームに立つと,向かい側の13番ホームではカメラを構えた人たちが大勢並んでいるのがよく見える。警備員さんも配置され,ホームの端に近づかないように,ロープが張られているのもわかるだろう。彼らは「あけぼの」に乗りに来たのか,それとも私のように見に来ただけなのかは,ここからではわからない。

Nikon D70, AF-S DX Zoom-NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6G VR

このとき,14番ホームから「あけぼの」を見たり撮ったりする人はあまり多くなかった。まあ,まだ「最後の日」まで1カ月以上あるからだろう。「最後の日」には,ここもかなりの修羅場になることが予想される。
 「あけぼの」の発車まではまだ十分に時間があるので,13番ホームにも行ってみた。こちらは大混雑というほどではないが,「あけぼの」を撮るにはうまく隙間を見つけなければならない。

Nikon D70, AF-S DX Zoom-NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6G VR

ふと横を見ると,そこにはトイレがある。長距離列車のターミナルなのだから,あって当然なのだが,そこにちょっと違和感を感じた。近づいてみると,なにやら貼り紙がある。

貼り紙によると,「トイレ内で迷惑行為が多発しており」とのことだ。この貼り紙は,トイレの奥のほうにまで,数多く貼られている。よく読むと「用便など本来の目的以外でトイレに立ち入ることを禁じます」だの「悪質な迷惑行為を発見した場合は,警察に通報します」だの,あまり穏やかではない。この時期にこの場所であることを考えると,「あけぼの」を目的にした「鉄道マニア」が,なにか「迷惑行為」をしているのだろうか?「用便以外の目的で立ち入る」のは,もしかすると「あけぼの」を撮るのに都合のよい場所だからだろうか?だが,トイレに入ると,当然ながら「あけぼの」は見えない。なんとも不思議な貼り紙である。

ちょっと気になったので,「上野駅 13番線 トイレ 迷惑」をキーワードにして検索してみた。そうしたところ,驚愕の事実が判明。そうか,そういう場所だったのか。鉄道マニアによる迷惑行為ではなさそうなので,まあ,ヨシとするか…。


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