撮影日記


2014年1月10日(金) 天気:雪のち晴

詰め替えて110フィルムを自作しよう
雪の「110判の日」

今年も,「110判の日」がやってきた。「ひゃくとおばんのひ」ではなく,「わんてんばんのひ」である。110と書いてワンテンと読めば,それはフィルムの規格の110カートリッジフィルムを指すことになる。
 110カートリッジフィルムは,かつて簡便で小型なカメラ用のフィルムとして広く使われていたが,やがて使われなくなり,2009年9月をもって富士フイルムが製造販売を終了したことで,市場から姿を消した(2009年7月20日の日記を参照)。110カートリッジフィルムを使うカメラには,おもちゃの如き簡便なものから,AEやレンズ交換機構までそなえたシステム一眼レフカメラまで,魅力的なものがいろいろあっておもしろい。しかしフィルムが入手できなければ,それらはただの飾り物となってしまう。
 フィルムが売られなくなってしまったら,フィルムを自分でつくるしかない。フィルムそのものは,パトローネ入り35mmフィルム(135)や,120フィルムから切り出すなどして用意できるが,カートリッジの自作は困難である。そこで,撮影済みのフィルムの現像を自分でおこなうことにし,カートリッジを再利用できるようにした。カートリッジが確保できれば,フィルムを詰め替えて使い続けることができる。また,フィルムが販売されなくなったからには,その現像処理もやがておこなわれなくなることもじゅうぶんに考えられた。だから,110フィルムを自分で現像できるようにしておくことは,重要である。
 110フィルムを現像するためのタンクやリールは,すでに市販されていないようだ。だから私はかなり面倒ではあるが,配線カバーと塩ビパイプを使って現像している(2010年2月18日の日記を参照)。

「110判の日」の前日,例年のように110フィルムの詰め替えをおこなった。120フィルムから幅16mmのフィルムを切り出す(2010年2月19日の日記を参照)。そのままでは少々長いので,半分に切って,110フィルムの裏紙の終端位置あたりから,裏紙とともに巻いていって,カートリッジに収める。うまく巻ければ,カートリッジの窓に「10」あたりの数字が見えているはずだ。最初の1〜2枚は感光しているだろうから,実質的には約12枚撮りということになる。こうして2本の110フィルムを自作した。

なお残った部分は,127フィルムの巻き替えに使った。これで,1月27日の「127フィルムの日」(「ベストフィルムの日」)も楽しめる。なお,今回はNEOPAN100 ACROSを使用した。

さて,110フィルム(と127フィルム)を自作した翌朝は,雪が降っていた。雪国の方から見れば,この程度の雪でなにを騒ぐ必要があるのだろう?と疑問に思われるかもしれないが,広島市内(の低地)では年に2,3回くらいしか降らないだろうほどの雪である。降りはじめたのは朝のようで,まもなく止んで午後には晴れ間も出てきたから積もることはなかったが,夜のうちに降っていればそれなりに積もったことだろう。
 ともあれ今年の「110判の日」は,このような雪景色となったのであった。
 激しく降る雪が傘に積もっているのがよくわかるだろうが,これを撮った私も傘をさしたまま片手でピント合わせをしシャッターレリーズボタンを押している。ピントが甘くややブレているのは,110判だからというわけでない。このことは,ペンタックス・オート110の名誉のために付け加えておこう。

PENTAX auto110, PENTAX-110 50mm F2.8, ACROS
PENTAX auto110, PENTAX-110 50mm F2.8, ACROS

ところで,富士フイルムが110フィルムの製造販売を終了した後,2012年にLomographyから110フィルムが発売された(2012年5月16日の日記を参照)。また,「110Fukkatsu」というフィルムも発売されている。かつての110フィルムよりもやや高価に感じるかもしれないが,いまとなっては貴重な存在だ。これらのフィルムを購入して撮影に使うのもいいが,詰め替え用のカートリッジを確保するために購入しておくというのもいいかもしれない。


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