撮影日記


2013年07月21日(日) 天気:晴

意外と使えそうな安レンズ

いつのまにか中古カメラ店のジャンクコーナーには,コンパクトカメラや一眼レフカメラ,交換レンズ類にまじって,コンパクトディジタルカメラがにぎわすようになっている。だがまだ,ディジタル一眼レフカメラを見かけることはない。廉価モデルであってもまだ,ジャンク扱いされるほどではないということだろうか。あるいは,そういうものがジャンクコーナーにあらわれても,私が訪れる前に常連さんに保護されてしまっているのだろうか。だから,ディジタル一眼レフカメラ専用とされる交換レンズがジャンクコーナーにあるのを,珍しいことと感じてしまった。
 ともあれ,AF-S DX Zoom-NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6G VRを保護してしまったのである。いかにAPS-Cサイズの撮像素子をもつディジタル一眼レフカメラ(ニコンではこれを「DXフォーマット」と呼んでいる)専用の廉価版標準ズームレンズとはいえ,VR(手ブレ補正)機構までついた交換レンズがジャンクコーナーで1000円で売られているのである。不動品かとも思ったが,レンズの表面はかなり汚れていたものの,とりあえず動作しているようだ。

DXフォーマット用ニッコールの18-55mmという標準ズームレンズは,エントリーモデルのディジタル一眼レフカメラとセット販売されることが多いようだ。このレンズには,3種類ある。

 AF-S DX Zoom-NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6G ED 5群7枚 (ED 1枚,非球面1枚) 31500円
 AF-S DX Zoom-NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6G VR 8群11枚 (非球面1枚) 36750円
 AF-S DX Zoom-NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6G ED II 5群7枚 (ED 1枚,非球面1枚) 21000円

このたび保護したAF-S DX Zoom-NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6G VRは,前モデルAF-S DX Zoom-NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6G EDよりもやや高価であるが,EDレンズが使われていない。VR機構を搭載することによるコスト上昇を,EDレンズを使用しないことで抑えようと考えたのだろうか。実際に,EDレンズを使用することがどれだけのコスト上昇につながるのかはわからない。ただ,エントリーモデルのカメラとセットで販売する場合,その購入者は初心者が中心になるだろうから,レンズの描写よりも手ブレを軽減する機構のほうが,きれいに写るという結果に与える影響は大きいだろう。だから,EDレンズの使用をやめてでもVR機構を搭載した,という判断は間違っていないと思う。
 とはいえ,EDレンズの使用をやめ,かつ構成レンズは増えている。単純に考えれば,画質はあまりよくないと思われる。Nikon D70につけてファインダーを覗いても,あまりきれいに写らないような印象を受けた。まあそれは,AF-S DX Zoom-NIKKOR 18-70mm F3.5-4.5G IF EDにくらべてやや暗いレンズだからかもしれない。
 さて,実際に撮影に使うとどうなるか?

Nikon D70, AF-S DX Zoom-NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6G VR (F8,1/4sec,ISO800)

予想に反して,カリっと写っているではないか。

Nikon D70, AF-S DX Zoom-NIKKOR 18-70mm F3.5-4.5G IF ED (F8,1/4sec,ISO800)

少なくとも,接写時の解像度はAF-S DX Zoom-NIKKOR 18-70mm F3.5-4.5G IF EDよりもよさそうである。というか,AF-S DX Zoom-NIKKOR 18-70mm F3.5-4.5G IF EDが,複写のような撮影にはまったく適していないということは間違いないようだ。
 ところで,廉価版の標準ズームレンズは,以前からマクロ機構と称して,一般的な標準レンズよりもやや被写体に近づいて撮影できるようになっているものが多い。ということで,ほかの廉価版標準ズームレンズでも同じように撮影してみた。

Nikon D70, AF Zoom-NIKKOR 35-70mm F3.5-4.5S (F8,1/4sec,ISO800)

AF Zoom-NIKKOR 35-70mm F3.5-4.5Sは,F-501AF用として(F3AF用レンズを除いて)最初に発売されたAF NIKKORの1つである。これも,しっかりと写っている。そもそも私にとって,ズームレンズの画質はよくないという印象を覆してくれたのは,このレンズだった。だから,この結果は納得のいくものだ。

Nikon D70, AF Zoom-NIKKOR 35-70mm F3.5-4.5S new (F8,1/4sec,ISO800)

AF Zoom-NIKKOR 35-70mm F3.5-4.5Sがモデルチェンジしたもので,よりコンパクトになっている。画質がやや劣るような気もするが,これは気のせいかもしれない。

Nikon D70, AF Zoom-NIKKOR 28-80mm F3.5-5.6G (F8,1/4sec,ISO800)

Gタイプのレンズは,絞りリングを廃止したものである。このレンズは,ピントリングの目盛もなく,マウントもプラスチック製の,コストダウンの塊みたいなレンズであるが,写りのほうは許せる範囲のようだ。
 なお,AF-S DX Zoom-NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6G VRも,ピントリングに目盛がなく,マウントはプラスチック製であり,さらにAF-SレンズでありながらAFモードのままではマニュアルフォーカスができないようになっている。やはりコストダウンの塊のようなレンズと言えるだろう。

ここまでの比較はすべて,レンズの中心部付近の写りだけを見たものだ。周辺部ならともかく,レンズの中心部の描写が悪いはずはないと思う。それだけに,AF-S DX Zoom-NIKKOR 18-70mm F3.5-4.5G IF EDが複写には不向きなレンズであることが,さらに明確になったということだ。
 ただ,あくまでも「複写には不向き」ということであり,花の接写などならかえって軟調に写って気持ちよいかもしれない。また,遠景を撮影するときはどうか,ヒマなときでもあれば比較してみたいものだ。

Nikon D70, Ai Micro-NIKKOR 55mm F2.8S (F8,1/4sec,ISO800)

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