撮影日記


2013年06月01日(土) 天気:はれ

博物館めぐりは楽しい
今日は「科博」から「カ博」へ

国立科学博物館では,特別展「グレートジャーニー 人類の旅」(*1)が開催されている。国立科学博物館での特別展は,いつも非常におもしろい。ただ,このテーマがやや地味なのだろうか,入場口に列ができていないようだ。以前に見に行ったことのある「大ロボット博」や「インカ帝国展」にくらべれば,来場者数が少ないのではないかと思われる。こういうときだから見ごたえのある特別展をのんびり見るのもいいのだが,今日はほかにも立ち寄りたいところがあるので,常設展だけを見ることにする。
 常設展でも,特別展「グレートジャーニー 人類の旅」に連動するような展示がされており,たとえば球形の部屋のなか全体に映像が映し出される「シアター36○」(シアター・サン・ロク・マル)で今年度に上映されるプログラムには,「人類の旅 -ホモ・サピエンス(新人)の拡散と創造の歩み」(*2)が含まれている。また,企画展として「江戸人展」(*3)も開催されている。「シアター36○」や「江戸人展」は,常設展の観覧券だけで入場できるので,オススメである。

そもそも今日,国立科学博物館を訪れた目的は,その「江戸人展」なのである。国立科学博物館のWebページで「展示概要」(*3)を見ることができるが,当時の人の骨格から,実際の顔つきや生活,風習などが読み取れるという。武家と町人とで顔つきがはっきりと異なっていた,なんて実に興味深いではないか。それに加えて,江戸時代から明治時代にかけて撮影された写真も紹介されるという。写真展ではないのでオリジナルプリントなどが展示されるわけでもなさそうだし,この時代に写された写真は意外に多いようでいろいろな書籍で紹介されている。さほど珍しいものでもないわけだが,写真を趣味とする者としては,興味深い展示内容なのである。
 なお,ダゲールがダゲレオタイプを完成させたのは1837年とされており,それから20年もたたないうちに日本に写真機材が持ちこまれて撮影がおこなわれたり,日本人も撮影に成功したりするようになっているとのことだ。たとえば,日本カメラショー「カメラ総合カタログ Vol.94」(1989年)の巻頭では,「写真誕生150年」としてそのあたりが簡単にまとめられているので,読んでみるといいだろう。それによると,ダゲレオタイプ(銀板写真)がフランス学士院で公式に発表されたのが1839年8月19日で,日本に残されている銀板写真として1854年にアメリカのペリー艦隊の従軍カメラマンが撮影したものがあり,さらに,日本人が撮影したとされるものとして1857年に撮影されたものがあるとのことである。

つぎに,地下鉄で半蔵門駅へ移動する。
 いつのまにか,東京メトロではトンネル内でも携帯電話が利用できるようになっている(*4)。それでもマナーとしての基本は,あくまでも「…携帯電話での通話はご遠慮いただき、優先席付近では電源をお切りください」のようなので,インターネット接続や電子メールの送受信の利用が想定されているのだろう。たとえば国立科学博物館へ向かうときに乗った車内では,向かいの7人掛けの席に座っていた人のうち5人が携帯電話を操作しており,そのうち4人はスマートフォンのようである。残る2人のうち1人は本を読んでおり,残る1人は寝ているようであった。地下鉄車内で携帯電話が使えることを重宝する人は,少なくないようである。まあ,そのおかげで私も,地下鉄車内で路線図や下車後の道順を確認することができるなど,助かっているわけだが。
 さて,半蔵門駅で下車して向かう先は,日本カメラ博物館である。半蔵門駅で4番出口を出れば目的地は近いのだが,ちょっと裏に回りこむようになるので,ちゃんと道順を確認しておかないとわからないかもしれない。また,日本カメラ博物館は地下にあるため入り口もちょっと目立たず,とくに半蔵門駅から向かうと見落としやすいので要注意だ。

日本カメラ博物館では,「日本の歴史的カメラ」などの常設展示がおこなわれているほか,特別展もおこなわれている。いま開催されている特別展は,「ブローニーフィルム・カメラ展」(*5)である。この特別展は,2013年6月16日まで。ちょうど来週は「中判写真週間」(2010年6月5日の日記を参照)であり,じつにタイムリーな展示といえるだろう(笑)。しかも,「本展示期間中はブローニーフィルムを使用するカメラ(120フィルム用カメラ)持参で、入場料一般300円のところ特別料金の200円でご覧いただけます」という洒落た企画も用意されている(*5)。これは,行かねばなるまいと思った次第だ。もちろん,ビューティフレックスを持参して(2013年5月28日の日記を参照),特別料金にしていただいた。

 常設展については,「日本の歴史的カメラ」が年々追加されているわけで,古のカメラだけでなく,そろそろ存在を忘れられそうな初期のディジタルカメラも並べられている。まさに,貴重な空間といえるだろう。一方の特別展も,大いに見ごたえのあるものだった。二眼レフカメラを集めたコーナーには,私が持参したものと同型のビューティフレックスも並んでいる。しかし,その説明には「III型」とある。私のビューティフレックスは,ずっと「V型」だと思いこんでいたので,少し驚いた。なぜこれを「V型」と思いこんでいたのかというと,アサヒカメラ1954年9月号の広告で,ビューティフレックスV型の特徴に「シンクロターミナル」が含まれていたからである。しかし,あらためてよく見れば「コンパータイプ」とある。コンパータイプのシンクロ接点とあらためて聞くとなんのことかピントこないかもしれないが,要は,一般的なふつうのシンクロ接点だと思えばよい。ところが。私のビューティフレックスのシンクロ接点は,「コダック式」なのである。私がずっと,間違ったことを思いこんでいたようだ。

そうだ,日本カメラ博物館の説明は,信用なるものなのだ。インターネットオークションの出品などでは,カメラについて明らかに内容が誤っていることや,どこかのWebサイトからパクってきたりしたような説明がされているものを見かけることがある。そんな説明をしている販売店や出品者は,やはり信用したくないし,取り引きをしたくない。そう感じている人も,少なくないと思う。
 日本カメラ博物館の「いいところ」は,説明内容が信用できることだけではない。販売店などとちがって「値札がついていない」ので,精神衛生的にも好都合なのである(笑)。なお,「科博」から「カ博」への移動など,都内の移動には東京メトロの1日乗車券が便利であった。

*1 特別展「グレートジャーニー 人類の旅」 (国立科学博物館)
http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/ueno/special/2013/gj2013/index.html

*2 展示「シアター36○」 (国立科学博物館)
http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/theater360/index.html

*3 企画展「江戸人展」 (国立科学博物館)
http://www.kahaku.go.jp/event/2013/04edo/index.html

*4 平成25年3月21日(木)正午より、東京メトロの全線で携帯電話が利用可能に! (2013年3月18日 東京地下鉄株式会社,株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ,KDDI株式会社,ソフトバンクモバイル株式会社,イー・アクセス株式会社)
http://www.tokyometro.jp/news/2013/pdf/metroNes20130318_mobile.pdf

*5 誕生から100年余 いまなお続く ブローニーフィルム・カメラ展 (日本カメラ博物館)
http://www.jcii-cameramuseum.jp/museum/special-exhibition/20130305.html


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