撮影日記


2013年03月16日(土) 天気:曇

望遠だよ,ワイドだよ
これはPENTAXのDNAなのか?

小学生のころだっただろうか,中学生のころだっただろうか,カメラに興味をもちはじめたころのことである。旭光学が発売する「ペンタックス」は,当時,一眼レフカメラだけに使われていた名称であり,やや高級なブランドだと認識していた。それに対して「ヤシカ」といえば,「エレクトロ35」などのレンズシャッターカメラが有名で,一眼レフカメラはあまり評価が高くない,どちらかといえば安物なブランドだと認識していた。「ヤシカ」がドイツのメーカーと共同で「コンタックス」というカメラを発売していると知ったときには,「ドイツ」という名前の箔を借りて「ペンタックスの偽物」をつくったのか?と思ったものだ。不勉強な者の認識力というものは,その程度である(笑)。
 この「撮影日記」を読んでくださっている方々にとっては言うまでもないことだろうが,「ペンタックス」よりも「コンタックス」のほうが,先に,世に出ている。そして昭和初期の日本でも,カメラに興味・関心を持つ人の間では十分に,その名は知られていた。ほんとうならば,「ペンタックス」こそが「コンタックス」のマネだろ?と疑われてもしかたないはずなのである。

「ペンタックス」の「ペンタ」は,「ペンタプリズム」に由来するものであろう。初期の一眼レフカメラは,ミラーで反射した画像をカメラ上面に設けられたピントグラスで確認する,ウエストレベルファインダーになっていた。これだと,被写体に対して下を向いて構える必要があるうえに,左右逆像になるので慣れないとやや扱いにい。また,縦位置での撮影が難しい。そのため,旭光学がはじめて発売した国産初の一眼レフカメラ「アサヒフレックスI」には,透視ファインダーも設けられていたが,ウエストレベルファインダーでの扱いにくさを補うためのものだったのだろう。

透視ファインダーの併用では,一眼レフカメラのメリットを活かしきることができず,根本的な解決にはならない。そこで,カメラ上面に設けられたピントグラスの画像を,正立で見ることができるペンタプリズムというものが使われるようになった。これによって,パララクスがないという一眼レフカメラのメリットを活かせるようになる。パララクスがないことにより,望遠レンズや広角レンズ,マクロレンズなどさまざまな交換レンズが利用しやすくなるのである。
 だから,「一眼レフカメラ」の条件として「レンズ交換が可能」という,正しくないイメージを持っている人があるのかもしれない。
 「ペンタックス」は,自社のカメラを「望遠だよ,ワイドだよ」というフレーズとともに宣伝していたようである。テレビのコマーシャルでも使われていたことを,かすかに記憶している。ま,私はそんな年代の者である(笑)。

「ペンタックス」は,一眼レフカメラだけに使われていた名称だったが,後に,レンズシャッターカメラにも使われるようになった。そして,会社名も,旭光学からペンタックスに変更した。
 「ペンタックス」は,レンズシャッターカメラでも「望遠だよ,ワイドだよ」を意識していたのだろうか。レンズシャッターカメラに,ズームレンズを積極的に搭載していっていたように見える。そのズームレンズの焦点距離は次第にエスカレートしていき,1999年には200mmレンズを搭載した「ESPIO 200」を発売する。ただ,そこに搭載されたズームレンズの短焦点側は48mmであり,「望遠だよ」は十二分に実現されていても「ワイドだよ」が物足りない。それを反省したのかどうかは知らないが,2004年には長焦点側を170mmにおさえつつも短焦点側を38mmまで広げた(戻した,というべきか)「ESPIO 170SL」を発売している(2013年2月10日の日記を参照)。
 今日は,そんな「ESPIO 170SL」を保護することができたのであった。ちゃんと動作しているようなので,いずれ試し撮りをしてみよう。


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