撮影日記


2012年11月10日(土) 天気:曇

暗闇に光る荘厳な姿
今年もライトアップされた大イチョウ

11月にはいると,山地でも平地でも,木々の葉が色づきはじめる。春の「サクラだより」と同様に,著名な観光地の木々の色づきを状況を知らせる「紅葉だより」が,駅など人の集まる場所に貼りだされるようになる。「紅葉」という文字から,とくにカエデの赤を連想させることが多いようだが,木々の葉の色は赤になるばかりではない。赤でも,橙色のような明るいものから,茶色に近いものまであるし,黄色くなるものもある。常緑樹も混じっていることがあるだろうから,橙,赤,茶,黄,緑が入り混じり,それぞれが互いに色を引き立てあって美しい景観をつくり出すことになる。
 葉が黄色くなる木としては,イチョウをその代表例としたい。高く伸びたものが多く,その高さと鮮やかな黄色い葉のために,遠くからでもよく目立って見える。また,山などに自生するものはあまり見られず,街路樹や公園,あるいは神社やお寺などに人為的に植えられたと思われるものが多いように感じる。
 広島県内でもっとも大きなイチョウとされる筒賀の大イチョウの木も,神社の境内に植えられている。もともとはイチョウのところまでが神社の敷地だったが,のちに敷地が広がっていまの状態になったとのこと(1997年11月10日の日記を参照)。

昨年,この筒賀神社の大イチョウがはじめて,黄葉の時期にライトアップされるというイベントがあった。昨年は「ライトアップは18時から21時の予定」とのことで,17時30分ころからカメラをセットしてライトアップを待っていたのだが,足元が見えなくなるほど暗くなった予定の18時になっても点灯されない。はっきりとは聞こえないが,スピーチの声が聞こえてくるだけである。結局,20分ほどたったころにカウントダウンの声が聞こえ,ようやく点灯。暗闇に,大イチョウの姿が浮かびあがってきた(2011年11月12日の日記を参照)。
 今年のライトアップは「18時から20時の予定」と聞いていたので,去年と似たような進行かと思い17時30分を過ぎたころに訪れてみれば,なんとしたことか,もうすでにライトアップされているではないか。スピーチもなくすんなり点灯されたのはありがたいが,そういうものがなにもないのも寂しく感じる。我ながら,勝手なものである。

Nikon D70, Reflex-NIKKOR 500mm F8 new

大イチョウの手前は,筒賀中学校のグランドである。ここは,イベントがおこなわれるときに駐車場として使われることもある。昨年のライトアップのときは,ここに駐車するクルマも多く,グランドそのものも明るく照らされていたが,今日はほとんど明かりがない。今年のライトアップは,「つつがふるさとまつり」の「前夜祭」としてのものとのこと。ライトアップに並行して,あるいは先行してイベントがおこなわれていれば,昨年のようにグランドが明るかっただろうが,今日はそこが暗い。そのため,ライトアップされた大イチョウは,まさに暗闇に浮かび上がるような状態になっている。
 ただ,惜しいことにあいにくの曇り空で,星は見えない。

Nikon D70, AF-S Zoom-NIKKOR DX 18-70mm F3.5-4.5G

昨年のライトアップのときはよく晴れており,満月に近い月が東の空に輝いていた。それに対して今日は,月の姿が見えない。単に曇り空というだけではなく,新月に近い月なので,そもそもまだ空に出ていないのである。したがって,近づいて見上げれば,まさに大イチョウが暗闇に浮かび上がるかのようである。
 ただ,ライトアップのための発電機の音が,少し残念である。

Nikon D70, AF-S Zoom-NIKKOR DX 18-70mm F3.5-4.5G

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