撮影日記


2012年10月07日(日) 天気:晴

マミヤZEをもっと活用したい
ついにマミヤ645用レンズがやってきた

マミヤ645用レンズとの出会いを,私はずっと待っていた。しかし,マミヤ645シリーズのボディは,1台ももっていない。ではなぜ,マミヤ645用のレンズがほしかったのか?それは,マミヤZEシリーズのカメラで使うためである。
 「マミヤ645」は,1975年に発売されたセミ判一眼レフカメラである。以後,モデルチェンジを繰り返し,AF化(1999年,「マミヤ645AF」)され,ディジタルバックにも対応(2001年,「マミヤ645AF D」)するようになった。さらには,マミヤ645シリーズのAFレンズを使用する「マミヤZD」という中判ディジタルカメラが,2005年に発売されている。
 「マミヤZE」は,1980年に発売された35mm判一眼レフカメラである。絞り優先AE専用の「マミヤZE」と,マニュアル露出も可能で音による手ブレ警告機能がある「マミヤZE-2」とが発売されている。1981年にはマルチモードAEカメラである「マミヤZE-X」,1982年にはデザインを一新した「マミヤZM」が発売され,さらにはAF機構をもたせた「マミヤZF」の試作も進んでいたようだが,1984年に大沢商会が倒産。連鎖倒産で当時のマミヤ光機も倒産し,マミヤZEシリーズを含む,マミヤの35mm判カメラの流れがそこで終わった。

「マミヤZE」および「マミヤZE-2」が発売されたころ,マミヤが発売するカメラは,6×9判の「マミヤユニバーサルプレスブラック」,6×7判一眼レフカメラ「マミヤRB67プロフェッショナルS」,6×6判二眼レフカメラ「マミヤC220プロフェッショナルf」「マミヤC330プロフェッショナルf」,6×4.5判一眼レフカメラ「マミヤM645」「マミヤM645 1000s」,さらに35mm判一眼レフカメラのマミヤZEシリーズ(ZE-X,ZE-2,ZE)やいくつかのコンパクトカメラ(135AF,135EF,U,EF2)という,じつに充実のラインアップであった。
 よく見ると,マミヤ645シリーズとマミヤZEシリーズだけがフォーカルプレーンシャッターのカメラで,ほかはレンズシャッターのカメラである。だからというわけでもないのだろうが,おもしろいオプション品が用意されていた。

「マミヤM645レンズ-ZEアダプターリング」

マミヤ645シリーズ用のレンズをマミヤZEシリーズのボディで使うための,マウントアダプタである。日本カメラショー「カメラ総合カタログ」にも掲載されていた,マミヤ純正品である。純正品であるが,マミヤZEシリーズが誇る,多数の電気接点をもった「ミラクルマウント」の機能は活かされておらず,自動絞りの連動すらしないものである。このことは「カメラ総合カタログvol.73」(1982年)で「測光方式は絞り込みAEになります」と注意書きがあることからも,うかがい知れる。しかしながら,「(前略)ガッチリと被写体を狙う時はM645で スナップ撮影にはZEと撮影領域をグーンと広げてください(後略)」という宣伝文は,なかなかに物欲を刺激してくれる文言ではないか。
 ところが残念なことに,中古カメラ店で見かけることが少ないことからわかるように,マミヤZEシリーズはあまり売れなかったようである。知人以外がマミヤZEシリーズのカメラを使っているのを目撃したことは,ほとんどない(1997年6月22日の日記を参照)。なぜ,マミヤZEシリーズはあまり売れなかったのだろうか。マミヤZEシリーズが比較的低価格で魅力的なスペックをもっていたとしても,十分に予算のある人であれば,レンズの性能やボディの信頼性に定評あるニコンやキヤノンを選んだであろう。ニコンやキヤノンを選ばなくても,ペンタックスやミノルタを選べばよい。オリンパスやヤシカのコンタックスもある。価格最優先で選ぶなら,リコーの「サンキュッパ」(XR500)や「ヨンハッパ」(XR1000s)がある。
 マミヤZEやマミヤZE-2を実際に手にしたときに感じたことは,なんといってもそのボディのあまりにものチープさである。後の上位モデルZE-Xでは少しは改善されたようにも感じるが,マミヤZE,マミヤZE-2のボディのプラスチックは,あまりに頼りないのだ。

マミヤZE-2とMamiya-sekor ZOOM E 28-50mm F3.5-4.5

マミヤZE,マミヤZE-2には,当時としては小さく軽く感じるという他社の製品をリードする面もあるのだが,このころの一眼レフカメラのユーザ層は,どちらかというとメカマニアの男性であろう。小さく軽くというのは,そういう人たちへのセールスポイントになるとは思えない。今から思えば,電気接点を多数備えたレンズマウント,コンパクトな28mm-50mmのズームレンズなど魅力的なシステムなどがあるものの,結果としてあまり売れなかったことになる。マミヤの35mm判一眼レフカメラのレンズマウントが頻繁に変更されることから,長期間にわたってシステムをそろえていくことが難しいと感じられ,敬遠されたことも考えらえる。
 あまり売れなかったマミヤZEシリーズと,当時はまだ一般には敷居が高かったと思われる中判一眼レフカメラとを結ぶマウントアダプタも,そうそう売れたとは思えない。実際に私が,M645-ZEマウントアダプタを中古カメラ店の店頭で見かけたことは,数えるほどしかない(2006年5月26日の日記を参照)。だから,手ごろな価格で店頭に並んでいるのを見たとき,ついにお迎えしてしまったのである(2010年9月3日の日記を参照)。

さて,M645-ZEマウントアダプタを入手したのだが,マミヤZEシリーズのボディはあっても,マミヤ645シリーズ用のレンズがない。マミヤ645シリーズは,マミヤZEシリーズとは違って,それなりに市場に流通している。金額さえ気にしなければ,いつでもすぐに入手できるような存在だが,やはり金額は大いに気にしたい。ともあれ狙っていたのは,200mm以上の望遠レンズか,中判カメラ用として最速レンズの1つである,Mamiya-sekor C 80mm F1.9あたりだ。
 それから2年の月日が流れ,ようやく,マミヤ645シリーズ用レンズとの縁が見つかった。お迎えできたレンズは,望遠ズームレンズMamiya-sekor ZOOM ULD C 105mm-210mm F4.5である。
 コンパクトな,マミヤZE-2につけると,じつにかっこいいじゃないか!

Mamiya ZE-2にMamiya-sekor ZOOM ULD C 105-210mm F4.5をとりつける

M645-ZEマウントアダプタを使えば,このようにマミヤZEシリーズとマミヤ645シリーズとでレンズを共用できるのである。このことは,先に紹介した「カメラ総合カタログvol.73」(1982年)において,「M645用の豊富な交換レンズがすべて使用できるようになりました」と記されている。だが,このような使い方がほんとうに必要だった人は,どれくらいあっただろうか。そもそも,マミヤZEシリーズとマミヤ645シリーズの両方を使っていた人も,決して多くなかったのではないか。それは,M645-ZEマウントアダプタを中古カメラ店でめったに見かけることができないことからも,じゅうぶんにうかがい知ることができるものである。


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