撮影日記


2012年05月04日(金) 天気:曇ときどき雨

金環日食への期待

来たる2012年5月21日には,日食が起こることが予報されている。日食とは,太陽と地球との間に月が入り,地球から見て,太陽が月に隠される現象である。日食は,1年に2回くらいの割合で起こっているが,1回の日食が見える範囲は限られているので,ある地域において日食が見られるのは,何年かに一度の現象となる。とくに,月が太陽を完全に隠してしまうときを皆既日食といい,ある地域において皆既日食が見られるのは,数10年に一度あるかないかという珍しい現象である。
 太陽は,地球の約100倍の大きさがある。一方,月は,地球の1/4くらいの大きさしかない。太陽の大きさは,月の大きさの約400倍あるわけだが,地球から太陽までの距離は,地球から月までの距離の約400倍と,たいへん遠くにある。そのため,地球からの見かけの大きさは,太陽も月も,ほぼ同じものとなる。ただし,その距離は一定ではない。見かけの大きさは,わずかではあるが変化する。そのため,月が相対的に小さく見えるときだと,太陽を完全に覆い隠すことができず,太陽がリング状に見えることになる。これを金環日食という。ところが惜しいことに,広島ではぎりぎり,金環日食にならない。しかし,大阪ならば,金環日食が見られる。なお,大阪で見られた前回の金環日食は,およそ300年前のこと。大阪で次に金環日食が見られるのは,およそ300年後とのこと。金環日食は,それだけ珍しい現象なのだ。

大阪市立科学館は,大阪市立電気科学館が生まれ変わったものである。大阪市立電気科学館は,日本ではじめてのプラネタリウムが設置された施設でもある。大阪市立科学館にも当然ながらプラネタリウムがあり,その入り口には,大阪市立電気科学館時代に使われていたプラネタリウムの投影機が展示されている。私もかつては,これのお世話になっていたというわけだ。

さて,今日はいわゆるゴールデンウィークの中日。明日は「こどもの日」でもある。ある程度の混雑は予想していたが,大阪市立科学館のチケットカウンタに,長蛇の列ができていたのにでくわしたのは,はじめてのことだ。もっとも大阪市立科学館へは,年に2,3回くらいの割合でしか訪れていないので,これまでにも長蛇の列ができていたことはあったのだろうけど。長蛇の列の原因は,たぶんに金環日食であろう。プラネタリウムの投影内容の1つに,金環日食がとりあげられている。金環日食以外のテーマの投影は,まだ席が空いているのに,金環日食がテーマの投影は,午後まですでに空きがない。これが混雑の一因であることは,まあ間違いないだろう。

ところで,大阪市立電気科学館は,電気の知識の普及を目的として,関西電力がスポンサーになってつくられたとのことである。そして,現在の大阪市立科学館も,関西電力が出資している。1階の展示フロアは,発電や電力網などがテーマになっており,関西電力のPRも担っているのだろう。その片隅に,子どもたちが群がっているコーナーがある。「コンセントからの旅」(*1)というもので,装置から出ているワイヤーを引っ張ると,画面のなかのコンセントが抜け,電力線を伝って変電所を経て,発電所までたどりつくというものだ。

いつ訪れても,いつもここには子どもたちが群れている。子どもたちにとっては,そうとうにおもしろいものなのだろう。ところで,「コンセントからの旅」のゴールである発電所は,どう見ても原子力発電所である。

その装置の横には,「現在,大阪には原子力発所から電気は送られてきていません。」という注意書きがつけられていた。今は,原子力発電所をPRしにくいとはいえ,この装置を改造するのも容易ではないということだろう。ん,よく見れば「発電所」となるべきところが「発所」になっているぞ(笑)。

*1 大阪市立科学館 館内案内 −1F 電気とエネルギー− (大阪市立科学館)
http://www.sci-museum.jp/server_sci/map/exhibit/1_4.html


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