撮影日記


2012年04月29日(日) 天気:晴

距離計連動110判カメラ
Canon 110EDを救出した

写真を撮るとき,ピントを調整する必要がある。主としたい被写体にきっちりピントがあっていれば,その写真はきれいに見えるはずだ。カメラの自動化が進んでいなかったころには,ピントや露出があった写真を撮れることが,すなわち,「写真がうまい」ことだったのである。
 ピントの調整については,「機械が自動的にあわせるもの」(オートフォーカス),「人間が手で動かしてあわせるもの」,「ピントをあわせることをしない」(固定焦点,パンフォーカス)の3つに,まず区分できる。現代のカメラの大半は「オートフォーカス」がとりいれられており,「固定焦点」は以前から安価なカメラを中心にとりいれられている。
 「人間が手で動かしてあわせる」場合,なにか基準になるものが必要だ。このしくみについては,「ピントグラスに写った像を見てあわせる」「距離計を利用してあわせる」「目測であわせる」の3つに区分できる。「ビューカメラ」「一眼レフカメラ」「二眼レフカメラ」などは,「ピントグラスに写った像を見てあわせる」タイプのものである。「距離計」とは,三角測量の原理を利用して,被写体までの距離を測定する装置である。距離計で測定した結果を読み取って,レンズのピントリングに刻まれた目盛をあわせるのだが,ピントリングの動きとファインダーに内蔵された距離計の動きとが連動した,「距離計連動ファインダー」をもっているものが一般的である。さいごに,「目測であわせる」ものは,被写体までの距離を目で見積もって,それをもとにピントリングの目盛をあわせるものである。

カメラが普及するには,できるだけ簡単な操作で,ちゃんと写真が写ることが必要である。さらに,価格が安ければ,普及に拍車がかかる。そもそもピントや露出の調整は,操作が難しいものである。また,フィルムの装填にも,それなりの慣れが必要である。普及型のカメラの進化は,これらの操作を簡便にし,あるいは自動化してきたことであると言える。
 さらに,カメラを小さくすることも含めて目指したシステムとして,「ポケットインスタマチック」というものが,1972年にコダックから発売された。当初は「ポケットインスタマチック」とよばれていたが,やがて「ポケットカメラ」とよばれるようになる。カメラの小型化とフィルム装填の簡便化を目指して,カートリッジに入った幅16mmのフィルムを使うようになっていた。このフィルムは「110フィルム」とよばれ,または「ポケットフィルム」ともよばれた。画面サイズは13mm×17mmになり,これは「ポケット判」「110判」とよばれた。

110フィルムの例

110フィルムを使うカメラは,基本的に簡便で安価なものであった。ほとんどの製品が,ピント調整は目測でおこなうものか,ピントが固定されたものであった。しかし,なかには高機能なものもある。その代表といえるのは,PENTAX auto110のシステムだろう。

PENTAX auto110

PENTAX auto110は,交換レンズやワインダーも用意された,システム一眼レフカメラである。こんなに小さいが,立派な一眼レフカメラだ。プログラムAE専用というのがちょっと惜しいが,パララクスの影響もなく,ピントを意図したところにきちんとあわせることができる。110判の一眼レフカメラとしては,このほかにミノルタから「Minolta 110Zoom SLR」「Minolta 110Zoom SLR mark2」というものが発売されていた。ズームレンズが固定されていてレンズ交換はできないが,これも立派な一眼レフカメラであった。いずれ,入手したいカメラの1つである。

ピントを意図したところにきちんとあわせられるしくみとしては,一眼レフのほかに,距離計連動ファインダーがある。110フィルムを使うカメラで,距離計連動ファインダーをもったものとしては,キヤノンから発売された「Canon 110ED」「Canon 110ED20」というものがあった。これも,以前から入手したいと考えていたカメラの1つである(2010年2月6日の日記を参照)が,今日,ようやくこれを入手する機会を得たのである。
 「フィルムがないので動作チェックをしていないからジャンク扱い」とのことであったが,さて,ちゃんと動作するかどうか。

キヤノン110EDとキヤノライトED

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