撮影日記


2012年02月15日(水) 天気:雨のち晴

偽ライカは「シャレ」なのか?
偽ロレックスが犯罪ならば,偽ライカはどうなんだ

最近はフィルタリングソフトがかなり進化したようで,いわゆる「迷惑メール」を受け取ることが少なくなった。ここでいう「迷惑メール」は,こちらから希望したわけでもないのに一方的に送られてくる「なにかの宣伝を目的としたメール」であるが,そこで宣伝されているモノやサービスは,どこかあやしげな雰囲気のものが多い。さらに,なんからのモノやサービスを売るのではなく,「架空請求」や「フィッシング」などの罠へ誘導することが目的であると思われるものもある。いずれにせよ「迷惑メール」では,まっとうな手段では販売や宣伝をしにくいものが扱われている,そんなケースがほとんどであると考えてもよいだろう。だから,そのような宣伝のメールを受け取ってしまったときは,基本的に無視するのがよいことになる。また,メールで宣伝をおこなうことは,そのような「あやしげな商売」と誤解される懸念もあるので,するかしないか慎重になるべきだ。
 「迷惑メール」で宣伝される商品としては,「ブランド品の偽物」を見かけることが多い。本物であれば数10万円から数100万円するようなものが,数1000円から数万円の価格で売られている。ただし,それらはコピー品であることが遠まわしに説明されていたり,あるいは明記されていたりするなど,「本物である」と偽っているわけではない。そして「迷惑メール」は,そのような商品を扱っている販売者のウェブサイトへ誘導するような内容になっている。
 このような商品を販売目的でもっていることは,商標権など知的財産を侵害するものとされ,犯罪行為となる。それを購入することは,そのような犯罪行為を幇助するものであり,購入するべきではない。ましてや転売目的で購入するなら,同罪となるかもしれない。また,本物と偽って販売するなら,さらに詐欺とみなされることになるだろう。

そのような販売者がよく扱っているブランドとしては,たとえば「ロレックス」がある。ロレックスといえば,いうまでもなく,高価な時計である。今日のニュースで,偽物のブランド品を販売する時計店の店主が逮捕された,というものがあった(*1)。記事によれば,本物ならば200万円くらいする「ロレックス」の「偽物」を1万円くらいで販売しており,商標法違反の疑いで逮捕したというものだ。また,記事では「堂々と偽物をうたうケースは珍しい」という,警察のコメントを紹介している。偽物であることを隠していなかったという意味では,正直な販売者だったわけであるが,こういうものを扱ってはいけないということか。

カメラでも,「偽物」が出回る例がある。その代表的な例は,なんといっても「ライカ」であろう。よく流通してる「偽ライカ」は,おもにソ連で「ライカ」を模倣して製造された「フェド」や「ゾルキー」というカメラに,「Leica」というロゴを刻んだものである。それらは中古カメラ店でも,「フェイクライカ」「偽ライカ(ロシア製)」などとはっきり表示されて売られていた(1998年12月23日の日記を参照)。「堂々と偽物をうたうケース」は,「偽ライカ」においては珍しくもなんともないのである。

とはいえ,最近,中古カメラ店では「偽ライカ」を見かけなくなった。中古カメラ店そのものが減少傾向にあるわけだが,おそらくは,「偽ライカ」の材料になった古いフェドやゾルキーがほとんど売れてしまい,あらたに「偽ライカ」が供給されなくなったのではないだろうか。そして,「偽ライカ」を買った人が,それを手放すこともないのかもしれない。たぶん,そんなに高値では売れないからだろう。
 それとも,「偽ロレックス」などと同様に,「偽ライカ」も「販売目的で所有」することが「商標法」に違反する犯罪ということになるということで,中古カメラ店が扱わなくなったのだろうか?ただ,「偽ライカ」を扱っていたカメラ店が商標法違反で摘発された,などというニュースを聞いたことはない。

フェドやゾルキーを利用した「偽ライカ」は,たしかに「ライカ」の商標を侵害しているのだが,あまりにも細工が「いいかげん」である。たとえば,この「偽ライカ」に付属してきたケースには,ベースとなった「ゾルキーS」の文字が,十分に消えずに残っている。ここまで「いいかげん」だと,きっと笑って済ませられるのかもしれない。そうだ,そういうことにしておこう。

*1 「偽ロレックス」堂々表示 販売目的所持容疑の男逮捕  (MSN産経ニュース 2012年2月15日)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120215/crm12021512170005-n1.htm


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