撮影日記


2012年01月10日(日) 天気:曇

泥棒を捕えて縄をなう
1月10日になって110フィルムをつくる

昨年も,カメラ・写真業界では大きな動きがいくつもあった。ペンタックスのカメラ関係事業がリコーに譲渡されるという大きな発表が7月1日にあったが,その直後には,富士フイルムがAPSフィルムの製造・販売を終了することを発表した(2011年7月6日の日記を参照)。オリンパスの粉飾決算も大きなニュースであったが,コダックの経営に関する不安は,もっと大きなニュースである(2011年10月3日の日記を参照)。 また,小さなニュースとして,富士フイルムではASTIAの販売を終了するなど,フィルムのラインアップの整理が,さらに進んでいる(2011年9月5日の日記を参照)。
 何度もこの「撮影日記」等で書いてきたことであるが,フィルムを使う環境は,年々,厳しくなっているのである。いや,日ごとに厳しくなっている,というべきかもしれない。メーカーさんに,引き続きフィルムを供給していただくために,ユーザとしてできることは,変わらずフィルムを使いつづけていくことである。そうはいっても,ディジタルカメラでの撮影は,目の前のランニングコストなどを気にしなくてすむので,それだけお手軽におこなえる。だから,いろいろと理由をつけて,意識的にフィルムを使うようにすることも必要だ。
 そのための1つの方策として,「○○フィルムの日」というものを勝手に制定することにした。まず考えたのは,6月4日から9日までの「中判写真週間」である(2010年6月5日の日記を参照)。さらに,4月5日,5月7日,8月10日などを「大判写真の日」とした(2010年4月1日の日記を参照)。「中判写真週間」は,中判カメラの主要なフォーマット(6×4.5,6×6,6×7,6×8,6×9)に由来し,「大判写真の日」は,大判写真の主要なフォーマットに由来するものである。なお,先に思いついたのは「中判写真週間」のほうであるが,カレンダーの関係で,先に訪れたのは「大判写真の日」(シノゴの日)のほうであった。
 さて,フィルムのフォーマットは,中判や大判だけではない。あくまでも主流は,35mm判(ライカ判)である。また,それ以外に,フィルムが供給されなくなったフォーマットもある。日付と関連付けられそうなものがないかと考えれば,まあ,いろいろとあるわけである。そんな1つが,今日,1月10日。なんの日かは,いうまでもないだろう。「110判の日」である。「110番」の間違いではない。たしかに,世間的には「110番」の日なのだが,カメラや写真を趣味にする者にとっては,今日はあくまでも「110判の日」なのである。「ひゃくとおばん」じゃないよ,「わんてんばん」だよ,なのである。

「110判」は,ポケットインスタマチックあるいは単に,ポケット判ともいう。110フィルムは,小さなカートリッジに,裏紙のついた幅16mmのフィルムが入った構造になっている。カートリッジ式のためにフィルムの装填が容易であるが,画面サイズが小さいこと(13mm×17mm),裏紙のために平面性がよくないことなどから,画質面ではかなり不利な構造である。ただし,カメラは非常に小型でだれにも扱いやすいものになる。このフィルムを使うカメラは,簡便なしくみの安価なものが中心だったが,PENTAX auto110のような,レンズ交換もできるシステム一眼レフカメラもあった。
 今日,1月10日は「110判の日」として,このような魅力的なシステムの楽しさを思い出すための日なのである。
 ところが残念なことに,2009年9月をもって,110フィルムの製造・出荷が終了している。だから,110フィルムを使うためには,自作するしかない。自作といっても,カートリッジを自作するのは,容易ではない。だから,使用済みのカートリッジは大事に保管しておかねばならない。カートリッジさえあれば,現行のフィルムを16mmの幅で切り出し,カートリッジに詰めなおして使うことができるのである(2010年2月19日の日記を参照)。

さて,1月10日に110フィルムを使いたいのだから,フィルムをつくるのは,1月9日の夜までにおこなっておくべきだ。ところが,今朝起きてからはじめて,今日が「110判の日」であることを思い出したのである。ということで,110フィルムでの撮影を楽しむための「110判の日」が,110フィルムをつくるだけに終わってしまったのであった。なお,今回は,NEOPAN 100 ACROSを詰めることにした。さて,明日以降,がんばって110フィルムで撮影をしよう。


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