撮影日記


2011年12月30日(金) 天気:晴

2011年には何を撮ってきたか

年末年始はMEPROZENIT EとMEPRO KOMINAR 55mm F2.8とで楽しもうと考えたものの,結局,今日までまだ1コマも撮影をしていない。明日までに,1コマくらいはなにか撮っておきたいものだが,やはり年末というものはそれなりに予定をあけておかなければ,ばたばたして過ぎてしまうものなのである。
 さて,今年はいったい,どんなものを撮ってきただろうか。
 例年,撮影の対象にしているものとして,春には「楠木の大雁木のサクラ」,秋には「三段峡」「筒賀神社の大イチョウ」「常清滝」がある。ただし「筒賀神社の大イチョウ」や「常清滝」には,やや足が遠のいている。
 「楠木の大雁木のサクラ」については,そのサクラだけではなく周囲の状況もあわせて撮っていきたい。じつは,対岸(東側)からはあまり撮っていないのだ。ほかでもないが,職場等が本川の西側にあるので,対岸へ行くのがたいへん遠いのである(笑)。ただし朝ならば,対岸からはちょうど順光になるわけで,すなおできれいな写真を撮ることができる(2011年04月05日の日記を参照)。

Mamiya Press Super23, Mamiya-sekor 250mm F5, E100GP

この秋は,お天気の巡り会わせがよくなく,例年,欠かさないようにしていた三段峡の紅葉を撮影することができなかった。一方,筒賀神社の大イチョウは,この秋,はじめてライトアップされた。おかげで,しばらく足が遠のいていたこのイチョウを,久しぶりにじっくり撮ることができたのである(2011年11月12日の日記を参照)。

Mamiya Universal Press, Mamiya-sekor 100mm F3.5, E100GP

ゴナナの日」や「バイテンの日」などには,昨年のような印画紙による大判写真の撮影に挑んだ。印画紙撮影については,ある程度,安定した結果が出るようになってきたと感じる。

OKUHARA CAMERA, FUJINON W 210mm F5.6, FUJIBLO WP FM2

これだけ撮っている量が少ないと,偉そうなことは言えないのだが,いちおう私のテーマには「水」というものがある。ほら,楠木の大雁木は水辺の風景だし,原爆ドームだって水辺にある。最近は足が遠のいているとはいえ,常清滝や三段峡なども,水の風景といえる。だから,ちょっとした試し撮りやお散歩のときだって,「水」に関係するものを撮りたくなるのだ。

ROLLEIFLEX automat, Tessar 7.5cm F3.5, NEOPAN 100 ACROS
FUJI FP-UL, FUJINON 120mm F8, NEOPAN 100 ACROS

しかしながら結果として,今年もあまりフィルムを消費できていない。今年は仕事が少々忙しかったというのもあるが,それにしても消費が少ない。とくに,秋の紅葉を十分に撮影できなかったのは,個人的には大きな問題だ。
 こんなことでは,いけないのだ。フィルムをちゃんと消費し,写真撮影を,カメラ操作を楽しまなければならないのである。この秋には,コダックが破産の危機にあるのではないか?という報道があった(2011年10月03日の日記を参照)。減少するフィルムの需要を支えるために,1人1人のユーザによる消費も大きな役割をはたすはずである。

フィルムをとりまく状況は,年々,厳しくなっているようだ。
 たとえば,2011年1月19日の日記に書いた通り,いつもお世話になっているラボ「シグマ広島」から「リバーサルフィルムの現像処理を終了」する旨の連絡があったことからはじまった。そう,このラボでは,つい1年前まで,リバーサルフィルムの現像処理がおこなわれていたのである。それがもう,遠い昔のできごとのようにさえ,思えてしまう。
 5月には,広島市内にあった「ビックカメラ」が撤退した。そのせいか今年になってから,ヨドバシカメラの通信販売を利用することが増えたものである(梅田のヨドバシカメラは,もう何年も前から利用しているわけだが)。
 「カメラのキタムラ」の店頭にあった,フィルムの冷蔵ケースが姿を消したのも,今年のことだった(2011年07月19日の日記を参照)。「カメラのサエダ」や「カメラのキタムラ」のお店はまだたくさんあるものの,どこもフィルムの在庫はあまり期待できる状況ではない。もちろん,多少は店頭在庫があるし,注文すれば問題ないわけだが,もう広島市内の店頭でフィルムを購入することはないかもしれない。

7月6日には,富士フイルムから「APSフィルム販売終了」のアナウンスがあった。コダックはすでに,APSフィルムの販売を終了しており,これでまた1つ,フォーマットが消えていくことになる。そのコダックについては,9月末ころに「破産の準備をしている」という噂が流れていた(2011年10月03日の日記を参照)。
 「○○がなくなる」ということになれば,最後のそれを楽しもうと,多くの人が注目することがある。たとえば「寝台特急が廃止になる」となれば,1ヶ月前に寝台券が発売されると同時に,完売するような現象が起こる(2009年02月13日の日記を参照)。「110フィルムがなくなる」「コダクロームがなくなる」というときには,最後の110フィルムやコダクロームを買い求める人の動きが目立ったように思う。しかしながら,このAPSフィルムに関しては,そういう動きがあるようには感じられない。110フィルムやコダクロームとは違って,APSというシステムには「趣味性」が薄かったということだろうか。

年のおわりに,なんとも暗い話になってしまったが,まだフィルムが完全になくなったわけではない。まだまだ,それなりの大きな市場が残っているのである。そして,フィルムを使うカメラは,乱暴に扱わないかぎり,まだまだずっと動いてくれる。フィルムの将来を勝手に悲観し,使うのをやめるのは,個人の自由だ。だが,フィルムを使って写真を撮ることは,まだまだ続けられるのである。かつてフィルムで写真を撮っていた人は,はじめて現像のしあがりを待つときのドキドキ感,ワクワク感をもう一度,思いだしてみるのはどうだろうか。パーソナルコンピュータのディスプレイで見る画像と,ライトボックスにかざしたポジフィルムの画像とは,どちらがより,感動的だっただろうか。また,ディジタルカメラから写真に興味をもち,フィルムによる撮影を経験したことのない人は,この機会にポジフィルムの画像を見てみるのはどうだろうか。
 写真は,おもしろいのである。機材にも,手法にも,いろいろなものがある。いろいろと体験してみることは,決して悪いことではないと思う。


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