撮影日記


2011年11月04日(金) 天気:晴

見本があれば直しやすい
カメラもトイレも同じこと

機械というものは,残念ながら,必ず故障する。ただ,「壊れにくい」「壊れて一部の機能を失っても本質的な部分はなんとか使える」そして「直しやすい」機械は,間違いなく「よい機械」だと思う。逆に,「よく壊れる」「些細なトラブルが本質的な機能の停止につながる」「直しにくい」機械には,よい印象をもつことはないだろう。ましてや,保証期間が切れると壊れるような機械は……(笑)。
 「壊れにくい」とされるカメラは,やはりニコン様である。とくに,機械制御式のFやF2というカメラは,頑丈であるとの定評がある。F3以降の電子制御式のカメラには,そこまで絶対的な「壊れない」というイメージはないようだが,それでも長く使えるというイメージを持たれているのは間違いない。また,F3では,電池が切れても「緊急作動レバーで1/60秒のシャッターが使える」という機能がある。これは,「壊れて一部の機能を失っても本質的な部分はなんとか使える」の例といえるだろう。電池切れだけでなく,電子回路にダメージを受けてカメラが故障してしまっても,最低限,なにかを写すことができるカメラとしての本質的な機能がなんとか維持されるのである。
 「直しやすい」機械は,人によっていろいろと基準に違いがあるとは思う。たとえば,長期間にわたってアフターサポートを受けつけてもらえることを「直しやすい」ことの条件にあげる人があるだろう。分解や組み立てのしやすさを重視する人もあるに相違ない。
 ただ,どんなに「直しやすい」設計がされた機械であっても,正しい組み立て方などを知らなければ,やはり難しいことになる。とくに,はじめて出会った機械が故障していた場合,正しい状態がわからなければ,どこから手をつけていいかわからないこともあるだろう。そんなときは正常な同じ機械を「見本」として用意できれば,大いに参考になる。

突然,1階のトイレの水が出なくなった。
 トイレの水を流すと,タンクの上に設けられた口から水が出て,そこで手を洗えると同時に,タンクに水がたまるようになっている。この水が,出てこないのである。
 さて,どこにトラブルが発生したのだろうか?
 とりあえず水を流せたということは,少なくともその直前までは,水はちゃんと供給されていたことになる。耳を澄ましてみると,タンクのなかで水が流れるような音はしている。水の元栓を操作すると音が止まるので,タンクへの水はなんとか供給されているようだ。
 まず,タンクのふたをあけてみた。
 き,きたない(笑)。何年分かの水あかがたまっている(笑)。
 この種のトイレは,水を流してタンクの水が減ると,「浮き」が下がる。それによって栓が開き,タンクに水が供給される。水がたまると「浮き」が浮かびあがり,その動きによって栓を閉じるようになっている。まず,「浮き」の動きに異常が発生したことが考えらる。水を入れたり出したりして「浮き」の動きを確認するが,とくに問題は感じられない。この状態で,水の元栓をおそるおそる操作する。一歩間違えれば,どこかから水が噴き出して,トイレ中が水浸しだ。水の元栓を開いたところ,「浮き」が閉じるはずの栓のまわりから,水がしゅわーと漏れている。とすると,あやしいのはこのあたりか。

ここで,正常なタンクはどのような状態かを知っておく必要がある。こんなとき,トイレが2つあると便利だ。2階のトイレも,タンクは同じ機種である。くらべてみれば,1階のトイレのタンクで,「浮き」などが破損していたり,はずれていたりしていることはなさそうである。
 となると,疑うべきは,「浮き」が閉じる栓の部分にあるパッキンの劣化であろう。

このパッキンは,通信販売でも売られているようである。メーカーさんのオンラインショップでは送料が必要になるのだが,たまたま見つけた千葉県の業者さんが「送料無料」とのことで,トータルでもっとも安く思われたため,そこに発注。そして,届いた部品をさっそく取りつけることにした。

まず,「浮き」をはずす。

ついで,この部分をはずす。

送られてきたパッキンと交換すれば,修理は完了。

元通りに組み立てて,水の元栓を開けば,ちゃんと口から水が出てきて,手を洗えるようになった。タンクに水がたまると,ちゃんと水が止まる。そしてレバーを引けば勢いよく水が流れ,そして,口から水が供給される。このトイレで,このようなトラブルが起こったのは,はじめてである。水まわりのゴムパッキンという,非常に厳しい条件で使われる部品にもかかわらず,これまで何年も耐えてくれていたのは「壊れにくい」よい機械だったということかもしれない。そして,手洗い用の水こそ出てこず,内部での水漏れという異常な状態ではあるが,タンクにはちゃんと水がたまり,たまれば止まるようにはなっていた。「壊れて一部の機能を失っても本質的な部分はなんとか使える」状態だったわけである。そして,部品が簡単に交換できたことは,「直しやすい」機械でもあったということである。結論。TOTOのこのトイレは,よい機械である。
 ともあれ,部品交換で済むようなトラブルなら,部品代だけの費用で,自分で十分に対応できるということだ。もしかすると,近所のホームセンターで部品を取り寄せれば,もっと安く抑えられたかもしれない。でも今回は,部品が送られてきた封筒に,いろいろな古い記念切手が貼られていたので,「よし」ということにしよう。送料無料の秘密は,普通郵便での発送ということだったようだ。


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