撮影日記


2011年08月24日(水) 天気:晴

残念!露出計が弱っている
初代リコーオートハーフ

唐突に,1台のカメラをいただいた。黒いケースに入った,ごくごく小さなものである。一目見て,これはリコーオートハーフではないかと感じた。なぜなら,このカメラは幅がごく狭いものである。それでいて,幅の割には背の高いカメラに見える。幅が狭いことは,このカメラがハーフサイズであることをあらわしており,幅の割に背が高いのは,巻き上げのためのゼンマイのノブが飛び出しているリコーオートハーフ特有のものだからである。

これがリコーオートハーフであろうという見当はつけたのだが,このままではモデル名がわからない。また,リコーオートハーフであることが確認されたわけではない。だから思い切って,ケースを開いてみることにする。

あらわれたものは,紛れもないリコーオートハーフである。しかも,初代リコーオートハーフだ。
 見た目は,使いこまれているものの,まあきれいである。さっそく,巻き戻しクランクを回してみる。すぐにシャッターなどの動作を確認したいところだが,リコーオートハーフの動作を確認するには,裏蓋を開かねばならないのである。シャッターの動作を確認するには,まず,シャッターをチャージしなければならない。リコーオートハーフの時代には,巻き上げとシャッターのチャージとの連動は,もう当たり前である。巻き上げをおこなえば,シャッターがチャージされるわけだが,リコーオートハーフには巻き上げレバーがない。ゼンマイによる自動巻き上げが,リコーオートハーフのアイデンティティなのである。だからといって,底面にあるゼンマイを巻き上げるノブを回しても,空回りするだけである。フィルムを送るスプロケットのギアを動かして巻き止めをロックしてやらねば,巻き上げのチャージができないのである。だから,すぐに裏蓋を開きたいところであるが,これは「いただきもの」である。前の持ち主が使いかけているフィルムが,なかに入っているかもしれない。だからまず,巻き戻しクランクを回して,フィルムが残っていないかどうかを確認しなければならないのである。
 巻き戻しクランクには,手ごたえがなかった。これで安心して,裏蓋を開けることができる。初代リコーオートハーフの裏蓋は,蝶番式になっておらず,全体がすっぽりとはずれるようになっている。

スプロケットのギアを止まるところまで動かし,ゼンマイを巻き上げる。そして,裏蓋を閉めて,シャッターレリーズボタンを押す。チッ,ジャーーーーという音がして,シャッターも巻き上げも動作することが確認できた。
 次は,露出計の確認だ。
 リコーオートハーフには,セレン光電池を用いた露出計が内蔵されており,自動的に絞りを調整する自動露出(EE)機構が組みこまれている。電池を必要とせず,自動巻き上げ,自動露出が実現されているのだ。さらにピントは2.5mの位置に固定されているので,日中,ある程度絞りこまれる状況ならば,手前から遠景までほぼピントがあうようになっている。リコーオートーハーフは,シャッターレリーズボタンを押すだけでそこそこちゃんと写る,フルオートカメラなのである。

ところが,そのEE機構がはたらいていない。暗いほうへ向けたときはもちろん,明るいほうへ向けたときでも,絞りが絞りこまれない。セレン光電池が弱っているのだろうか,それとも,露出計のコードが断線しているのであろうか。あるいは,露出計の指針や絞りの動作などが粘っていたり,ひっかかっていたりするのであろうか。
 それを確認するには,本体を開いてなかを見る必要がある。

リコーオートハーフの周囲を見回しても,ネジが1本しか見当たらない。いくらなんでも1本だけで止められているとは思えない。こういうときは,どこかに隠されているものである。よくあるところとして,巻き戻しクランクの下を見るが,そこにネジはない。そのネジのほか,裏蓋のロックレバー,三脚穴周囲のリング,フラッシュ接点とをはずし,さらにシャッターレリーズボタンをはずしてその下に隠れている1本のネジをはずせば,本体を開いてなかを観察できるのだった。
 そして観察した結果であるが,明るさに応じて露出計の針は動いているものの,その動きが弱いのである。セレン光電池の劣化が原因であれば,ちょっと困難なことになりそうだ。今日のところは,ここまでにしておこう。


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