撮影日記


2010年08月09日(月) 天気:はれ

密着プリント

せっかく写真を撮ったなら,多くの人に見てもらいたい。ルーペで観察するポジフィルムの像は,たしかに美しいが,それでは見てもらいにくいだろう。また,大きくプリントして見ることで,はじめて見えてくるものもあるはずだ。
 ネガフィルムからプリントをつくるときには,引き伸ばし機を使う。小さなネガでも,細心の注意を払って大きなプリントにうまく引き伸ばせたら,その感動は大きい。ただ,原版が大きいほど引き伸ばしのときの拡大率が小さくてすむ。それだけ,大きなプリントをつくりやすくなる。いま,私の手もとにある引き伸ばし機は,たいへん小型で場所をとらないのはありがたいのだが,6×6判までしか対応していない。4×5判で撮ったとしても,そこから引き伸ばすことができないのでは,魅力も激減するというものだ。
 だが,4×5判というのは,一般的なL判プリントよりも,すでに十分に大きいのである。無理に引き伸ばさなくても,印画紙と密着させて焼いても,それなりのプリントになってしまうのである。カタログなどを見れば,4×5判くらいなら製品があるようだが,8×10判や11×14判になると,対応する引き伸ばし機はあるのだろうか?あったとしても,一般家庭ではもてあますような,巨大なものになっているだろうことは十分に想像できる。8×10判くらいになれば,密着焼きでも十分な大きさのプリントになるから,無理には必要ないかもしれない。ただし,トリミングや覆い焼きなどの技法が使えなくなるのは,自分でプリントすることの魅力を激減させてしまう。
 引き伸ばし機が使えないようなサイズの原版をプリントするには,イメージスキャナでディジタル化してプリンタから出力するのが,もっとも適当なのかもしれない。

8月7日に四切1/2で撮った原版(2010年8月7日の日記を参照)も,引き伸ばし機で大きくプリントすることはできない。陽画を得るために,密着焼きをすることになる。
 密着焼きは,そのことばどおり,印画紙の乳剤面と原版の乳剤面とを密着させ。原版の側から光をあててやればよいのである。ポイントは,いかにうまく密着させるかということに尽きるだろう。イーゼルマスクに印画紙を置き,その上に原版を重ね,それを無反射ガラスで均一に押さえる。それでも紙が少し浮いてしまったのだろうか,一部がボケてしまっている。

うまく抑えられたと思っていても,この有様だ。どうすればよいのだろうか。
 1つには,とにかく慎重に,印画紙と原版とを密着させ,均一に抑えるよう努力することだろうか。そもそも,なぜうまく密着させられないのか。考えられるのは,湿り気があるために,紙が波打ってしまうことだ。いまは,夏。まだまだ,暑い日が続く。夜になっても,なかなか涼しくならない。そんな日に,狭い暗室で作業をすると,あっというまに蒸風呂状態になる。そんな環境では,紙が波打つのもしかたないのではないだろうか。
 これが原因だとすれば,暗室にエアコンをつけることで解決する可能性がある。ただ,エアコンは,安いものでも4.5畳用ということになっている。2畳分くらいしかない狭い空間に,そんなエアコンを取りつけるのは,いかにももったいない。また,まだエアコンを取りつけていない居室が残っているのに,暗室だけぜいたくをするわけにはいかぬ。
 とりあえず湿り気を取るなら,除湿機能付き冷風機を使うのはどうだろうか。ただしこれは,冷風や除湿機能を使うと,猛烈に熱を発生する。その熱を逃がすためのダクトがあるのだが,締めきった暗室からそのダクトを外へ出すには,ドアか壁に大穴を開けねばならぬ。
 そうだ。そもそも,暗室に換気扇をまだつけていないのが大問題なのだ。だが,換気扇をつける工事をしてもらうなら,特売のエアコンを買ってもあまり金額が違わないのではないか,という心の迷いもある。
 とりあえず,密着焼きの続きは,涼しくなってからすることにしようと思うのであった。


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