撮影日記


2010年07月17日(土) 天気:はれ

「ワルツ35」の謎

今日も,アマチュアショップ「マルシンカメラ」を覗く時間をとることができた。最近,「マルシンカメラ」を覗くのは,昭和20年代から30年代にかけての国産カメラを安価に入手できないかと期待してのことである。先日,Pigeon 35を入手しそこなったのが原因というわけではないだろうが(2010年6月19日の日記を参照),少なくとも目的が明確になったのかもしれない。
 ただ,Pigeon 35そのものに対しては,いまのところ後悔の念はない。
 昭和20年代から30年代にかけて流通したカメラのブランドのなかには,いまはもう名前を聞くことができないものも少なくない。先日,救出した「ペトリ」もそんなブランドの1つだ(2010年7月3日の日記を参照)。消えてしまったブランドのカメラで,まだ入手していないものはたくさんある。たとえば,「アイレス」,「タロン」。そして,「マルシンカメラ」では,それらのカメラがいつもジャンクコーナーで救出を待っている。ただ,私の手には負えないような重症なものだったり,負担に感じる価格が設定されていたりするので,なかなか救出の機会がない。
 ほかには「ビューティー」というブランドのカメラも,「マルシンカメラ」ではよく見かける。やはり,救出できそうな状況のものではないことが多い。また,35mm判の「ビューティー」は入手していないが,二眼レフの「ビューティフレックス」は入手しているため,私のなかでの優先順位が低いという事情もある。

国産の「消えたブランド」のカメラは,数が多いので楽に救出できそうで,なかなか難しいという状況である。もちろん,価格を気にしないのであれば,さほど難易度は高くないのであろうが。
 さて,ここしばらく足しげく通うことになったせいか(といっても,2週間ごとの訪問なのだが),今日は少しよい出会いがあった。

フィルタなどの写真用品で有名だった「ワルツ」ブランドのカメラである。
 カメラには「Walz 35」と書いてある。さて,これがいつごろの製品で,具体的にどういう名称のカメラだったのかが気になるところだ。さっそく,手もとにある古い雑誌等をめくってみることにした。
 ところが,これがわからないのである。
 日本カメラショーの「カメラ総合カタログ」は,1960年からの発行だ。その第1号(vol.1)に見られるワルツのカメラは,ずっと近代化された「ワルツ エンボイ」(M1.9とM2.8)というモデルである。ということは「ワルツ35」は,もうちょっと前の製品ということになる。1950年代の「アサヒカメラ年鑑」「アサヒカメラ」「サンケイカメラ」が何冊かあるので,それを参照してみるが,やはり「ワルツ35」は載っていない。「ワルツ35」が発売されたと思われる年代の雑誌において,ワルツの広告の内容はフィルタなどの写真用品ばかりである。カメラの宣伝は,やはり「ワルツ エンボイ」の時代にならなければ,積極的に出てこないようなのだ。不思議と,「ワルツ35」以前の「ワゴーフレックス」などは広告に掲載されていたりするのだが。

ということで頼りにするのが,「カメラレビュー別冊 クラシックカメラ専科3」(朝日ソノラマ,1983年)である。テーマは「戦後国産カメラのあゆみ」であり,昭和20年代から40年代はじめころにかけての各社のカメラが,種類ごとにわけて紹介されているのである。これを参照すれば,「ワルツ35」は1956年の発売であるとのこと。ワルツとしてははじめての,35mm判カメラだという。
 1956年発売ということがわかったので,手もとにあるそれに近い年代の雑誌をあらためてめくってみるのだが,やはり「ワルツ35」に関する広告や記事などを見つけることはできなかったのであった。
 さて,入手した「ワルツ35」だが,シャッターはなんとか動いているものの,レンズ内部に汚れがある(油が出ている?)。いずれ時間がとれるときに,清掃しなければ。


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