撮影日記


2010年02月18日(木) 天気:曇ときどき晴

自分で110フィルムを現像するには

2010年2月6日の日記で,キヤノン「110ED」が気になりながらも救出しなかったことを書いた。キヤノン「110ED」は,110カメラとしては貴重な,二重像合致式距離計を内蔵したファインダーをもつ,いわゆるレンジファインダーカメラである。そのような貴重なカメラでありながら,ジャンクコーナーに寂しく放置されるような扱いを受けるのは,もはや110フィルムの入手が困難になってしまったこと(2008年6月9日の日記を参照)が,大きな要因であろう。
 フィルムが供給されなくなってしまえば,カメラはただのオブジェにしかならない。フィルムの買い置きもある程度は可能だが,フィルムには使用期限というものがある。言わば「生もの」なのだ。お早めにお召し上がりにならねばならぬ。写真フィルムとは,そういう製品なのである。冷蔵庫あるいは冷凍庫を利用すれば,かなりの長期保管も可能になるが,問題はそれだけではない。現像処理をしてもらえなくなる可能性もあるのだ。実際,コダックが126カートリッジフィルムやディスクフィルムの生産を終了するときには,「フィルムの使用期限後は,現像処理の受けつけも終了する」というアナウンスをしていた。

同じように考えれば,いずれ110フィルムも現像を受けつけてもらえなくなる可能性があるということだ。いまのうちに,自分で現像できるようにしておかねばならない。コダクロームのように,現像処理そのものが特殊なのではなく,サイズが特殊なだけだから,適当な大きさの現像タンクやリールがあれば,自分で現像ができるはずなのだ。
 ところが残念なことに,私は110フィルムを現像するための現像リールをもっていない。そこで,針金を曲げて,現像リールの代用品をつくることができないかと考えたのが,去年のこと(2009年7月20日の日記を参照)。このときは,曲げた針金がどうしてもフィルムに当たって現像にムラが生じてしまい,失敗に終わった。その後,中古カメラ店などを注意深く覗いてみるが,110フィルムの現像に使えそうな現像リールなどは,なかなか見つからない。
 ところが,電池を買うためにダイソーに立ち寄ったとき,「配線カバー」というものが目にとまった。幅21mmの「Lサイズ」の内側を測ってみれば,その幅は約17mm。このすきまに,ちょうど110フィルムを固定することができそうだ。現像リールの代用品として使えるかもしれない,と閃いたのである。

さっそく購入。適当に穴を開けておけば,フィルムが固定できて,現像液も十分に回りこんでくれるというものだ。

110フィルムの長さは,80cm弱。そこで配線カバーを約80cmに切断して,使うことにする。このように細長い状態では,ふだん使っている小型のタンクに入るはずがない。そこで,内側の直径25mm,長さ1mの塩ビ管(水道管)を現像タンクとして使うことにする。ホームセンターに行けば,両端の蓋をあわせても300〜400円くらいあれば買えるだろう。半径1.25cm,長さ100cmだから,なかに入る液の量は最大で,
 1.25×1.25×3.14×100=490.625 (cc)
となる。およそ500mlというのは,ナニワカラーキットNの処理液の量と同じなので,なにかと好都合だ(笑)。なお,処理する際にはさきほどの穴をあけた配線カバーが入るので,実際に必要な液の量は,およそ450mlとなる。
 なお,配線カバーは,床や壁に固定して使うものである。したがって,その底にはべったりと,両面テープが貼られている。本来の目的で使用するならば,これはたいへんありがたいサービスであるが,処理液に浸して使うことになるのだから,すべて剥がしておかねばならない。これは,意外と面倒な作業であった。気をつけるべし。

ともあれ,これで110フィルムを現像する準備ができた。次は,処理するための撮影済みのフィルムをつくらなければ。


← 前のページ もくじ 次のページ →