撮影日記


2009年09月13日(日) 天気:晴ときどき曇

棚田は収穫の秋

「実るほど 頭を垂れる 稲穂かな」という有名な一文がある。ほんとうに偉い人ほど謙虚である,ということをあらわしているものだ。そういえば,前に読んだことがある「頭がいい人、悪い人の話し方」(樋口裕一 著,PHP新書,2004年) では,「知ったかぶり」「説教癖」「他人の権威を笠に着る」「自分のことしか話さない」などを,「頭が悪く見える」「人望が得られない」話し方の例として指摘している。これらはちょうど,「実るほど……」の逆をあらわしているようにも思われる。
 おっと,今日はこんなことを書きたいのではない(笑)。こんなことを偉そうに書くことは,まさに「知ったかぶり」「説教癖」「他人の権威を笠に着る」ことをおこなっているにほかならぬ。「頭が悪い人」に見えないように,こういうことはなるべくさけるようにしよう。もっとも「自分のことしか話さない」ことは,やめられぬ。なにせここは個人の日記なのだから,こればかりは仕方あるまいて。

プランターの稲穂(2009年8月30日の日記を参照)も頭を垂れるようになってきた。
 今日は天気もよいので,久しぶりに「井仁の棚田」を撮影しに行くことにした。棚田は,まさに収穫期を迎えたばかりという様相で,一面が黄金色に輝いている。
 ごく一部の田はすでに刈り取られている。高いところから望遠レンズを覗いてみれば,すっかり重くなった稲穂を前に,なにかを話し合っているようすが見える。このあたりも順次,刈り取りをおこなうのであろう。

Mamiya Universal Press, Mamiya-sekor 250mm F5, E100VS

ちなみに最近,Mamiya-sekor 250mm F5用のフードをいただいた。バーンドア式の立派なものである。実際に取りつけてみると,なかなかに存在感がある。ほんとうにいいものをいただいた。厚く御礼申しあげたい。

今日はなによりもこのフードを使ってみたかったので,Mamiya-sekor 250mm F5で撮ることをまず考えたのであった(笑)。

Mamiya Universal Press, Mamiya-sekor 75mm F5.6, E100VS

高いところからみおろすような写真ばかりでもつまらないので,広角レンズにつけかえて石垣に近づき,頭を垂れる稲穂を見上げるような位置で撮ることにした。
 このとき,年配のご夫婦から話しかけられた。ご主人は,ディジタル一眼レフカメラをもっておられる。ほかにも,一眼レフカメラをもった人の姿を多く見かける。カメラの背面を見ている人がとても多いので,やはりディジタルカメラが主流なのだろう。
 今日の訪問者が多いのは,ちょうど先週の新聞でこの場所が紹介されていたせいがあるかもしれない。話しかけてきたご夫婦は,その記事で「井仁の棚田」をはじめて知って訪れ,どこをどう撮ろうか迷われていたようす。たしかに,展望台から撮るだけでは,すぐに飽きてしまうはず。それで,ほかの人の写し方を参考にして,変化をつけようと考えたのだろう。

Mamiya Universal Press, Mamiya-sekor 250mm F5, E100VS

ふたたび望遠レンズにつけかえる。手前の稲穂にピントをあわせれば,向こうに見える稲穂の黄,あぜ道にはえた草の緑,そして石垣の青みがかったグレーが美しい縞模様を描いてくれる。
 稲穂の上には,多数のアカトンボが飛び交っている。ピントグラスとフィルムホルダをつけかえながらの撮影なので,アカトンボにピントをあわせて写しとめることはさすがに無理だ(笑)。一眼レフカメラを使えば,多少は写しとめられる可能性が高まるとは思うが,3次元の空間を自由自在に移動するアカトンボを写しとめるのは,容易なことではないだろう。

Mamiya Universal Press, Mamiya-sekor 250mm F5, EPP

やがて。
 どこからともなく,エンジンの響きが聞こえてくる。刈り取り作業がはじまったようだ。刈り取りをおこなっている田を見おろせる場所に移動。ここでも,望遠レンズが活躍することになる。
 先ほどと同様に,ピントグラスとフィルムホルダをつけかえながらの撮影である。稲刈り機は,意外と速く動くのだが,外側から内側へ向かってらせんを描くように刈り取っていくので,稲刈り機が通る場所は容易に推測できるのである。つまり,稲刈り機がもうすぐ来ると思われる場所にピントをあわせておき,稲刈り機がそこを通ったときにシャッターを切ればよい。要するに,「置きピン」。私は「鉄」ではないが,たまに電車を撮ることがある。「置きピン」は,電車を撮るのと同じ要領だ。ということは,「流し撮り」を試すのもおもしろかったかもしれない。マミヤプレスでは難しいが(^^;

Mamiya Universal Press, Mamiya-sekor 250mm F5, EPP

今日は,写真を撮りに来ている人が多かった。その多くは,ディジタル一眼レフカメラだと思われる。しかし,フィルムを使っている人だって,まだまだたくさんいるのである。「このカメラはなんですか?」と尋ねてきた方は,PENTAX 67をお使いのようだ。

「マミヤプレスです。」
 「ああ,マミヤね。大きく伸ばすなら,これくらいは使いたいよねえ。」

まったく同感。しかし,中判カメラのよさを認めておられるなら,マミヤプレスというカメラの存在くらいは知っておいてほしい,と思ったものである(笑)。

フォトギャラリー「井仁の棚田」


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