撮影日記


2009年09月01日(火) 天気:晴

まもなく名月の秋(2)

昨日の日記のつづき。

ビクセンの8cm屈折望遠鏡とソニーのコンパクトディジタルカメラDSC-P2を使ったコリメート撮影によって,月面の画像が呆れるほど簡単に得られることがわかった。
 そうなると,直焦点撮影や拡大撮影も試してみたくなるものである。

望遠鏡のドローチューブからK30mmの接眼レンズをはずし,カメラ用のアタッチメントにつけかえた。このアタッチメントは,M42マウント用のものである。手もとにあるM42マウントのカメラのうち,ちょうどVivitar XC-3にフィルムがはいっていた。Vivitarブランドであるが,1970年代のコシナ製である。好都合にも,高感度モノクロフィルムILFORD XP2superである。実は5月に装填したまま,使っていなかったものである(笑)。この際,使いきってしまいたい。
 ところが,足もとに置いておいたカメラを,軽く蹴ってしまった。ベランダが狭いので,しかたない。蹴ったといっても,カメラが移動してしまうようなものではない。その場でコケた程度である。その程度であるが,なぜが裏蓋がパカっと開いてしまった(笑)。撮影前でよかったが,コシナ製の普及型カメラには,やはりなんらかの妥協が含まれているということだろうか?
 さて,月を視野内に入れて直焦点撮影を試みるが,今ひとつファインダーがよく見えない。Vivitar XC-3はTTL露出計が内蔵されているのが特徴であるが,被写体の明るさが十分でないのか,露出計がうまく反応しない。もちろん,Vivitar XC-3の最大の特徴であるAE装置(2003年5月19日の日記を参照)も意味をなさない。

そうだ,こういうときこそディジタル一眼レフカメラを使おう。ニコンD70でも,ISO1600相当の撮影が可能である。
 ところが,ニコンD70のレンズマウントは,言うまでもなく「伝統のニコンFマウント」である。M42マウントのカメラアタッチメントは使えない。そんなときに思い出したのが,TAISEI ROKUNAR 55-90mm F4(2003年3月14日の日記を参照)の存在である。タムロンの初期のズームレンズであるこの製品は,Tマウントとよばれるねじ込み式の交換マウントになっている。しかもこのレンズを入手したときに附属していたマウントが,たまたまニコンF用だった。
 Tマウントは,M42マウントと同じ口径42mmであるが,ネジのピッチが異なっている。それでも無理をすれば,なんとか取りつけることができた。

望遠鏡を月面に向けて,撮影開始。
 ニコンD70は,CPU内蔵タイプではないレンズを使うときには,露出計が使えない。そこで,露出は「試行錯誤」で決めることになる。感度設定やシャッター速度を適当に決めて,まず1枚。LCDにピクトグラムを表示させて,露光を増やすか減らすかを判断。これを繰り返し,追いこんで露出を決めればよい。
 望遠鏡を通してみる場合,天体はそうとうな速さで移動する。だから,露光時間は短いほどよい。したがって,感度を高く設定し,できるだけ速いシャッター速度を使うことになる。

Vixen 8cm (1200m, F15), Nikon D70 (ISO800, 1/100sec)

ニコンD70には,残念ながらミラーアップ機構がない。そのため,セルフタイマーを利用して,シャッターレリーズをおこなった。セルフタイマーで待機中に,望遠鏡の揺れもほぼおさまる。そのかわり,その時間に月はかなり移動してしまうのだ。その移動量を見こんで,シャッターレリーズをおこなうことになった。
 K30mm接眼レンズを使っての拡大撮影は,これがさらに難しくなる。なにせ,月の大きさが,ほぼ視野いっぱいになってしまうのだ。

Vixen 8cm (1200m, F15), Nikon D70 (ISO1600, 1/30sec)

天気がよく,時間にゆとりのある晩があれば,またこういう撮影を試してみよう。


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