撮影日記


2009年08月30日(日) 天気:曇

まもなく実りの秋

今年,5月から6月にかけて,あまり雨が降らなかった。そのため,「水不足」が心配されたものである。広島市の水源となるダムも貯水率がかなり下がっていて,最後の大規模ダム事業と言われていたらしい温井ダムがなければ,給水制限も考えられる状況になっていたようだ。
 あの種の公共事業に関しては,賛否両論あろう。たとえば,地方に大規模な消費をもたらすという点で,「富の再配分」が機能しているという肯定的な評価があるようだ。もちろん,治水面で一定の機能をはたすことは間違いない。否定的な評価としては,もたらされる効果のわりに,かかる費用が大きすぎるという立場のものが見られる。また,そこにあった自然を破壊するという意見もある。
 まあ,こういうことの評論等は,それぞれの専門家の方におまかせして,ここでは言及しないことにする。

ところが6月末ころから,雨が多く降り始めた。単に,雨の日が多いというだけではない。降ると,大雨になる傾向が感じられたのである。貯水率はみるみる回復し,一方で各地に水害も見られたものである。
 雨は,本来なら梅雨明けとされる時期を過ぎてもよく降った。7月22日の日食の前後も全国的に雨模様となり,ぶ厚い雨雲のために日食を観察できなかった地域も少なくなかったようである(2009年7月22日の日記なども参照)。
 その結果,今年の米の収穫は,例年よりも少なくなるのではないかと懸念されている。

今年,はじめて「稲」というものを植えてみた。
 種を蒔くところからはじめたわけではない。たまたま,ご近所さんに苗をいただいたものである。つまり,「田植え」からはじめたということになる。
 もちろん私は,広い農地を所有しているわけはなく,また,借りているわけでもない。
 今回の「田んぼ」は,60cmプランター2本である(笑)。

苗をいただいたものの,どのように植えればよいのか,さっぱり見当がつかない(笑)。ともあれ水のたまった「田んぼ」をつくらねばならないだろうと考えて,60cmのプランターを買ってきたのである。
 プランターには,2つの種類があるように思う。1つは,底面全体に穴があいていて,水はけがよくできているもの。もう1つは,側面に1つ穴があいているものである。今回は,水をためたいので,側面に1つ穴があいているタイプのものを買ってきた。といっても,特別なものではなく,ごく一般的なもの。近所のホームセンターで200円くらいで売られているものである。
 この種のプランターの底には,水はけのために,脚のついた網が敷かれている。その一端に,穴の栓がつけられており,プラモデルのパーツを切り取るようにその栓をちぎり取って使うようになっている。いや,取扱説明書があるわけではないので,これが正しい使い方かどうかはわからない。

土はどのようなものがよいのか,これまた見当がつかない。だからすなおに,鉢底石を敷いた上に赤玉土を敷き,油かすを置いて元肥とし,さらに「野菜の土」などとして売られているブレンド土を入れることにした。ちょっといかにも土っぽくしようと,さらに最上部に腐葉土を敷くようにした。
 ただ,この腐葉土は余計だったかもしれない。これがあとで,面倒を引き起こす。

土を入れて水をためれば,いちおう「田んぼ」の形になった。あとはおよそ10cm間隔で田植えである。ここで懸念されることは,この「田んぼ」でボウフラなどが発生しないか,ということである。1週間ほどして覗いてみると,案の定,ボウフラの姿が認められる。これは,マズイ(^^;
 そこで天気がよい日の朝,プランターの栓を抜いて排水し,日中は土を干すことにした。さすがに日干し作戦は成功したのか,ボウフラの姿は消えた。しかし数日経つと,ふたたび姿を見せるようになる。どうやら当分は,これを繰り返す必要がありそうだ。また日干し作戦の実行である。プランターの栓を抜いて排水すると……とても「どぶ」臭いのである(笑)。腐葉土がほどよく腐食してくれたのか,プランターの底にたまった水が,かなり富栄養化しているのだろう。ボウフラだけでなく,イトミミズの姿すら見える。土を干すだけでなく,水の入れ替えも必要になったようだ。プランターにメダカや金魚を放して,イトミミズやボウフラを食わせることも試そうかと思った。

そんなころから,大雨が続くようになった。
 日干し作戦を実行するため朝に水を抜くわけだが,午後から夜にかけて大雨が降れば,翌朝にはプランターから水があふれている次第である。
 これでは,メダカや金魚は放せない。逃げ出して,死んでしまうだけであろう。
 ただ,つねに新しい水が供給されるせいか,ボウフラは目立たなくなってきた。

梅雨が明けたかどうかはっきりせぬまま,そうこうするうちに,お盆が明けた。
 数日前,ようやく,稲穂が姿を見せてきた。もう,安心して水を抜いてしまってもいいだろう。収穫が楽しみである。しかし,刈り入れや精米は,どのようにすればいいのだろう?また,いったいどれだけのお米が収穫できるというのだろう?
 そして。
 ここしばらくご無沙汰している棚田の風景を,久しぶりに撮りに行きたくなってきた。この秋には,なんとか時間をつくってみようかな……。


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