撮影日記


2009年07月22日(水) 天気:くもり時々はれ

「てるてるぼうず」のおかげです

今日。日本国内で皆既日食が見られるのは,46年ぶりとのことである。
 日食は,地球から見て,月が太陽をちょうど隠す現象である。つまり,新月のときに起こるものであるが,新月のときに地球と月と太陽が,つねに一直線上に存在するとは限らない。それでも毎年2回は,地球上のどこかで日食が起こっている。
 日食が起こっているときの地球を宇宙空間から眺めると,地球上に月の影が写っているのが見えるはずだ。影というものをよく見ると,はっきりと黒い影の周辺に,ややぼんやりとした薄い影が広がっていることがわかるだろう。月の影も同様に,地球上にはっきりとした黒い円を描きながら,その周囲にぼんやりとした薄い影もつくっている。
 そのはっきりとした黒い影のところから見上げると,月によって太陽が完全に隠されている。皆既日食とよばれる現象が起きているのである。この影はそんなに大きなものではなく,皆既日食の見られる地域は非常に限定されたものになる。その周囲のぼんやりした影の部分では,太陽が完全には隠されない部分日食が見られる。部分日食が見られる範囲は,皆既日食が見られる範囲にくらべると,格段に広い。

今日,日本国内で皆既日食が見られるといっても,皆既日食が見られる地域は本土の南の海上にある。したがって,陸上で見ることができるのは,奄美大島や硫黄島など一部の島に限定される。もちろん熱心な観測者のなかは,そのような島へ出かけての観測を試みる人も少なくないとのことである。
 ということで残念ながら,広島では皆既日食は見られない。しかし,最大で太陽の直径のおよそ86%近くが欠ける部分日食が見られる。これは貴重な機会であるから,ぜひこの目で見て,撮影もしたいと考えた。

今年の中国地方の梅雨明けは,例年よりも遅れている。
 先週末の天気予報では,ちょうど日食の日は雨とのこと。それまでも雨の日が多く,しかも大雨の恐れもあるという。先週中は,天気に関してほぼ絶望的な状況であった。おととい月曜日(20日)になって,予報が「雨」から「曇」にかわったものの,やはり日食を見ることはあまり期待できない状況であった。

 ♪てるてるぼうず,てるぼうず。あした天気にしておくれ。

なんと!
 昨日(21日)になると,天気予報は22日が晴れると言い出したのだ。
 これは間違いなく,「てるてるぼうず」様のおかげである(笑)。

そして,今朝。
 必ずしもすっきりしない天気ながらも,太陽の姿は拝めそうなようすである。
 日食がはじまる時刻になった。
 太陽は薄い雲にさえぎられているが,「日食メガネ」を通してみれば,その丸い姿は十分にわかる。
 そして,太陽の右上のほうが少し欠けているのが十分に見えるようになった。かなりの雲がかかっているからか,写った像はややぼんやりとしているが,欠けていることははっきりとわかるものである。

CONTAX RTS, MIRROR TELEPHOTO 1000mm F13.5, DNP CENTURIA100

ともあれ無事に部分日食を拝めたのは,やはり日ごろのおこないが正しいからに違いないのである。うん,そうだ。そのように信じておくことにしておこう(笑)。いや,「てるてるぼうず」様のおかげであるに相違ない。
 そう,苦しいときの神頼み。雨が降ってほしいときには「雨乞い」をするが,晴れてほしいときには「てるてるぼうず」様にお願いするしかないのである。今回の「てるてる坊主」は,フェルト製であるが,辞書を参照すれば,「晴天を祈って,軒下などにかけておく紙製の人形。」(岩波書店「広辞苑」第四版の【照る照る坊主】より)とあるので,てるてる坊主は紙でつくるのが正式なようだ。祈りが足りない,手続きが正式ではなかった,ということで,完全な「晴れ」にならなかったのだろうか。
 次の日食のときにも,晴天をお恵みいただきたいものである。今度は正式(?)に,紙でつくり,「晴天となれば,ひとみをかきいれ神酒を供えた後,川に流す。」(岩波書店「広辞苑」第四版の【照る照る坊主】より)も実行してみよう。


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