撮影日記 |
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2009年07月20日(月) 天気:大雨110フィルムを現像するすでによく知られていることとは思うが,2009年9月をもって富士フイルムは110フィルムの製造,販売を終了する(*1)。また,コダックもすでに製造,販売を終了しているとのこと(*2)。市場にはまだ,「Sakura」という110フィルムも含めて在庫が流通しているようだが,110フィルムが現在ほどには容易に入手できなくなることは間違いない。 つまり,110フィルムをこれからも長く使おうと思う人は,自分で現像するだけの覚悟が必要になりかねないのである。 フィルムの現像そのものは,道具がそろっていればさほど難しいものではない。これからはじめて現像をやってみるなら,そろえるべき道具が多いので少々敷居が高く感じるかもしれないが,ただ画像を得るだけであれば,説明書通りにおこなえばよいわけで,案外簡単なものである。ただし,奥はかなり深いようで,よりよい品質,自分好みの品質を求めて,多くの人がさまざまな工夫をこらし,試行を重ねているようだ。私はそこまで,現像を追求していない(^_^; フィルムの現像は,光の当たらないところで,フィルムに薬品をふれさせておこなう処理である。処理の済んだフィルムは,水でよく洗い,乾かせばよい。乾いたフィルムは,引き伸ばし機を使ってプリントしてもよし,イメージスキャナでパーソナルコンピュータに取りこんで,プリンタから出力してもよし。 さて,フィルム現像をおこなうにあたって必要な道具は,次のようなものがある。 ●メスカップ現像をおこなうには,まず,薬品をつくる必要がある。さまざまな薬品を自分で調合する人もあるが,温水で溶解するだけで薬品をつくることのできるキットが市販されているので,それを使うのが簡単だ。そのときに必要な量の温水をはかるのに必要なものである。写真用品として販売されているものもあるが,一般的な計量カップでも代用できるだろう。一般的なキットでつくるフィルム現像液の量は500mlないし1000mlくらいなので,あまり大きくないものでも利用できる。 ●攪拌棒薬品を溶解するときに,液をまぜるために使うものである。割りばしのような木製のものは液がしみこんでしまうので,薬品が不用意に混じってしまうことが懸念される。ガラスやステンレスのものを使うとよいだろう。私は棒のかわりに,このようなピンセットを使っている。 ●貯蔵ビンキットでつくった薬品には,5〜10本くらいのフィルムを処理できる能力をもったものが多い。溶解した薬品は,次第に劣化していくので,できるだけ早く,能力いっぱいまで使うのが経済的だが,なかなか1日で使いきれるものではない。そこで,一時的に薬品を保管しておく容器が必要になる。空気が入らず,光を通さないものが望ましいが,私は通常のPETボトルで代用している(^^; ただ,暗所で保管するというくらいの配慮はしている。 ●ロート使った薬品を,貯蔵ビンに戻すときに使う。 なお,薬品は現像液と定着液が必要になるが,それぞれ専用の容器を使うようにし,不用意に混ざらないような配慮が必要である。 ついで,現像作業のための道具である。 ●温度計フィルムの現像は,薬品の温度によって処理時間が決まる。20℃から50℃くらいの範囲を十分に計ることのできるものが必要である。 ●暗室時計処理時間を計るための時計で,秒針と分針しかない。文字盤には蛍光塗料が塗布されており,暗闇でも経過時間を知ることが可能だ。分針が0を指すとベルが鳴るので,「あと何分」かをセットすれば,規定の時間に達したことを知らせてくれる。 ●現像タンク現像処理の際は,フィルムにまんべんなく薬品がふれるようにしなければならない。家庭での少量の処理には,小型の現像タンクが使いやすいだろう。リールにフィルムを巻きこんでタンクに入れ,そこに薬品を注ぎこむ。規定の時間が経過したら,薬品を出して,処理を止める。そしてそのまま,水洗がおこなえるようになっている。 これは,両溝式リールと現像タンクである。これは120フィルム用で,必要な処理液は500mlとなっている。 私が長く使っているのは,ベルト式リールと現像タンクである。35mmフィルムなら一度に3本まで処理できるが,処理液もそれだけ多く必要になる(1400ml)。 さて,このように現像のための道具は,手もとにそろっている。しかし,110フィルムの処理のために重要なものが欠けている。それは,110フィルム用の現像リールだ。 とりあえず,手もとにあった針金を曲げて,こんなものをつくってみた。 110フィルムのカートリッジから取り出したフィルムをこのように通す。 全面にわたってきちんと現像されるよう,乳剤面が針金に触れないように乳剤面を外側にして巻いている。 ここまでの一連の作業は,もちろん暗室内で,手さぐりでおこなっている。 しかし。
*1 110(ポケット)フィルム「フジカラーSUPER G100 12EX」「フジカラーSUPER G100 24EX」販売終了のご案内 (平成20年5月7日 富士フイルム株式会社)
*2 販売終了品 (ク アラリス ジャパン株式会社) この続編が,2010年2月18日の日記にあります。 2020年7月6日に,注記(*1)のリンク先をInternet Archivesのものに修正しました。また,注記(*2)を追加しました。 |
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