撮影日記


2009年07月04日(土) 天気:くもり

セミレオタックスの救出

大阪に行く用事が発生した。10時までに大阪に着きたかったので,広島発8:07の「のぞみ6号」がちょうどよい。先日から乗り損ねていた(2009年5月26日の日記を参照)「500系のぞみ」に乗れたわけである。もっとも,今日は東京まで乗るわけではない。
 広島駅を発車したころの「のぞみ6号」14号車(指定席)は,空席がかなり目立つ状態であった。500系車両が定期列車の「のぞみ」として東京まで運転されるのは,今年度いっぱいとのこと。その後は,山陽新幹線区間で臨時の「のぞみ」として使われることもあろうが,山陽新幹線の「こだま」用に短編成化されるものも増えるだろう。いずれにせよそうなると,500系車両のセールスポイントであった「300km/h走行」は封印されることになる。
 私は「鉄」ではないが,500系の300km/hをさいごにもう一度,経験しておきたく思っていたので,まよわず「のぞみ6号」を選択したのであった。

300km/hでの走行中には,このような表示が車内のディスプレイにあらわれる。
(携帯電話機のディジタルカメラ機能による。)

500系車両は,まさにアルミ缶のようなまるい断面をもつ車両である。そのため天井や壁もまるみを帯びており,車内はやや圧迫されたような感がある。現在の主力である700系車両にくらべれば,居住性に劣るとされる。また,700系車両と座席の数が異なるため,運用する列車が限定されるなどの不都合が生じる。そのため,とくに東海道新幹線区間での運用を終えることになる方針だという。

まるみを帯びた,独特な雰囲気の500系車両の外観。

大阪で,時間に余裕ができたなら,向かうは梅田のマルシンカメラである。
 めざすはもちろん,ジャンクコーナー。いつも購入単価が低くて,お店にはご迷惑とは思うが,これは私の貴重な楽しみの1つである。ご容赦いただきたい。
 まず,目についたものは「UVトプコール135mm F4」というレンズ。トプコンUNIというレンズシャッター式一眼レフカメラ(2009年3月2日の日記を参照)用の交換レンズだ。価格は1000円,中ほどのレンズに激しいカビが生じているのがわかる。フードを伸ばしてみると,鏡胴には細かいネジがいくつか見えるので,おそらくこれを緩めれば,分解・清掃は楽にできるものと思われる。絞りの動きも快調で,まずはこれを今日の救出する候補の1つにした。

たまには,ジャンクコーナー以外にも目を向けてみる。
 カウンタの下を覗くと,「オキュパイドジャパン」というカタカナが書かれた値札が見える。その製品が,第二次世界大戦後の「占領下の日本製」を示すことばである。おそらくカメラのどこかに,「Made in Occupied Japan」等の文字が刻まれているのだろう(2009年5月16日の日記を参照)。そのカメラは,セミ判スプリングカメラのセミレオタックスである。価格は8,000円台。
 もう一度,ジャンクコーナーをあさると,不思議なことにセミレオタックスが埋もれていた。カウンタ内にあるセミレオタックスとは,細部が異なっている。セミレオタックスをコレクションしていた人が,最近,コレクションを放出したのであろうか?
 結局,今日は,このセミレオタックスを救出することにし,UVトプコールの救出は見送ることにした。

セミ・レオタックス(SEMI LEOTAX)

レオタックスは,1939年に創業した「昭和光学精機」という会社が製造したカメラである。同社の製品としては,バルナック型ライカを模倣した「レオタックス」カメラが有名であろうが,セミレオタックスのようなスプリングカメラも製造していたのである。なお,「昭和光学精機」は1955年に会社名を「レオタックスカメラ」に改めたが,1959年ころに倒産したようである。10年ほど前に,「Leotax」という名称の安価な天体望遠鏡を見かけたことがあるが(1998年8月17日の日記を参照),これはたぶん関係ないだろうと思う。
 手もとにある雑誌等の広告では,2種類のセミレオタックスの広告を見つけることができた。
 「アサヒカメラ年鑑1953年版」(1953年3月20日発行)に掲載されていたセミレオタックスは,距離計を内蔵(撮影レンズのピントとは連動していない)した「セミ・レオタックスR型」というもので,入手したセミレオタックスとは異なるモデルである。
 「アサヒカメラ 昭和24(1949)年10月号」に掲載されていたセミレオタックスは,ファインダーがウェルタ・ペルレのようなニュートン式(2009年6月24日の日記を参照)のもので,今回のセミレオタックスよりも古いモデルに思われる。また,それは,マルシンカメラのカウンタ内にあった「オキュパイドジャパン」のセミレオタックスと同じ型のものに思われる。
 以上のことから,今回のセミレオタックスは,1950年から1952年ころにかけてのものだと思われる。案外,最近のカメラだなあと思ったが,冷静に考えれば,これでも50年以上を経ている古いカメラ。それだけに,レンズにはカビも見られ,蛇腹にも大きな裂け目がある。
 しばらくはこのカメラで,いろいろと楽しめそうだ。


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