2009年06月28日(日) 天気:晴のち深夜に大雨
製本テープで蛇腹を作ろう
フランツ・コッホマン(Franz Kochman)社のコレレ(Korelle)は,1930年代に発売されていた,ドイツ製のセミ判スプリングカメラである。
コレレには,搭載されたレンズや画面サイズなど,いくつかの種類があった。また,当時のカメラ雑誌等の販売店の広告を見ていると「ニューコレレ」という単語も見られる。私の手もとにあるコレレは,販売店の広告ではどのように表現されるのか,いまひとつはっきりしない。
セミ判「コレレ」を折りたたんだ状態。
このコレレは,私の家に古くから埋もれていたようである(1997年12月31日の日記を参照)。1930年代後半の製品が,どういう経緯があったのかは知らないが,家の中に埋もれていたのである。大掃除をして出てきたくらいだから,保管条件は最悪だったことだろうし,そもそもそのときすでに60年以上の年月を経ていたものである。
幸い,レンズやシャッターは使える状態にあったものの,蛇腹はかなりダメージを受けていたようである。当面はテープ等で補修しながら使ったものの,使えば使うほど(蛇腹を伸縮すればするほど),新たなピンホールが発生する。また,伸縮時にそれ相応の負荷がかかるわけなので,次第に蛇腹は崩壊しはじめる。そしてテープでは補修しきれなくなったので,革の端切れを買ってきて円筒をつくり,蛇腹と交換することで,なんとか撮影できる状態を維持してきたのであった。
しかし,単なる革の袋がついている状態では,蛇腹式カメラ本来のカッコよさというものが感じられない。そこで,蛇腹をつくってみることにした。
蛇腹をつくるには,素材を細かく折りたたむ必要がある。
実際の蛇腹は,外側が革で,内側が紙でできているように見える。しかし,革をこのように細かく折るのは,難しそうだ。そんなときにダイソーで見つけた「製本テープ」というものが,代用品として使えそうな気がした。とりあえず,これでつくってみよう。
まずは,蛇腹を折るための型紙をつくる。こういう作図をするには,いわゆるCADソフトを使うのが好都合なのだろうが,私はそんなソフトウェアなどもっていない。しかたがないので,Adobe PageMakerを使うことにする。Adobe Illustratorではない。PageMakerである。理由は,単に使い慣れているだけというかなんというか。
個人的には,むかーしむかしの「ジャストウィンドウ」用の「花子」(ver.2やver.3あたり)が使いやすいと思っている。これはファンクションキー1つの操作で,線分の端点や中点などに垂線を立てたり,線分の中点どうしを合わせたりするのが簡単にできた。たとえば,中学校や高等学校の数学における作図作業が簡単にできる,という感じであろうか。なお,その後のWindows版の「花子」では,ファンクションキー操作によるそれらの機能がなくなった(少なくとも,私はそれらの機能を見つけられなかった)ので,それ以後,「花子」は使っていない。
ともあれ,まずはこんな型紙をつくり,地道に折目をつけていくのであった。
Korelle用に作成した蛇腹の型紙。 数値は,カメラ本体を実測して決めたもの。 (本来の蛇腹は,すでに取り去って廃棄。)
折目をつけたら,蛇腹として組み立てる。
外側に製本テープを貼っていけば,おお,なんか蛇腹らしくなってきたじゃないか。
内側は,黒いアクリル絵の具を塗り重ねていく。
このようにして完成した蛇腹を,コレレに取りつけた。
外見は,これで十分だと思う。あとの問題は,耐久性だな。製本テープの表面は薄いビニールのようだが,それだけになんども伸縮をさせていると,ピンホールが生じてきそうである。それに,この蛇腹の「芯」は,ふつうの薄いコピー用紙なのである(笑)。せめて,インクジェット用の厚手の紙を使うべきだっただろうか。
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