撮影日記


2009年03月30日(月) 天気:はれ

今年も楠木の大雁木にて
サクラを撮る
(ブロニカETRS編)

「暑さ寒さも彼岸まで」とは,昔からよく言われていたことである。
 先週,比治山を訪れたとき,すでにソメイヨシノが開花しはじめていた。
 たしかに,暖かく感じる日が続いていたものである。開花宣言も早々に出され,今年はこのまま,例年よりも早く満開の時期を迎えられそうに思ったものである。
 その後,一転してこんどは寒く感じる日が続くようになった。咲きはじめていたソメイヨシノは,そのまま開花を止めたように見えた。木の下のほうはそこそこ咲いていても,枝の先のほうにあるつぼみは,いつまでも固いままである。そして雨が降るたびに,早くから咲いていた花は,丸ごと落ちるようなようすが見られた。
 このまま,満開にならずに,花の季節が終わってしまうのではないか?という心配もしたものである。
 結局,広島市内中心部付近のソメイヨシノは,昨年と同様に,4月第1週目に満開になりそうな状況となった。

ここ数年,広島市西区にある「楠木の大雁木」というところのサクラ(ソメイヨシノ)に着目している。「楠木の大雁木」は,かつての川舟による舟運の荷揚げ場として使われていた場所である(2008年4月2日の日記も参照)。
 ここは職場からも近く,出社前の朝やお昼休みの時間などを利用しての撮影も可能である。個人的には,遠くの名所に行くよりも,近くの被写体に足しげく通うほうが趣味にあうのである(笑)。

例年であれば,マミヤプレスのシステムを持ち出して撮影するところである。マミヤプレスは,6×9判という大きな画面サイズのわりにはシステム全体がコンパクトにおさまるとはいえ,適切な大きさの三脚も含めると,通勤のついでに持ち歩くのは決して楽ではない。
 そこで,コンパクトなZENZA BRONICA ETRSの出番となる。
 入手したのは昨年のことであるが,標準レンズ(ZENZANON MC 75mm F2.8)に内蔵されたシャッターが不調であった(2008年4月26日の日記を参照)。その後,ちゃんと動作する標準レンズ(ZENZANON E 75mm F2.8)を入手したので,安心して撮影に用いることができる。

ZENZA BRONICA ETRS, ZENZANON E 150mm F3.5, REALA

「楠木の大雁木」へ向かう途中,川の遊覧船「すいすい」が近づいてくるのが見えてきた。潮の加減で川の水量は十分にある。「すいすい」が「楠木の大雁木」にかなり接近してきそうだったので,足を速める。そして,雁木を駆け下りてあわててカメラを構えて写したものが,上の写真である。

ZENZA BRONICA ETRS, ZENZANON E 75mm F2.8, REALA

「すいすい」が通り過ぎたあと,雁木を見あげる。
 雁木に覆いかぶさるように咲くサクラの姿。これも,好きなアングルの1つである。もっとも,背景にどうしても電線等が見えてしまうのはしかたない。ここが街のなかの憩いのスペースであることが説明できるので,むしろあるべきものだと考えることにしよう。ま,いいか。
 このように被写体を見上げて撮るときには,ZENZA BRONICA ETRSのように,ウエストレベルファインダーの使いやすいカメラがなによりも好都合である。

ZENZA BRONICA ETRS, ZENZANON E 150mm F3.5, REALA

雁木をあがると,足元に黄色い花が植えられているのに気がついた。これを手前に置いてアクセントとし,川沿いの桜並木を眺めてみよう。「楠木の大雁木」を覆うサクラがまだあまり開花していないのに対し,桜並木のほうは,かなり開花が進んでいるようだ。
 犬を連れて散歩する人の服の紫と,手前に配置した花の黄色が,ちょうど補色関係になり,サクラよりもそちらのほうに目が引き寄せられるのは,ちょっと失敗だったか。

ZENZA BRONICA ETRS, ZENZANON E 150mm F3.5, REALA

川の遊覧船を利用したことがある人は,すでによくご存じのことと思うが,川から見た風景は,いつも見る風景とまったく異なる。とくに高いものを除き,電線や建物が見えず,空がとても広く感じるのである(2006年11月26日の日記を参照)。
 現在,広島市内の川で運航されている船は,市内を周遊する「すいすい」,宮島と平和公園を結ぶ「きらら」「るんるん2」のほかに,小型のボートでの周遊を提供する「雁木タクシー」(2007年1月14日の日記を参照)などもある。ちょうどそんな目の前を,雁木タクシーが通り過ぎて行った。
 そのほかにも,御座船などが運航されることもあり,けっこうこの川は,にぎやかなのである。


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