撮影日記


2009年03月21日(土) 天気:晴

ツクシに手が届かない

まず,この画像をご覧いただきたい。

画像は,携帯電話機のディジタルカメラ機能による。

この恐るべき,ツクシの群生。
 石がごろごろしている荒れ地で,よく伸びたツクシである。
 春になると,ツクシが顔を出す。ツクシの和えものは,まさに旬の味。春の味覚。それを楽しむため,川の土手のようなツクシがよく生えているところには,ビニル袋をもってツクシを採る人の姿がたくさんみられるようになる。そのような人びとの姿も,また,春の風物詩である。
 春になって,伸びはじめた草の間から,ちょこんと頭を出すツクシ。ツクシは,スギナというシダ植物の胞子茎である。スギナはトクサのなかまで緑色をしており,はた目にも雑草の一種に見えるが,ツクシはむしろキノコのような姿をしており,スギナとは似ても似つかぬ姿をしている。草とは異なるその姿は,典型的な春の風景として,印象的でもある。

しかし,冷静に眺めてみると,不気味さも感じる(笑)。
 地面には石がごろごろしており,まったくの荒れ地。
 そんな不毛にも見える土地に,一般的な植物とは姿形の異なる異様な生物が群れているのである。
 はじめて,これを食べようと思った人たちは,まさに勇気のある人たちだったことだろう。あるいは,どうしようもない飢饉等に襲われ,やむにやまれず口にしたのであろうか?さまざまな種類があるキノコ類も同様だ。おいしいものだと知っているから,平気で食べられるのであり,まったくはじめて見たときには,不気味さの方が勝っていたに相違ない。そして,食べられるキノコのほかに,毒キノコがあることも,長い経験の中で知られ,伝えられてきたのであろう。私たちがおいしいものを安心して食べられるのは,遠いご先祖さまたちの,尊い犠牲によってもたらされたことなのである。
 と,おおげさなことを考えてみたりする。

さて,いったいここは,どこであろうか?

画像は,携帯電話機のディジタルカメラ機能による。

鉄道(山陽本線)の敷地内なのであった(笑)。
 周囲に柵があり,なかに入ることはできない。無理やり入りこんだとすれば,そこは列車が遠慮なく高速で通過する場所であるから,危険極まりない。あるいはそのために列車の運行を妨害して,多方面に多大な迷惑をあたえたうえに,警察沙汰になるは必至であろう。よい子は決して,このなかに入ってはならない。いや,悪い子だって,入らないでほしい。
 また,柵には手の入るような隙間はなく,たとえ入ったとしても,ツクシは手の届かないところに生えている。ツクシだって,ちゃんと考えているのだ。また,線路内には,除草剤が使われている可能性がある。そんな場所のツクシを,無理に取る必要もないかもしれない。

そしてもちろん,この周辺の土手でも,よくさがせばたくさんのツクシを採ることができる。まあ,あまりたくさん採ったところで,ハカマと呼ばれる部分を除去する作業が面倒なだけなので,ほどほどにしたほうがいいだろう。指先がまっ黒になってしまうだけである。
 そうはいっても春の風味は,ちょっとした手間をかけてでも味わいたいものである。


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