撮影日記


2009年01月21日(水) 天気:くもり一時あめ

「BE-PAL」に常清滝

広島県北部,旧・作木村(現・三次市)にある常清滝(じょうせいだき)は,「日本の滝100選」の1つである。「日本の滝100選」は,公募により1990年に選定されたもので,選ばれてからすでに20年近く経過している。「100」もある滝のなかには,当時は「いい」と思われた滝であっても,その後の環境の変化で魅力が失われているケースがあるかもしれない。環境の変化の原因には,「日本の滝100選」に選定されたことで観光客が増加したことが含まれているかもしれない。
 私が常清滝をはじめて訪れたのは,1994年のことである。あれからたまに訪れているわけだが,滝のそばの展望台が改修されたり,滝の入り口の駐車場が広くされたりするなどの変化は見られるが,滝そのものは大きく変わらない。

常清滝の魅力としては,まずその高さがあげられる。常清滝は,大きく3段にわかれているが,それらをあわせた高さは126mとのこと。全国的に著名な「那智の滝」の133mにも匹敵する。しかしながら流量は決して多いとは言えず,また,何段にもわかれて落ちるせいか,滝壷がほとんど発達していない。そのため,滝のすぐそばまで近づくことができる。「マイナスイオン」という「あやしげな」言葉が流行(笑)していたころなら,「落差が大きいこと」と「滝のそばまで近づけること」をもって,「マイナスイオンをたっぷり浴びよう」とかなんとか主張して,平気で「マイナスイオン」という言葉を使っていた人もいたに違いない。

Mamiya Universal Press, Mamiya-sekor 50mm F6.3, E100VS (2005/08/06)

常清滝の別の魅力としては,四季の変化があげられる。
 夏なら大雨の直後。ふだんは流量の少ない常清滝の表情が,激しいものに変化する。地形図を参照すればすぐに気がつくだろうが,常清滝より上流側の流れは,短く流域面積も広くない。また,中国山地ではよく見られるように,比較的平坦面になっている。このことから,雨の多い少ないがすぐに滝の流量に反映することが理解できることと思う。

Mamiya Universal Press, Mamiya-sekor 250mm F5, E100VS (2001/07/01)

秋になれば,滝の周囲の木々が色づきはじめる。滝の左右で色づくタイミングが異なり,向かって左側がやや早い。だから,訪れるタイミングが少し早いと右側がまだ緑のまま。逆に少し遅いと,左側が落葉してしまう。ちょうどよいタイミングは,ほんの一瞬である。

TACHIHARA FIELSTAND45, FUJINON W 210mm F5.6, F45 1/2, 15sec, E100VS(+1) (2002/11/09)

そして,冬。強い寒さが続くと,凍結した姿を見ることができることがある。それが,常清滝のもっとも魅力的というか特徴的な姿となる。
 小学館から発行されているアウトドア情報誌「BE-PAL」の2009年2月号の第2特集「絶品冬遊びガイドBOOK」では,「氷遊びフィールドガイド」の「氷のオブジェ編」の1つとしてとして常清滝を取り上げてくださった(p.122)。そこに写真を提供させていただいたので,もし,目にする機会があれば,参照されたい(お金に余裕のある人は,購入してあげてほしい)。

TACHIHARA Fielstand45, FUJINON W 210mm F5.6, 1/2sec, F32, EPN (2004/01/24)

ところで先に,「滝そのものは大きく変わらない」と書いたが,滝の周囲にある木には変化が見られる。折れたり枯れたりしたものもあろうし,刈られたものもあろう。滝に向かって左側に大きくとびだした枝がなくなったことで,見通しはよくなったが,紅葉のときのアクセントが1つ減ってしまった,というのは,まあ些細なことであろう。

この週末はかなり強い寒気が訪れるとのことだ。さらに次週もこれくらいの寒気が訪れるならば,今年も凍結した常清滝に会えるかもしれない。これまでの経験では,1月末か2月最初の週半ばあたりにチャンスが訪れていたように感じている。


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