撮影日記


2009年01月02日(金) 天気:曇

川面にたゆたうグリコの影

デパート等では,今日からさっそくバーゲンがはじまるようである。一方,年末は12月31日まで営業するお店も多い。年末年始が長期休暇になる人がある一方で,大規模なお店などでは1月1日しか休業にしないケースもある。実際,祝日にあたるのは1月1日だけなので,いわば,カレンダー通りということか。
 もっとも,小規模なお店では,年末年始が何日かの連休になるケースも見られる。

一昨日,12月31日のこと。
 なんば方面へでかける用事が生じた。その際,少し時間があまったので,周辺を少しぶらぶらすることにした。
 戎橋筋のアーケード街は,いつもの休日と同じような混雑を見せてくれている。実際,ほとんどのお店は「年末バーゲン」と称して営業しているのだ。1月1日だけは休業しても,2日後(すなわち今日)には,いわゆる「福袋」を中心に「新春バーゲン」と称して,営業をはじめるところも多いことだろう。
 途中,道頓堀川にかかる戎橋は,なんの変哲もない場所であるが,いつのまにやら観光スポットと化しているようだ。それもこれも,巨大なグリコの看板があるためであろう。そのグリコの看板を背景に記念写真を撮っていると思われる人の姿も,いつもの休日と同じように多く見られる。
 天気は曇りがちだが,風はほとんど感じられず,穏やかな年末の光景である。
 川面には,グリコの看板がゆれている。

画像は携帯電話機のディジタルカメラ機能による。

ついでにどこか中古カメラ店を覗いてみようと思い,日本橋の方へ歩みを進めた。黒門市場の入口に向き合う位置にあるのは,「トキワカメラ」である。ただ,さすがに12月31日はお休みのようで,シャッターが下りている。貼ってある紙によれば,12月30日までは営業していたらしいので,惜しいことをした。いや,散財せずに済んだと感謝しなければならないのであろうか。実際,ここでは「キエフ4m」(1998年10月12日の日記を参照)や,105mm径のPLフィルタを買ったことがあったものだ。
 「トキワカメラ」の数軒となりには,「国立カメラ」がある。「こくりつ」ではない。「くにたち」である。こちらもシャッターが下りていた。貼ってある紙が,「閉店」したことを告げている。今後は「通信販売のみで営業する」かのようなことが,そこには書かれていた。ここでなにかを買った記憶は少ない(1998年12月31日の日記を参照)が,やはりお店がなくなることには,さびしさを感じるものである。
 そういえば,広島の「大洲カメラ」の店主も,「閉店後は無店舗販売をしようと思う」という意味のことを仰せだったことを思い出す(2008年7月21日の日記を参照)。

画像は携帯電話機のディジタルカメラ機能による。

「国立カメラ」の数軒となりには,「宮本書店」という古書店がある。ここでは古いカメラ雑誌が見つかることがあるので,機会があれば覗いておきたいお店の1つである。過去に,昭和13年の「アサヒカメラ」(2005年10月18日の日記および2006年2月15日の日記を参照)や,昭和28年の「アサヒカメラ年鑑」などをここで買ったことがある。
 年末でなにかと出費は多いので,できることなら「なにも買わずに立ち去りたい」ところである(笑)が,幸か不幸か,お店は開いていた。
 古いカメラ雑誌等のある棚からは,「寫眞入門」(吉川速男 著,合資会社アルス 昭和14年発行)という本が出てきた。80ページほどの小冊子であるが,その「はしがき」にて,「理論に長けて一向上手な写真を写せぬ人があるかと思へば,理屈はわからぬが,何処で写しても傑作を作る腕に自信のある人が沢山ある。」「現在のカメラは,レンズがついて居る以上,写るのが当然である。先づ写るまでの常識を述べ,次で自己の意思によつて自由に写すところまで進ませて見たい。」などと述べているところがたいへん魅力的である。かなり保存状態の悪い本であるが,じっくり読んでみるとおもしろそうだ。
 さらに,雑誌が平積みにされているところを漁ったところ,戦前の「アサヒカメラ」を1冊,見つけだすことができた。昭和14年5月号である。

画像は携帯電話機のディジタルカメラ機能による。

これら2冊と,お店の外にあった「特価」コーナーの本を購入することにした。「寫眞入門」は,あまりに状態が悪かったせいか,「おまけ」にしてくれた。ちょっぴり,うれしい。そんないい気分で,1年を終わることができたわけだ。


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